インド最古の宗教バラモン教とは?仏教やヒンドゥー教への影響や違いも解説

バラモン教は五道思想を社会階級になぞらえ、カーストという身分を分ける制度を確立させました。カーストでは、生きている間に身分階級の変更はできません。現世で熱心にバラモン教の信仰をして徳を積めば、来世では上位の身分で生まれてくることが出来るとされています。

最下位身分シュードラは永久にシュードラ

billycm / Pixabay

奴隷階級である「シュードラ」は、熱心に信仰をしても、たくさん徳を積んでも、別の身分階級に生まれ変わることが出来ないとされています。ずっとシュードラのまま、輪廻転生を繰り返すのです。

当時のシュードラは職業の自由がなく、人が嫌がる仕事や、上位の身分階級に仕える仕事が主でした。カーストの仕組みの中では、一度シュードラとして生まれてしまったら、永遠に奴隷階級から抜け出せないとされています。

バラモン教の五道と結びついたカースト制度

Suffix / Pixabay

カーストとは、バラモン教が五道思想を社会階級になぞらえて作った、身分を分ける制度です。インドでは「ヴァルナとジャーティ」と呼ばれています。現代のインド社会にもカーストの意識は残っており、バラモン(現在のヒンドゥー)教以外の宗教の人でも、カーストの意識が根付いている人がいます。

4つの身分からなるヴァルナ(種姓)

bart1979de / Pixabay

カーストは、「ヴァルナ(種姓)」と呼ばれる分類が4つあり、上層の階級ほど権力を持っています。司祭階級「バラモン」、王族・武人階級「クシャトリア」、庶民階級「バイシャ」、奴隷階級「シュードラ」に分けられています。

ヴァルナの枠外に置かれる不可触民

Devanath / Pixabay

インド国内には、ヴァルナに属さないヒンドゥー教徒も暮らしています。アチュート・不可触民(アンタッチャブル)・アウトカースト・指定カースト・アヴァルナなどと呼ばれ、不可触民は自分達のことをダリット(壊された民という意味)と呼びます。

カーストは4つの身分階級から出来ているので、不可触民はカーストの中に含まれていません。一番下の階級ではなく、枠組みの外という立ち位置となります。しかし、ヒンドゥー社会の中では、一番下の階級として扱われています。

不可触民への差別

JustinW / Pixabay

「触れると穢れる人間」として不可触民は扱われ、「触れる、見る、近づく、声を聞く」ことも穢れとされてきました。また、同じ神様を信仰しているのに、寺院に入ることを禁止され、ヴァルナに属する人達が使用する井戸や貯水池を使用することも禁止されていました。

不可触民は社会から切り離され、厳しい差別をうけてきた歴史があります。現在でも、殺傷を含めた憎悪犯罪が起こるなど、差別はなくなっていません。貧困も深刻なため、不可触民の人権を求める動きが活発になっています。

細分化されるジャーティ

pprasantasahooo / Pixabay

カーストの一部であるジャーティは、具体的な数が把握できないほどに細分化されています。4つのヴァルナがヒンドゥー社会の大きな分類であるのに対し、ジャーティは、職業や内婚集団によって区分される場合が多いです。ヴァルナと違い、ジャーティには不可触民も含まれており、現在も集団として機能しています。

ジャーティは生まれによって決まり、一生変更できません。固有の職業を持ったジャーティは世襲制です。同一のジャーティ内での結婚が義務付けられていますが、上層の男性と下層の女性の結婚は認められる場合もあります。浄性を共有しているので、他のジャーティとの飲食物の交換や共食・共飲が制限されています。

NEXT バラモン教と仏教はどこが違う?