ライアン議員や報道関係者、脱会希望者を自動小銃で襲撃したジム・ジョーンズですが、その騒ぎのあとで集団内の信者に対して、集団自殺を決行するように呼び掛ける演説を行っています。ジョーンズタウン内ではけたたましいサイレンともに信者が宿舎から出てきたとのことです。
信者に配られたのはシアン化合物
信者にはバリウムを用いて薄められたシアン化合物が配布されました。シアン化合物は猛毒で知られ、内服後、数秒から数分以内に失神や痙攣、呼吸麻痺を引き起こし、死に至るものです。多くの信者はこのシアン化合物によって命を絶つ道をたどったのです。
最悪の結末
集団自殺で亡くなった人たちの中には子供もいましたが、子供たちはシアン化合物を含んだ液体を注射器で注入されることで自殺が図られ、拒否する大人もこの注射を打たれたり、銃殺されました。結局、この自殺行為によって、914名(うち267名が子供)が亡くなったと言われています。
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人民寺院集団自殺の様子が記録されていた!?
実はこの人民寺院の集団自殺の様子をうかがい知れるテープが残っていることが分かりました。そのテープにはどのような状況のなかで、このようなショッキングな出来事が起こっていったのかが、臨場感とともに記録されていたのです。
存在した自殺真っ只中の音源テープ
この狂気の様子を伺いしている音源テープが残っていました。ジム・ジョーンズが信者に語った内容やその後の信者たちの様子などが分かる証拠となっています。カルト的な集団、宗教がいかに恐ろしいかが分かるものでした。
その内容とは…
ジム・ジョーンズは信者たちに向かって、「我々はじきに皆殺しにされる」という恐怖を煽り、革命的自殺を決行するように呼びかけを行いました。また、これは別世界への旅立ちであると声を張り上げ、子供たちを先に送り出そうと語り掛けます。その後、順次に歓声や泣き声が静まり、亡くなっていったのです。
人民寺院を題材にした映画!衝撃の映像化!
このようなショッキングな事件ですが、衝撃が大きかっただけに、人民寺院を題材にした映画がいくつか制作されています。どのような事件だったのかを垣間見るにはわかりやすい教材の一つですので、お時間のある時に鑑賞してみてはいかがでしょうか。
「ガイアナ人民寺院の悲劇」
ジョンソン(ジム・ジョーンズの名称を変更した)というサイコパス教祖を主人公に、彼の異常な思考回路・行動が忠実に再現されているのが特徴です。演説で自分の思想を訴えるシーンなどが分かりやすく描写されているほか、人民寺院の闇の部分(ジョーンズタウンの生活や拷問シーンなど)も表現されています。
「サクラメント 死の楽園」
こちらも「ガイアナ人民寺院の悲劇」と同じく人民寺院を題材にしていますが、少し演出や創作を織り交ぜた作品です。潜入取材を試みるという主人公の視点による映像が臨場感を高めた演出を可能にしています。やや事実と相違する部分がありますが、カルト集団の実態を認識することが出来る作品です。
嘘か本当か?まことしやかな噂
ジム・ジョーンズが設立した人民寺院が巻き起こしたこの事件は、世界に与えた衝撃が相当に大きかったことから、事件の背景や結末を巡って色々な憶測も飛び交っています。ここでは、そのうちのいくつかをご紹介します。
実はCIA共同の実験だった…
今回の事件は、教祖であるジム・ジョーンズが信者を心理的に操り、財産を提供させたうえで、自分の思い通りのコントロールするカルト集団が起こした事件です。これは実はCIAがカルト集団を対象にマインドコントロールがもたらす影響を実証実験したのではないか、という憶測がまことしやかに言われています。
8000枚以上の非公開文書の存在…
また、本件に関わる調査文書は合計8000以上に達すると言われています。しかし、文書を管理するアメリカ政府はこれらを未だに公開してはいないのです。これはつまり、公開することが出来ない何らかの理由が存在する、政府にとって都合が悪いことがある、という説も言われているのです。
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カルトとは一体何か?
人民寺院はカルト集団が引き起こした恐ろしい事件として人々の記憶に存在しています。また、世界中でカルトと呼ばれる集団が起こす奇怪な事件が時に大きく注目を集めます。それではカルトとはそもそも一体何なのでしょうか?
カルトとは
カルトとは過激な新興宗教全般を指す言葉とされており、集団の性格としては、救世主と呼ばれるリーダーが熱狂的な信者を引き連れて、外界から遮断された閉鎖的な社会のもとで、独自の教義を繰り広げる集団です。
カルトの語源は?
そもそもカルトという言葉はラテン語を語源としており、「崇拝」や「儀礼」を意味するcultusが起源とされています。そもそもは熱狂的な信者の集まりを指していましたが、次第にカルトと呼ばれる集団が引き起こす凶悪な事件に、犯罪行為を起こす「破壊的」なイメージがカルトに結び付けられることになったのです。
その他のカルト
人民寺院のほかにも世界には驚愕のカルト集団が存在します。人々の悩める心につけ込むカルトですが、このようなカルトに引っかからないためにも、どのようなカルトが存在したのかを知ることはとても重要です。
ヘヴンズ・ゲート
ヘヴンズ・ゲートは1970年代に設立されたオカルト的な新興宗教です。キリスト教の教えを都合よく用いながら、ヘール・ボップすい星からUFOが迎えに来て、新世界に旅立つことが出来ると教えていました。こちらも人民寺院と同様に、最後は教祖が信者たちと集団自殺を図るという結末を迎えています。
クー・クラックス・クラン
クー・クラックス・クランは1865年に設立されたと言われる秘密結社です。プロテスタントのアングロサクソンこそが聖書で言われるアダムの子孫であるとの信念のもと、白人至上主義を唱えました。一度衰退したものの、第一次世界大戦後に盛り返し、アメリカの政治にも大きな影響を及ぼしました。
世界を震撼させた衝撃の結末!人民寺院の最後!
ジム・ジョーンズは決して恵まれた家庭で育ったわけではなく、精神に何らかの闇を抱えて成長しましたが、当初の思いは決して大きく道を外していたとまでは言えないものでした。しかし、人々の注目を集めるなかで、次第にその独善的な姿勢が頭をもたげてきたのです。
人民寺院の最後は非常に衝撃的なもので、アメリカのみならず、世界の人々に多大な衝撃を与えました。日本でもオウム真理教のようにカルト集団が起こす事件が発生しています。心の闇につけ込むカルトの脅威に私たちも気を引き締める必要があるでしょう。