大分一家6人殺傷事件とは?犯人の動機や現在、被害者一家のその後に迫る

大分一家6人殺傷事件の犯人は15歳の男子高校生でした。周りからは「真面目」「いい子」と言われていた犯人の人物像、犯行に至った動機をそして、大分一家6人殺傷事件の被害者家族はどんな人物だったのか事件の概要を含め詳しくまとめました。

この記事をかいた人

都市伝説やオカルト・怪奇現象など、不思議なことが大好きです!
Array

大分一家6人殺傷事件とは?15歳の少年が起こした事件

出典:PhotoAC

2000年(平成12年)8月14日午前2時50分、大分県大野郡(現在は臼杵市)野津町都原に住む一家が刃物で殺傷されました。3名が殺害され、3名が重傷を負いました。

犯人は、被害者一家の隣の家に住む15歳の少年でした。大分一家6人殺傷事件は『平成の八つ墓村』とも呼ばれました。

大分一家6人殺傷事件と似た事件が、大分県の隣にある宮崎県でも2018年に起きています。宮崎県で起きた『高千穂一家6人殺人事件』に興味のある方は、こちらもご覧ください。

大分一家6人殺傷事件の概要①犯人の殺意の芽生え

出典:PhotoAC

大分一家6人殺傷事件の犯人である少年の動機は、残忍な凶行とは異なり、なんとも「ぼんやり」とした動機でした。

少年の動機の核となっているものは、「思春期の不安定な心」「一般的とは言い難い家庭環境」「親密な人間関係を構築する農村ならではの地域の特性」だと考えられています。

大分一家6人殺傷事件の起きた都原は24戸の小さな集落であり、住民は家族のように親密でした。悪い噂が1度でも立ってしまうと、生活がしにくくなる集落で、少年は小さな罪の口封じのために一家を殺傷したのです。

被害者宅で頻繁に下着が盗まれるようになった

出典:PhotoAC

ポルノ雑誌や盗難物が、家の前の道路や周辺に置かれていたり、頻繁に下着が盗まれるようになったため、大分一家6人殺傷事件が起きる前の被害者宅では、夜間の戸締りを厳重にするなど防犯を意識していました。

風呂場に細工をしていた犯人を被害者が捕まえる

出典:PhotoAC

被害者宅の夜間の戸締りが厳重になり、少年が下着を盗む際に使用していた風呂場の窓も締められてしまいました。

8月2日の深夜、窓が締まりきらないような細工をしようとしていた少年は、被害者宅の家主に見つかってしまいます。顔を見られてしまった少年は、使用していた脚立を残したまま逃げ去りました。

被害者が犯人の両親に悪行を報告

出典:PhotoAC

大分一家6人殺傷事件の1週間前(8月6日)に、被害者宅の家主は少年の自宅に行き、少年の母親に「あんたんとこの息子が、風呂場をのぞいちょる」と、覗きをやめるように苦情を言いました。

苦情を言われた少年の母親はシラを切り、その場を収めました。少年は両親から注意される結果となりました。大分一家6人殺傷事件の前日(8月13日)にも、家主は少年の母親に苦情を伝えています。

下着泥棒は事実だが、のぞきの『濡れ衣』によって、母親からは「風呂場をのぞいたんやなかろうね」と疑われ、父親からは「一番先に疑われるから気を付けろ」と注意され、腹が立ったと少年は述べています。

挨拶をしても無視をする被害者家族に対して殺意を持つ

出典:PhotoAC

8月6日の抗議以降、被害者家族は少年の挨拶を無視するようになりました。少年も被害者家族に対し邪険な態度を見せるようになり、憎悪に満ちた顔で睨んでいたのを目撃されています。

被害者宅の家主は危機感を募らせ、少年を睨み返す場面もありました。少年は、「被害者家族に『濡れ衣』を着せられた」「被害者家族を全員殺してやろうと考えた」と供述しています。

「のぞきや下着泥棒が知られるのが怖かった」「女の子や近所の住民から白い目で見られると集落にいられなくなる」「父親を怒らせると家にいられなくなる」という恐怖も少年にはありました。

大分一家6人殺傷事件の概要②犯行の経緯

出典:PhotoAC

大分一家6人殺傷事件の被害者宅の隣に犯人である少年の自宅があり、お互いの家は200mほどの距離にありました。

被害者宅は母屋と離れがあり、家の中にある階段で繋がっていました。

母屋には家主である祖父(65歳)と祖母(66歳)が寝ており、離れには母(41歳)と長女(16歳)、長男(13歳)、次男(11歳)が寝ていました。

犯人は自宅倉庫から兄のサバイバルナイフを持ち出す

ROverhate / Pixabay

事件の前日(8月13日)被害者宅の家主が去った後、レンタルビデオ店で映画を借りた少年は、午後4時頃に近所の商店で飲み物を買い、店主の高齢女性と普段と変わらない会話をして帰宅しました。

午後6時頃、工具を片づけるように父親に指示され、少年は自宅の倉庫に向かいます。倉庫には兄のサバイバルナイフが置いてありました。サバイバルナイフを目にした少年は、被害者一家の殺害を決意します。

少年は砥石とサバイバルナイフを持ち出し、自室でナイフを研ぎました。柱や畳を試し切りした時、少年の心の中にあった殺人に対する迷いや不安が消えました。

一家暗殺計画を立てたが断念する

出典:PhotoAC

夜になり自室に戻った少年は、一家暗殺計画を立てて紙に纏めました。映画などの暗殺を参考に凶器や服装の購入を検討しますが、お金や時間、労力が掛かりすぎることに気が付き計画を断念します。

昭和初期の事件『津山三十人殺し』の犯人は、事前に様々な凶器を入手し、送電線を切断してから殺人を行いました。岡山県の集落で起きた大量殺人事件『津山三十人殺し』に興味のある方は、こちらもご覧ください。

風呂場の窓ガラスを割って室内へ侵入

MAKY_OREL / Pixabay

大分一家6人殺傷事件の当日(8月14日)、CDを聴きながら漫画本を読み、深夜出かけるまでの時間を過ごした少年は、深夜に自宅を出ました。

少年は被害者宅の農機具用の小屋に隠れ、一家が寝静まる時間まで待ちました。午前2時になったのを時計で確認し、野外に置いてあった被害者宅の脚立を使用して、風呂場の窓を金槌で叩き割り母屋に侵入しました。

一家を次々と刺し最後に油をまき散らし火をつける

出典:PhotoAC

母屋から侵入した少年は、家の中の階段を使って離れに直行しました。最初に刺したのは長男でした。母親と長女も刺した後、母屋に戻り祖父母を刺しました。帰り際に、逃げた次男を発見した少年は次男も刺しました。

被害者に抵抗され、少年も軽い傷を負いましたが、「皆殺しだ!」などと叫びながら全員を殺傷した少年は、被害者宅の電話線を引きちぎった後、混合油が入ったポリタンクとライターを自宅の倉庫に取りに行きました。

被害者宅に戻ってきた少年は、玄関前に混合油を撒き、ライターで火を付けた後に自宅に帰りました。少年の付けた火は玄関の一部を燃やしたのみで、時を置かずに消えました。

翌朝犯行を認め緊急逮捕

出典:PhotoAC

同日午前2時52分に、被害者一家の中では1番被害が軽かったとはいえ、背中を切りつけられ重体だった長女が携帯電話で助けを求めたため警察や救急が出動し、3名の命が助かりました。

同日午前4時過ぎ、警察の捜査員が少年の自宅に行き、「出かけていたか」と質問します。人違いではないかと捜査員が感じるほど落ち着いた様子で、「家におったよ」と少年は答えました。

任意同行を求められ、パトカーに乗った少年が「ぼくがやりました」と犯行を認めたため、殺人や殺人未遂の容疑などにより、同日午前6時過ぎに緊急逮捕されました。

大分一家6人殺傷事件の犯人の生い立ちと家族との関係

出典:PhotoAC

大分一家6人殺傷事件の犯人である少年は15歳でした。残忍な事件を起こす精神状態に至る一因として、「一般的とは言い難い家庭環境」が少年の精神に強い影響を与えたのではないかと考えられています。

少年は家族から、「もう少し男らしくなれんか」と言われていました。取り調べの最中に「オレは強くならんといけん」と少年は述べています。「いつか家族を見返してやろう」と考えていたようです。

父・母・兄・犯人の4人暮らし

出典:PhotoAC

少年は、両親・祖母・兄の5人家族でした。父親は廃棄物の処理会社、母親はタクシー会社、兄は建設会社に勤めていました。以前は祖母も一緒に暮らしていましたが、事件当時は福祉施設に入所していました。

両親は深夜まで働く日もあり、兄も社会人だったため、家を空けることが多かったと推察できます。祖母も施設に入所してしまい、少年は家族と過ごす時間が少なく、1人で孤独に過ごす日も多かったようです。

犯人の父親は感情の起伏が激しい人物だった

出典:PhotoAC

事件を起こす精神状態に至ってしまった一因に、父親の存在が大きな影響を与えています。取り調べの最中に少年は、「父親を怒らせると家にいられなくなる」という恐怖心を述べています。

少年の父親には、「水害が発生した時に、車が流されそうな状況になってもパチンコを続け、席を立とうとしない」「稲刈りの準備に熱中し、毎年稲の刈り入れが大幅に遅れる」などの逸話があります。

少年の父親は、物事に夢中になりやすく、夢中になってしまうと現在の状況や本来の目的が目に入らない性格だったようです。感情の起伏が非常に激しく、家族を怒鳴り散らすことも多かったようです。

犯人が幼少の頃、母親が他の男と家出していた

出典:PhotoAC

少年が幼少(3~4歳)の頃、母親は家にいませんでした。家を出て、職場で親しくなった男性と暮らしていたのです。父親の、感情の起伏が激しい性格にも原因があるのではないかとの噂もありました。

父親は、廃棄物処理会社に勤め始めた時期でしたが、少年を連れて出勤し、勤務先で面倒をみる日もありました。会社内では猫を飼っていました。この時期に、会社の猫を乱暴に扱っている父親の姿が目撃されています。

父親はダンプの運転手だったため不在の日も多く、少年は幼少の頃も孤独な時間が多かったようです。母親が戻った後は、何事もなかったかのように元の生活に戻りました。

大分一家6人殺傷事件の犯人が育った家庭環境

出典:PhotoAC

「感情の波が激しく家族を怒鳴り散らす父親」と、「一時期とはいえ、幼い息子を置いて家を出て、父ではない男性と暮らしていた母親」によって、大分一家6人殺傷事件を起こした少年は育てられました。

父親と母親、「どちらの方が常識的だったか」と近隣住人に尋ねると、「母親の方が常識的だった」との返答がありましたが、どちらにせよ「一般的とは言い難い家庭環境」でした。

犯人は父親から体罰を受けている所も目撃されている

家族を怒鳴り散らす父親だったので、少年に対しても容赦はありませんでした。怒鳴り散らすだけではなく、少年の体が浮かびあがるほどの力で蹴り飛ばす場面も目撃されています。

少年にとって父親は『絶対的な恐ろしい存在』であり、「のぞきや下着泥棒が父親に知られると怒られる」「家にいられなくなる」という恐怖心は、大分一家6人殺傷事件を起こした一因となっているといえます。

事件が起こるまでは被害者一家との交友関係も良好だった

出典:PhotoAC

被害者一家と犯人一家は隣同士であり、被害者宅の家主と少年の父親は釣り仲間だったため、大分一家6人殺傷事件の1週間前(被害者宅の家主が苦情を言いに来た日)までは両家の交友関係も良好でした。

少年は、小学生の頃は長女と仲が良く一緒に登校していました。中学生の頃は長男と仲が良く同じ部活動の先輩と後輩の間柄でした。次男とは、大分一家6人殺傷事件の1週間前まで一緒に遊んでいたほど仲良しでした。

大分一家6人殺傷事件の犯人の表向きの顔と闇の顔

dimitriwittmann / Pixabay

少年は、下着泥棒をした自分の罪を軽く捉え、自分を「のぞき犯」だと言った相手に対して被害者感情を持ち、相手に対する憎悪を膨れ上がらせたと考えられています。

大分一家6人殺傷事件の犯人は、冷静で計画的な面と、幼稚でいい加減な面があります。「思春期の不安定な心」や「家庭環境によって不安定になった心」の影響により、アンバランスな犯行になったと推察できます。

大分一家6人殺傷事件の犯人は「真面目」「いい子」と言われていた

出典:PhotoAC

少年は、家族と過ごす時間が少なく、一緒に過ごしたとしても「突然怒り出す恐ろしい父親」と「いつ居なくなるかわからない母親」では、自分の感情を表情や態度で表すのは難しい環境だったといえます。

少年の評判は、集落でも学校でも「真面目」や「いい子」といった良い印象でした。環境によって、自分の感情を隠す習慣がついてしまった少年の姿は、大人が見ると「大人しい、いい子」に見えたのかもしれません。

真面目な人だからこそ限度を超えた攻撃をしてしまい、一気に凶悪な犯罪にまで至ってしまう場合があります。少年も「真面目」だからこそ、大分一家6人殺傷事件という残忍な事件を起こしたのかもしれません。

小学生の時は新聞配達のバイトもしていた

meineresterampe / Pixabay

少年は、小学5年生の頃から新聞配達のアルバイトをしていました。配達の担当地域は自分の住んでいる集落(都原)でした。平成の世の中では、小学生の配達員はあまり見かけない珍しい存在です。

24戸の小さな集落での配達とはいえ、両親が揃って働いており、兄弟が多いわけでもなく、特殊な事情も見受けられない一般家庭で育った平成の小学生が、自分から「新聞配達をしたい」と言うでしょうか。

『強制的に働かされ、家計費を稼いでいた』『自発的に働き、小遣いを稼いでいた』どちらの場合であっても、「一般的とは言い難い家庭環境」だったことが伺えます。

高校の時同級生とトラブルがあり学校を休むように

出典:PhotoAC

高校に入学した少年は野球部に入部しましたが、4月のうちに退部しています。その後は不良グループと一緒に行動するようになり、髪を染め、ピアスもするようになりましたが、親に怒られたため、すぐにやめています。

5月の末、不良グループ内での立ち位置が低かったため「いじめ」のような暴力を含んだ遊びで諍いが起こります。少年が学校に報告したために双方の親が介入し、不良生徒の親が少年に謝罪して表面的には収束しました。

諍いの時にとった少年の行動は、級友達からの反感をかいました。6月に少年は、「学校をやめたい」と親を通して担任に伝えています。幾度の担任の説得により「もう少し頑張ってみる」と返答し、夏休みを迎えました。

不本意な進路の末に非行に走るが根は素直なままだった

出典:PhotoAC

少年は、中学生の時に授業で学んだコンピューターのグラフィックに関わる職業に興味を持ち、大分市内にある専門学科の豊富な県立高校に進学を希望していました。

高校の進学は、「成績が及ばなかった」「親に反対された」などの理由により希望が叶わず、地元にある野津高校の普通科に進学しました。少年にとっては、不本意な進路だったといえます。

ラジオ体操中に煙草を吸おうとしたことが1度だけありましたが、「煙草を吸うなとは言わんけど、小さい子の前で煙草はいかんよね」と、子どもの保護者が止めると、少年は素直に頷き、2度と煙草は出しませんでした。

ホラービデオ鑑賞が唯一の楽しみだった

出典:PhotoAC

少年の趣味はホラービデオ鑑賞でした。少年の友人が「ホラービデオが唯一の趣味だった」と言うように、他にはこれといった趣味が無かったようです。友人も少なく、友人と女の子の話をすることもなかったといいます。

少年は月に2~3度、片道約1時間の距離にあるレンタルビデオ店に自転車で行き、ホラービデオを借りていました。新聞配達で稼いだ小遣いでレンタル料金を支払っていました。

「残虐な映像を楽しむことで現実感が喪失し、大分一家6人殺傷事件のような凶悪な事件が起こる」という意見もありますが、反対に「一般的な人には凶悪な事件を防止する効果がある」という意見もあります。

被害者宅とは別の同級生の家にも下着泥棒で侵入していた

出典:PhotoAC

少年が学校を休むようになった6月頃から、集落では女性の下着がなくなる事件が相次いで発生するようになりました。下着がなくなった家は大分一家6人殺傷事件の被害者宅と、少年の同級生の家の2件だけでした。

少年の同級生の家には女子中学生がいました。7月の末に、女子中学生の部屋で10枚ほどの下着が切り裂かれて放置されていました。下着泥棒では様子を見ていた女子中学生の両親も、この時には被害届を出しました。

8月の上旬には、女子中学生とその母親の下着が切り裂かれ室内に放置されていました。少年は同級生の家の合鍵を盗んで持っていました。「下着泥棒とポルノ雑誌の放置は少年の仕業」との噂が集落で囁かれていました。

小動物を虐待したり盗みをしている所も目撃されていた

Dimhou / Pixabay

少年は、近所の子犬をとても可愛がり、たくさん遊びもしましたが、時折ボールを投げつけるなどの行動もしました。子犬の飼い主は、「可愛がりたいのか、いじめたいのかわからない」と、少年の行動に困惑しました。

2000年6月頃、子猫を掴んだ手を用水路に沈めている少年の姿が目撃されています。青年が声をかけると、少年はつまらなそうに子猫を解放しました。

水に沈められ、弱り切って震えながら逃げようとする子猫を追いかけようとした少年に、「もうやめろ」と青年が咎めると、少年は子猫を力いっぱい蹴り飛ばしました。

ストレスを発散させるために小動物を虐待していた

NEXT 小動物を虐待したり盗みをしている所も目撃されていた