テンレックとは?
テンレックって何?聞いたことない…という方や、なんだかテレビでやってた気がするけど詳しくは知らないという方のために、この記事では興味深いテンレックの魅力をたっぷりお伝えしていきます。
針をまとった独特のフォルムの動物
トゲトゲの小さな丸い体に、黒くキラキラした小さな目。素朴で優しそうな表情。見る人を一目で惹きつけるこの子はテンレック。アフリカの隣のマダガスカル島からやってきました。一体この子はどんな動物なのでしょう。
ハリネズミではない
テンレックは単にマダガスカル版ハリネズミということではなく、実は生物学的には全く別の種類の生物です。逆にそれなのにこんなにそっくりだなんて驚きですね。これについては後ほど詳しくお話ししていきます。
テンレックの仲間たち
テンレックは一種類ではなく、30種ほどの数多くの仲間たちが確認されています。ここからは代表的な3種をご紹介していきます。それぞれ見た目は個性的ですが、みんな同じテンレックの仲間です。
ハリネズミそっくりのヒメハリテンレック
まずご紹介するのはヒメハリテンレックです。英語名はlesser hedgehog tenrec。hedgehog(ハリネズミ)と名前にしっかりと入っているように、ハリネズミそっくりの姿がかわいらしく人気の種類となっています。またこちらの種類の寿命は10〜13年で、これは他の種に比べてかなり長生きです。
コモンテンレック
次にご紹介するのはテンレックとして一番大きなコモンテンレックです。体重は500g〜1.5kgほどで、体長は25cm〜39cmほど。大まかにウサギぐらいの大きさであると言えるでしょう。ヒメハリテンレックと比べると鼻がすっとしていてまた別の魅力がありますね。
tailless(尾無し) tennecという名でも知られている通りに尻尾はなく、まん丸のお尻がチャームポイントになっています。寿命は5年ほどだそうですのでなんだか少々寂しい気もしてしまいますね。
こんな奇抜な姿の仲間も!
シマテンレックという種類は黒と黄色の毛色に、頭に長い針を持っているのが特徴です。また彼らは背中の一部分に特別な針を持っており、コミュニケーションの道具としてそれらを擦り合わせて音を出し、危険を知らせる時などに使います。このテンレック以外にこのような伝達方法をとる哺乳類はおらず、とても珍しいということです。
テンレックの生態や特徴
ここからは、多彩なテンレックたちに共通した生態をご紹介していきます。マダガスカル全域に生息する彼らは、どのような場所で、いつ活動し、何を食べて暮らしているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
恐竜時代から変化していない姿
テンレックたちは、胎児が生まれてくる産道と肛門が同じ管というとても原始的な生き物の特徴を持っています。他にこの特徴を持つのは爬虫類や鳥類ですが、哺乳類としてはとても珍しいことなのです。
また、テンレックたちが今の姿になったのはなんと恐竜が生きていた時代のことだそう。そんなはるか昔に進化が完成していて、恐竜たちが姿を消してからも今なお生き続けているなんてすごいことですよね。太古から同じ姿をしている生き物といえばワニやラブカなども有名です。ラブカについて気になった方はこちらをご覧ください。
一度に最高32頭の子どもを産む
お母さんテンレックを中心に、周りで小さなうり坊のようなしましまの子供達がよちよち歩いています。テンレックたちはなんと平均15〜20匹もの赤ちゃんを産みます。これまでの最多記録はなんと32匹だったそう。この多さは実に哺乳類の中でも最多クラスです。
森林やサバンナに生息
テンレックは森林やサバンナで暮らしています。基本的には夜行性で、また、地面から離れることなどなさそうなあの見た目に反して、地面だけでなく木に登って餌を探すこともある、なかなかアクティブな動物です。夜行性ですが特別夜目がきくわけではなく視力はあまりよくはないようです。彼らが頼りにするのは音。敏感な聴覚を持っています。
食性は雑食
実はテンレックはその小さな姿からは想像できないほどの大食漢。1日に自分の体重と同じくらいの量の食事をします。好物はミミズやバッタ、コオロギ、果物や小型のトカゲやカエル、小鳥の雛などいろんなものを食べて生活しています。陸棲の貝なども食べることがあるようです。
テンレックの護身術が可愛すぎる!
テンレックの護身術、それは一体どのようなものなのでしょうか。スカンクのように嫌な臭いを出したり、いざという時には特殊な声をあげて威嚇したりするのでしょうか。こちらでは彼ら渾身の、でもとってもかわいい護身術をご紹介します。
動かず敵が過ぎ去るのを待つ
『僕はここにいませんよ〜…』テンレックの護身術、それは息を潜めていないふりをすること!彼らは危険が迫っている音を察知すると、周囲の環境に紛れながら危険が去っていくのをじっと待つのです。なんだか心許ない気もしますね。
ですが、マダガスカルにも住んでいる猫科の肉食動物が興味を持つのは動く生き物のみということですので、これも立派な危険回避行動なのです。また、ピンチの時に人間から見ればすごくかわいい行動をとってしまう動物には他にレッサーパンダがよく知られています。レッサーパンダかわいい!気になる!という方はこちらもぜひご覧くださいね。
怖すぎちゃってぷるぷる…
これは以前イッテQでテンレックについて取り上げられた時の映像です。どうやら怖すぎるとうまく静止できない時もあるようです。もう危険の察知を通り越して怖いものに囲まれていた状況がいけなかったのでしょうか。映像のこのテンレックの子供が後々外敵に襲われないことを祈りたくなる可愛らしさですね。
噛みつくこともあるので注意
自分が静止していてもまだ相手が攻撃してくるような場合には、さすがのテンレックでも噛みつくことがあるようです。人間と暮らす場合も、とても臆病な動物ですのでまだ慣れないうちは怖がると噛みつくこともあるかもしれません。ゆっくりと慣らして警戒を解いてあげるとよいでしょう。
テンレックは飼育できる?
小さくてチクチク可愛らしいテンレックとぜひ一緒に住んでみたい!我が家に迎えたい!という気持ちになる方も多いことと思います。テンレックは自宅で飼育することができる動物なのでしょうか。
ペットとしても人気
愛らしいテンレックたちはペットとして飼うことができます。珍しい動物のため価格は¥55000〜¥70000程度と少々お高めですが、ここ数年どんどん人気を集めています。その性格はおっとりとおとなしく、またハリネズミと比べて彼らの針は抱き上げてもあまり痛くなく扱いやすいと言われています。