あさりについて
わたしたち日本人にとって大変馴染みのある食材であるあさりですが、海の中でどのように生活をしているのかを知らない人は多いのではないでしょうか。ここでは生態の特徴などを簡単に紹介します。
古くから親しまれてきた貝
国内のほぼどこにでも生息し、さらに広くは台湾やフィリピンの方まで分布しています。普段は浅い砂地や砂泥地に生息していることが多く、とりわけ塩分濃度が薄い場所を好みます。
古代人のゴミ捨て場であった貝塚からも発見されるように、国内では古くから食材として親しまれ、今でも汁物やパスタなど様々な料理に使われています。
あさりの生態
餌は珪藻類や生き物の死骸や排泄物が有機化されたものが中心です。よって沿岸よりも沖の方が適した餌が豊富にあるために、成長も生息地によって大きく異なります。
年中産卵しますが主に春と秋が多く、1〜2年をかけて成貝へと成長していきます。
あさりの旬についてご紹介!
年間を通してとても簡単に手に入れることができる食材ですが、おいしくいただくことのできる「旬」はあります。ではもっともおいしいとされるその季節はいつなのでしょうか。
適した時期を知ると、さらにおいしいあさりに出会うことができます。
あさりの旬を解説:はじめに
日本はあさりが豊富に獲れる漁場を多く持っていますが輸入にも強く頼っているため近隣諸国産のものばかりがスーパーに出回るようになりました。
通年食べられるという利点はありますが、やはり旬になれば国産を味わうことをおすすめします。ここからは気になる旬について徹底解説します。地域別にまとめました。
あさりの旬は春
スーパーや魚屋などで年中見かけることができますが、その多くは輸入物が中心です。がしかし、寒さが和らぐ晩冬の頃になると少しづつ国産ものが目立つようになります。そして潮干狩りのシーズンが始まる3月中旬頃からが本格的なシーズンが始まります。
地域のよって若干差がある
全国一斉に春が訪れないのと同じように、春でも獲れる地域によって旬の到来には多少の誤差があります。また関東より南の地域では秋にも産卵する個体が多いため、10月頃に再び旬を迎えます。産卵期の個体は身の膨らみもしっかりとしており、もっともおいしいタイミングなのです。
地域ごとのあさりの旬を解説!
国内には産地となっている場所がいくつかあります。また、地域によって個体の大きさや貝殻の色や模様に違いがあるのも面白いところです。さらには気候が異なる分だけ獲れる時期にも若干の違いが出てきます。ここからは主な産地ごとにその特徴を解説します。
地域ごとのあさりの旬①愛知県
愛知県の三河湾は国内屈指の産地として有名です。10年連続で全国1位の漁獲量を記録した実績があり、全国シェアが7割と圧倒的な数字を残しています。豊かな栄養分を含む海域で育てられるため、丸々とした立派な身が特徴です。がしかし、一方で近年は漁獲量激減の問題にも直面しています。
愛知県のあさりの旬は3月~5月
漁期は周年ですが、特に3月から5月にかけての個体はもっとも大きく食味も良いとされています。東三河地域では大粒の個体を串に刺して天日干しに加工したものが古くは江戸時代の頃から盛んです。
塩分のみのシンプルな味付けにも関わらず旨味が存分に凝縮されているためその味わいは深く、酒の肴として多くの県民に愛されています。
愛知県のあさりの漁獲量
全国の総漁獲量のおよそ50〜70%をここ愛知県でまかなっているほど産地として盛んで多い時は実に1万トンを超えていました。がしかし、近年1万トンを割り込む年が続き平成28年には3000トンほどまで落ち込み潮干狩りが中止になるなどの影響も出ています。
苦潮という閉鎖的な内湾で発生する潮が原因と言われています。
地域ごとのあさりの旬②静岡県
静岡県も特産地として有名です。中でも浜名湖は海水と淡水が入り混じ理、底も砂泥地であることから生息に大変適しており、旬になると型のいいあさりがたくさん獲れることで知られています。もちろん味も折り紙付きです。
静岡県のあさりの旬は2月〜6月と10月
本州の中でも温暖な気候なため2月頃にはシーズンを迎え、初夏の6月まで続きます。また10月にも再び活発な産卵期に入るため身入りの良いものが獲れる傾向にあります。
浜名湖産が集まる村櫛漁港の周りでは味噌汁や酒蒸し、あさりがたっぷり入ったカレーなどを味わうことができます。
静岡県のあさりの漁獲量
全国2位の漁獲量を誇る静岡県ですが、愛知県同様に近年は大幅な減少傾向にあり、浜名湖名物である潮干狩りにも規制が入るようになっています。
以前にも同じように減少したこともあり、それ以後は採取できるサイズを決めたり一日の漁獲量に制限をもたせるなどをして回復に努めてきました。今回も早期の復興が期待されています。
地域ごとのあさりの旬③千葉県
春になると潮干狩りで多くの人が賑わう千葉県も国内有数の漁場となっています。特に都内在住の人にとっては「潮干狩りといえば千葉県」と連想されるほど有名な産地です。中でも船橋のものは殻が薄く、身が詰まっている特徴があります。
千葉県のあさりの旬は3月〜5月と9月
旬と言える一般的な時期と同じく3月から5月が最盛期です。一方でまだ暑さの残る9月頃も見事な身を宿した個体が多く獲れます。殻に青みが入ることが多く船橋沖にある干潟の名前をとって「三番瀬ブルー」とも呼ばれています。
「ふうかし 」と名付けられた味噌汁が郷土料理として親しまれています。
千葉県のあさりの漁獲量
愛知県の漁獲量には遠く及ばないものの、本州では年によってトップ3に入るほど産地として名を馳せていますが、漁というよりはどちらかというとレジャーとしての潮干狩りのイメージが強いようです。もっとも賑わう三番瀬海浜公園ではあさりをモチーフにしたゆるキャラも存在し賑わいを見せています。
地域ごとのあさりの旬④北海道
北海道は全ての沿岸部で獲ることができますが、主に道東の根室湾や、浜中町にある汽水湖である火散布沼、また昆布や牡蠣でも名高い厚岸湾など豊富な漁場が存在しています。
特に厚岸産は大きさが4センチほどもあり、見た目はハマグリのように大きいのが特徴です。肉厚の身は出汁もしっかり取れるため汁物にすると濃厚な味わいをもたらします。
北海道のあさりの旬は4月〜7月
春の訪れが一歩も二歩も遅い北海道では旬の季節も本州よりも1ヶ月ほどずれ込むのが特徴です。また秋に再び産卵の最盛期を迎えることはないので一年のうち春から初夏のみが肉付きのいい身を堪能できる唯一の季節といえます。
刻み昆布と一緒に煮付けにする料理や炊き込みご飯などが地元の人に親しまれています。
北海道のあさりの漁獲量
1000tを超える年もあるほど多くの量が獲れます。がしかし、なかなか北海道産がスーパーに出回ることはなく、めったに目にすることがありません。その代わりネットだと「横綱あさり」などとして特徴でもある大型のあさりを購入することが可能です。