この画像も撮影場所は明らかではありませんが、獲物を捕らえた様子をはっきりと写しています。また奥の個体も同じ餌を捕ろうとしたのか触手を開いています。手前の2匹は取り合いをしている様にも見えますね。よく見ると獲物に触手をしっかり絡ませて、逃がさないようにしているのがわかります。
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クリオネの捕食画像⑤バッカルコーンをコマ撮り
こちらはなんと触手を出そうとしている瞬間から元に戻るまでを4枚にわたってコマ撮りでの鮮明な撮影に成功しています。猫耳のような触角の間から頭がぱっくりと割れ、触手が出ている様子がよくわかります。その真ん中にある口もはっきりと見る事ができます。あらためて見ると本当に悪魔のようです。
クリオネの体の不思議
クリオネの体にはバッカルコーン以外にも不思議な部分があります。ここではその不思議をいくつかご紹介していきたいと思います。頭に入れておくと水族館などでまた違ったクリオネの見方ができるかもしれませんよ。
なぜ体が透明なの?
クリオネは体のほとんどがタンパク質でできています。良質で高純度なタンパク質は透明なため、それが一生に1回ほど食事をすればいいほどのエネルギー効率の良さを生み出していると考えられています。また、透明な体のおかげで敵に見つかりにくいというメリットもあります。
クリオネは雌雄同体
クリオネは実は雌雄同体です。そもそもどうやって増えるのかというと、他の生物と同様に卵を産みます。ただ雌雄同体と言っても1匹いれば卵が産めるわけではなく、2匹が交尾をしてから産卵します。
2匹のクリオネが出会うと腹の部分に互いのペニスを引っ掛けてくっつきます。そして片方がメスになりもう片方がオスになって、長い時は4時間ほどかけてくっついたまま泳ぎ回りながら交尾をし、メスの方のクリオネの体内にできた卵を海中に放出します。1度に100~1000個ほど産卵します。
クリオネの新種発見!場所はなんと日本!
実はクリオネは近年相次いで日本近海で新種が見つかっています。2016年にはオホーツク海で発見された個体が新種である事がわかり、その丸みを帯びた体からダルマハダカカメガイと名付けられました。そして2017年にも富山湾に新種がいる事がわかったのです。
クリオネの新種が富山湾で発見された
富山湾で発見された種は水深700mほどの水温2℃以下の場所で捕獲され、DNA鑑定の結果新種だと判明しました。まだ正式名称は決まっていませんが、その後の研究で富山湾より北の複数個所でも見つかり、日本海の固有種であると考えられています。正式に名前が決まった後は富山県の魚津水族館などで展示が検討されているようです。
ただ、一方で海中の環境悪化が進行しており、海水が酸性に傾く現象が起こっています。酸性になると餌の生物が暮らせなくなる可能性があるため、発見されたばかりにもかかわらず絶滅の心配もされています。
クリオネの飼育方法とは
見ていて癒される、かわいらしいなどの理由でクリオネを飼いたいと考える人もいるかと思います。最近ではまれにペットショップなどでも販売されています。ただ、クリオネは飼育するには難しい生き物で、手軽に楽しみたいのであれば水族館で見る事をおすすめします。それでも購入する場合はしっかり責任を持って飼いましょう。
飼育方法①海水を用意
クリオネは海中生物なので海水が必要です。きれいな海が近ければ直接取ってきても大丈夫ですが、最近ではクリオネの飼育用の水も売っているのでそれを利用してもよいでしょう。さほど大きい生物ではないので、入れる水槽は小さいもので大丈夫です。蓋ができて雑菌が入るのを防げるのでペットボトルもおすすめです。
飼育方法②温度管理が重要
クリオネは冷たい水の中で生きていて、適温は0℃前後、10℃になると死んでしまいます。そのため家庭では冷蔵庫の中で飼うのが最も好ましいです。ただ、冷蔵庫だと5℃程度までしか冷やせず、開け閉めなどで温度が上がるとストレスがかかります。ゆっくり見たいのは山々かも知れませんが、クリオネのために観察は数分程度にとどめましょう。
飼育方法③水の量と部屋の明るさ
海にいるクリオネにとってあまり狭すぎる環境もストレスになるため、だいたい1Lに対して2匹程度が適切と言われています。エアーポンプはなくても大丈夫ですが水中の酸素の量を保つため3~4日に1回、30~50%程度の水を入れ替えましょう。また、明るさはあまり関係ないようで、冷蔵庫に入れている分には問題ありません。
飼育方法④エサについて
クリオネの餌はミジンウキマイマイですが、これは水族館でも入手困難で、一般での流通・販売はほぼゼロです。海中のプランクトンを少しずつ食べているとも言われますが、解明されていない部分も多く確かな説ではありません。そのため、餌は与えずに飼うのが一般的で、バッカルコーンを生で見るのもかなりレアな出来事だと言えそうです。
クリオネがスーパーで売られていた
実はスーパーや魚屋、市場でクリオネが販売されている事があります。有名なのは大阪にあるスーパー玉出で、1度販売したところ反響が大きくテレビなどでも取り上げられたため、毎年1~2月の風物詩となっています。そちらのスーパーでは期間・数量限定で、年にもよりますが2~3匹入った瓶で1000~2000円ほどで売られています。
クリオネは食べられる?
クリオネは食べられるかどうかで言えば、特に毒などはなく食べる事ができます。調べてみると食べてみた事のある人は結構いるようです。しかし味はあまりおいしくないというのが共通の感想で、スーパーで購入したとしても観賞用にする方がよさそうです。どうしても食べるのであれば自己責任で行いましょう。
南の海にもクリオネがいる?
クリオネというと流氷と一緒にいるイメージがあるかも知れませんが、実は暖かい海にもいます。厳密にいうと近い仲間ではあるものの別種ですが、見た目はよく似ています。日本の周りの海にも生息しているので、もし見かける事ができたら非常にラッキーです。
南の海のクリオネ①タルガタハダカカメガイ
太平洋や大西洋の温帯・熱帯域を漂流しており、普通のクリオネに比べて腹の部分が太く樽のような形になっているのが特徴です。福井県の越前海岸や積丹などで目撃情報があり、クラゲなどと漂流してくる事が多いようなので、ダイビングなどをする機会があったら探してみましょう。
南の海のクリオネ②ヤサガタハダカカメガイ
こちらは触角が長く、腹の部分がスカートのように広がっているのが特徴のハダカカメガイです。その姿からディズニーキャラクターのマレフィセントに例える人もいます。主に北西太平洋に生息していますが、日本海で発見される事もあります。
クリオネの捕食を見に行こう!
クリオネは普段の優雅でかわいらしい姿と捕食時の衝撃的な瞬間のギャップが楽しい生物です。比較的多くの水族館で展示されているのでぜひ見に行ってみてください。バッカルコーンを出した瞬間が見られたら大変珍しいのでラッキーですよ。