インド最古の宗教バラモン教とは?仏教やヒンドゥー教への影響や違いも解説

バラモン教は、紀元前1000年から紀元前500年にかけて、口述によって編集された聖典「ヴェーダ」をもつインド最古の宗教です。インドに根強く残るカースト制度と結びついた不平等な宗教として釈迦が批判したバラモン教について、仏教との違いを含め詳しく解説します。

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バラモン教はインド最古の宗教

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バラモン教とは、司祭階級である「バラモン」が中心となり、「天・地・太陽・風・火」などの自然神であるヴェーダの神々を崇拝する多神教です。中心となる神は「インドラ」「ヴァルナ」「アグニ」などです。

アーリア人のインドへの侵入が始まり

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紀元前1500年頃に、アーリア人がインドの北西部に移住してきました。アーリア人は、特定の地域のドラヴィダ人を支配したとされています。ドラヴィダ人とは、インダス文明を築いたと考えられている先住民族です。

アーリア人の先住民ドラヴィダ人征服過程で成立

ドラヴィダ人を征服していく過程で、お互いの宗教を融合させていきました。その中で、身分を階級で分ける制度であるカースト制を作り出し、バラモンと呼ばれる祭司階級のアーリア人が行う祭儀を重要とした、「支配者の宗教」としてバラモン教が形作られたとされています。

バラモン教の聖典「ヴェーダ」

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ヴェーダは、バラモン教とヒンドゥー教の根本となる聖典の総称です。インドで最も古い聖典で、口伝のみで伝承されてきたものが記録された宗教文書です。言葉の意味は「知識」ですが、「宗教的知識」という意味合いが強いです。

ヴェーダは4種類ある

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ヴェーダの元となる本体部分のことをサンヒター(本集)といい、4種類のマントラ(讃歌・詠歌・祭詞・呪詞)で構成されています。讃歌集の「リグ=ヴェーダ」は、神々への讃歌と古い神話が収録されている、最も古いヴェーダです。

詠歌集の「サーマ=ヴェーダ」は、祭式で節をつけて歌われる讃歌が収録されています。祭詞集の「ヤジュル=ヴェーダ」は、祭式における作法や供物を献呈する方法と共に、神々へ呼びかける言葉が収録されています。呪詞集の「アタルヴァ=ヴェーダ」は、呪術的な儀式が収録されています。

ヴェーダに付属する3つの書

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ヴェーダには、サンヒター(本集)に付属する3つの文書があります。内容は、「解説と注釈」「秘儀と秘法」「哲学と思想」です。祭儀書・梵書とも表現される「ブラーフマナ」は、ヴェーダの祭儀を解説した注釈書です。

森林書と表現される「アーラニヤカ」は、祭式の解説や哲学的な部分もありますが、秘儀的な祭式やマントラの解釈が多くを占めており、人里から遠く離れた森の奥で伝えられる秘法も収録されています。奥義書と表現される「ウパニシャッド」は、ウパニシャッド哲学を中心とした哲学的な内容が収録されています。

バラモン教の輪廻転生は救いようのない不平等

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当時の人々は、人間は肉体と霊魂で構成されていると信じていました。「肉体は物質なので必ず滅びて大地にかえるが、霊魂は物質ではないので永遠に不滅であり、天界に昇った霊魂は次の肉体に宿る。その際に、生前の行いで霊位が上下し、次に宿る肉体が決まる。」これが輪廻の基本となる考え方です。

輪廻転生とは?

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バラモン教の輪廻転生には「五趣」「五道」の考え方があります。生まれ変わる肉体の境涯を5種類に分け、「天界」「人間」「畜生」「餓鬼」「地獄」の中で、生前の信仰度合いによって境涯が変わるという考え方です。

バラモン教は五道思想を現世にも適応させた

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