カスパーハウザーとは何者?謎の出生から特殊な能力、暗殺の謎に迫る

Array

狭い空間に幽閉されていた彼は歩行が困難でした。立ち上がることが出来ないほど低い空間に閉じ込められていたのだから当然です。男は歩行の方法、ペンの持ち方、自身の名前の書き方を教えてニュルンベルクへ連れ出しました。そして2通の手紙を持たせると姿を消しました。

カスパーハウザーの特殊な能力

cocoparisienne / Pixabay

彼がただの孤児ではなく「ヨーロッパの孤児」として有名になった原因に特殊な能力があります。これらの能力は彼の生育環境に深く関係すると考えられるものや、全く特異で理解が出来ない能力まであります。なぜそのようなことが出来たのかは全くの謎です。

暗闇でも色を認識して、聖書を読んだ

Pavlofox / Pixabay

暗闇の中でカスパーハウザーは聖書を読むことが出来ました。また色彩も認識することが出来ました。窓のない暗闇の中で生活していたことが原因でしょうか?電気のない19世紀初頭ですから日が暮れると全くの闇の中に彼は存在していたことが想像できます。

嗅覚・聴覚も優れていた

aitoff / Pixabay

彼は嗅覚、聴覚も優れていたといいます。ほとんど暗闇の地下牢のような場所には音もなかったのでしょう。臭いに関しては、壺が置かれそこに排出物をためていたという証言があり、悲惨な状況だったことは分かりますが、詳細までは想像が及びません。

人間は完全な暗闇に中でモノが見える?

最新科学では完全な暗闇の中で目の前で自分の手の平を左右に動かすと、眼球がほぼ完全な形でその動きを追随することが判明しています。カスパーハウザーは人間の底で眠る能力に目覚めていた可能性があります。

磁気を感じ取る能力もあった

haalkab / Pixabay

カスパーハウザーは磁気を感じる能力や、握っただけで金属の材質を言い当てる、遠くにある蜘蛛の巣に虫が掛かった、など通常では説明のつかない極めて特殊な能力も持ち合わせていました。これらの能力は食事を与えられ人間らしい生活をするに従い徐々に消えていったといいます。

カスパーハウザーに似た環境?野生児とは

kulala13 / Pixabay

カスパーハウザーに似た症状に野生児という存在があります。なんらかの事情で人間社会と隔離された状態で成長した子供の事例です。世界には動物に育てられたという野生児の事例や、放置、幽閉された子供の事例が沢山あります。

ローマ神話に狼に育てらた野生児が登場する

Engin_Akyurt / Pixabay

狼に育てられた人間の子供という嘘とも真ともいいにくい話がローマ神話にあります。ロームルスはローマ建国者で初代の王様です。このロームルスは狼に育てられたと伝えられ、社会的に隔離された野生児ともいえます。

31人の野生児の特長をまとめた書籍

社会心理学者のルシアン・マルソンは、53のケースを野生児としてまとめています。31人の野生児の特長をまとめた総括表も出版されており、社会から隔離された子供がどのように成長をするのか研究が進められています。また野生児には次のような分類があります。

  • 動物に育てられた子供
  • 孤独な環境に放置された子供
  • 幽閉された子供

カスパーハウザーはバーデン大公後継者?

skeeze / Pixabay

カスパーハウザーにまつわる謎の一つが彼の身分です。ドイツの領邦の一つであるバーデン大公国の後継者ではないかという噂があるのです。世継ぎ問題から彼はこの世から消し去られてしまったのではないかと言われています。

貴族であるバーデン大公に見た目が似ていた

shilmar / Pixabay

彼はバーデン大公国の領主に見た目が似ていました。そこから生まれて間もない赤ん坊を死んだ子供と入れ替えたと噂が広まります。世継ぎで不都合な子供を消し去ったというのです。生れ落ちた子供は城の地下牢で誰にも知られずに生き続けていた。それが孤児になって現れたカスパーハウザーだと。

DNAの一致率が非常に高かった

geralt / Pixabay

現代の科学でカスパーハウザーの出生の謎を解明する研究は着実に進んでいます。しかし、約200年という時間の中に埋もれた謎は簡単に拾い上げることができません。DNA鑑定にしても結果の解釈の仕方で大きな隔たりが生まれています。

彼が着用していたとされるズボン

カスパーハウザーが着用していたとされるズボンを鑑定した結果、彼がバーデン大公国の王子である確率は極めて低いという事実が判明しました。これによって謎の一つは収束を迎えるかに見えましたが…

ズボンに付着していた血液、体毛が別の人物のもの

ズボンについていた血痕と体毛をDNA鑑定すると別人のものだと判明。一度目のDNA鑑定に疑問が投げかけられました。またズボンから検出した「指紋の一部」がバーデン大公の子孫とかなりの部分でで一致することが分かりました。

いまだに真相は闇の中

darksouls1 / Pixabay

彼の出生にまつわる謎はいまだに解明されません。現在のバーデン大公の末裔は検査を受けることを拒んでいます。王族の子孫か、それとも名もなき孤児なのか。歴史に埋もれた陰に光が届くことはあるのでしょうか?

タイムスリップは実現する?現代科学はどこまで迫っているのか!

カスパーハウザー突然の暗殺

sik-life / Pixabay

ヨーロッパに突然現れてブームのように席巻した彼は、やはり突然の暗殺という悲劇によってこの世を去ってしまいます。ようやく言葉を喋り世の中で生活できるようになった矢先の不幸でした。ヨーロッパの孤児と呼ばれた彼は謎だけを残して消えたのです。

家で1人のときに襲撃される

stevepb / Pixabay

1829年10月にマスクをつけた何者かに彼は襲撃されます。こん棒かナイフのようなもので殴られ、額に大きなけがを負いました。自作自演だという噂や出生にまつわる口封じだとも噂されました。彼に対する市民の感情は、好奇心や恐れもあり同情ばかりではありません。

1度目の襲撃から4年後に暗殺される

aitoff / Pixabay

1度目からの襲撃から4年後の1833年12月雪の降る日にカスパーハウザーは二度目の襲撃を受けます。胸をえぐられる大きな刺し傷。この傷が原因で数奇な運命に翻弄された彼の人生は幕を下ろすことになります。

スキャンダル隠しのための暗殺という声も

Devanath / Pixabay

2度目の襲撃も彼がひとりの時におきました。襲撃した犯人もまた謎です。口封じの暗殺説や自殺説が流布されました。彼は雪の降り積もるアンスバッハの公園で殺傷されました。不思議なことに雪の上には一人分の足跡しか残っていなかったとも記録されています。

カスパーハウザーが残した影響

彼の生涯は数多くの映画や文学作品に取り上げられています。また彼の名前に由来した音楽グループやペンネームもあります。彼の名前が思想的なバックグラウンドを表現する方法として利用されています。

数々の作家がカスパーハウザーを描いた

多くの作家がカスパーハウザーを描いています。古くは1838年にフランスでドラマ化されています。ドイツからフランスへ。カスパーハウザーがどれほど人々の興味の対象になっていたかがうかがい知れます。

カスパーハウザー実験・症候群

カスパーハウザー症候群は、幼年期に長期的に愛情や温もりを感じることがない、社会的に孤立した環境で生活することによる身体的、心因的に発生する症状を言います。子供を指す言葉で大人になってから孤立した人を指す言葉ではありません。

カスパーハウザー実験

小動物でカスパーハウザー症候群の実験をした結果があります。生まれて間もない状態で正常な経験を奪った小動物は、種として持つ生まれながらにして持っている行動様式が失われていくことが分かりました。

カスパーハウザーが残した言葉

カスパーハウザーが残した言葉は数少なく彼の謎を解く手掛かりにはあまりに不足しています。そんな彼の言葉の中には、意味深で強く引き付けられるものがあります。16年間暗闇に閉じ込められてきた悲痛の叫びです。「助けてほしい」よりもっと切なく響きます。

私はあの地下牢から出てこなければよかった

Boztay_Akimkhan / Pixabay

カスパーハウザーは「僕はあの地下牢から出てこなければよかった」とある日語ったといいます。あの地下牢から出てこなければ、何も感じず、何も知らずに済んだのに。彼は失われた時間と自分が得ることが出来なかった膨大な喪失感に苦しんでいたのかもしれません。

カスパーハウザーの銅像

上記の画像はカスパーハウザーの2体の銅像です。手前が保護された当時を表すうつむいた少年。そして奥に見えるのが帽子を捨て前を向いた少年。カスパーハウザーは本当は何を望んでいたのでしょうか。

謎に包まれたまま消えてしまったカスパーハウザー

James_Jester / Pixabay

カスパーハウザーは謎の中から生まれ謎の中に消えてしまいました。彼はどこから生まれどこに行こうとしていたのでしょうか?現在の世界にも自由を奪われ迫害される人々がいます。彼の数奇な人生から人間らしさとは何かを想像するきっかけになればと願います。

都市伝説に関係する記事はこちら