インド最古の宗教バラモン教とは?仏教やヒンドゥー教への影響や違いも解説

紀元前500年頃、バラモン教に反発した新しい宗教や思想がたくさん生まれました。その内の一つである仏教では、バラモンによる支配やカーストを否定しており、バラモンに支配されることを良く思わない人々からの支持を得ました。

バラモン教を批判したお釈迦様

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不平等な社会を形作るバラモン教に疑問を抱いたお釈迦様は、苦しみ続ける人々を救うために新しい宗教を創始しました。それが仏教です。お釈迦様は、「人は、神のような超越した存在の力によって救われるのではなく、個々人の行いによって救われるもの」と説きました。

バラモン教と仏教の輪廻転生の違い

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バラモン教の輪廻転生は「五道」という考え方で、生まれ変わる肉体の境涯は5種類に分けられます。生前の信仰度合いによって境涯が変わるという考え方で、心理を把握しない限り、輪廻の中で永遠に転生を繰り返します。

仏教の輪廻転生は「六道輪廻界」という考え方で、生まれ変わる肉体の境遇は「修羅道」が増えた6種類に分けられます。大きくは善趣と悪趣で分かれており、善趣は「天」「人」「修羅道」、悪趣は「畜生」「餓鬼」「地獄」です。生前の善行・悪行によって境遇が変わるという考え方で、輪廻の世界を抜け出せば仏界に行くことが出来ます。

バラモン教と仏教の解脱の違い

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バラモン教の聖典に付属する、ウパニシャッド(奥義書)に収録されているウパニシャッド哲学によると、「ブラフマン(宇宙の根源)とアートマン(人間の本質)が同一だと認識できれば、真理を把握できて輪廻の業(苦悩)から逃れて解脱できる」と示されています。

ウパニシャッド哲学の、深く内面を思惟する物の見かたや、輪廻や業の死生観から仏教が誕生しました。お釈迦様は、永遠に不滅のアートマン(我)を否定し「無我」としました。仏教の解脱は「苦悩の解決」であり、それは「真理の理解(悟り)」だけではなく、「善行の実践(八正道)」でも解決できるとされています。

仏教には輪廻転生から解脱した者が住む仏界がある

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輪廻の中では、たとえ「天界」で生まれても天道の生命であるため、老いや寿命が訪れる苦悩から免れることはできません。仏教では「天人五衰」と表現されます。輪廻の中にいる限り、苦しみは続くのです。

仏教には、「仏界」という世界が「六道輪廻界」の上にあります。「六道輪廻界」から解脱すると、苦しみから解放された悟りの世界「仏界」に行くことが出来ます。「仏界」はすべての世界を超えた「如来の世界」を表しています。仏教の修行内容や即身仏について、詳しく知りたい方は、こちらもご覧下さい。

バラモン教とヒンドゥー教はどこが違う?

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仏教などの隆盛によってバラモン教の勢力が弱まり、「支配者の宗教」からの改革を迫られました。インド各地の土着宗教を吸収して形を変えながら、民族宗教である現在のヒンドゥー教へと変化していきました。

バラモン教はヒンドゥー教の前身

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名前が無かったインドの民族宗教に、ヨーロッパ人が名前をつけました。アーリア人の定住から仏教興起までの間の古代ヒンドゥー教を「バラモン教」、仏教興起から現代までを「ヒンドゥー教」と、改革の前後を区別するために違う名前にしました。こういった経緯から、バラモン教はヒンドゥー教の前身といえます。

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