日本国内に少数ではありますがテンレックのブリーダーさんたちはいます。ですが野生のテンレックも絶滅危惧種には指定されていませんのでマダガスカルから直接輸入されてくることもあるようです。
Contents
テンレックの飼育方法
テンレックを飼育しても大丈夫なことがこれでわかりました。でもどうやって育てればいいんだろう、ケージの大きさは?特別必要になるものはある?という方のために、ここからは基本的な飼い方のポイントをご紹介いたします。
おうちは大きめがいい
テンレックを家に迎えるにあたって、運動も含めケージの中でほとんどを過ごしてもらうことになりそうであれば、ケージの大きさは最低60cm四方は欲しいところです。外に出していっぱい運動させるよ!というのであればもう少し小さくても大丈夫ということです。
床部分には小動物用の紙や牧草などを敷いてあげましょう。エサ箱や給水器、寝るための場所もお忘れなく。彼らは本来は夜行性だそうですので、昼間の大きな物音には注意してあげるといいかもしれません。
エサは生餌がおすすめ
テンレックの餌はハリネズミフードで代用することができます。ですがそれだけでは栄養に偏りが出てしまうので、2〜3日に一度くらいでも生のコオロギやミールワームなどの生餌も与えてあげると長く元気でいてくれます。たまにおやつで果物を与えるのもいいでしょう。
回し車は必須
野生で生活するものと違い、飼われているテンレックは移動距離も少なく運動不足になりがちです。その対策としての必須とも言えるのがハムスターなど他の小動物と同じく回し車。とことこ歩く彼らを見守るのもとても癒されるものです。また、野生のテンレックたちは木の上で過ごすこともありますので、登り木を置いてあげてもいいでしょう。
温度には気をつけてあげよう
テンレックの飼育に適した温度は、10℃〜30℃と言われています。日本の夏は少々暑すぎるかもしれませんので、直射日光でない風通しのいい場所にケージを移してあげましょう。小動物全般に言えることですが、涼しくなるからといってエアコンの風がダイレクトに当たる場所はNGです。冬にはペット用のヒーターを付けてあげるのもいいですね。
診てもらえる獣医さんを探しておこう
テンレックはペットとしてはまだ珍しい動物ですので、もしもの時のために、自宅にお迎えする際には診てもらえる獣医さんを探しておくことをおすすめします。エキゾチックアニマル診療可能としている獣医さんだと診てもらえる可能性は高いですが、ホームページや電話などから確認を取るようにすると確実です。
テンレックはなぜ子だくさんなのか?
一般的に、成長の過程で多くが命を落としてしまう生物は生まれる子供の数が多いという傾向があります。大きな体で水族館の人気者のあのマンボウは、一度になんと3億個もの気の遠くなるような数の卵を生みますが、大人になるまで生き残れるものはわずか一握りだと言います。マンボウについて気になった方はこちらをどうぞ。
ではテンレックは?
ではテンレックたちには、なぜこんなにもたくさんの赤ちゃんが生まれるのでしょうか。一度にたくさんの赤ちゃんを出産するテンレックですが、乳首の数が常に子供の数に対して充分だとは限らないようです。最多記録は29個だそうですが、通常はもっと少ないそうです。
他の哺乳動物においてもお母さんのお乳をしっかり飲むことができなかった弱い子は衰弱して死んでしまうことがありますから、残酷なようですが、生存本能に長けた強い子が生き残るようにとこのような生態になったのかもしれませんね。
マダガスカル島の生物は特殊
テンレックたちが暮らすマダガスカル島には他にも、世界でその場所でしか見られない、奇抜で不思議な見た目をしていたり面白い生態だったりする動植物たちがその個性を発揮しながらたくさん暮らしています。
独自の進化を遂げた
遥か太古の昔にアフリカ大陸から離れてできたこの島は、その後しばらく外の世界と交わることがなく、生き物たちはそこで独自の生態系を作り出しながら進化をしていきました。現在でもマダガスカル島に生息している生物の9割は、その島でしか見ることのできない、極めて珍しい種だと言われています。
マダガスカル島の固有種
マダガスカルには世界の全カメレオンの、実に半分にも相当する種類が暮らしています。動物園の人気者のワオキツネザルや横っ飛びしながら走るベローシファカ、日本では童謡でお馴染みのアイアイなどの珍しい猿たちのふるさともマダガスカルです。
テンレックたちの中でも先程ご紹介したシマテンレックは他の仲間と比べて飛び抜けてカラフルな見た目をしていますが、ここマダガスカルで生きていると思えば納得ですね。小さなテンレックたちですが、個性豊かな住民の多いこの島での居場所をしっかりと確立しながら、長い年月を過ごしてきたのです。
テンレックとハリネズミは似てるけど全然違う
この記事のはじめにテンレックはハリネズミとは違う生物だとお伝えしました。それは具体的にどういうことなのでしょうか。どう見ても似ているのに違う、彼らの秘密をここから詳しくお伝えしていきます。
その理由は収斂進化
収斂(しゅうれん)進化という言葉をご存知でしょうか。本当はそれぞれ別のご先祖さまから全く違うルートで進化してきた動物なのに、似たような暮らしで似たような方法で敵から身を守ったりして生きてきたがために、結果としてお互いがすごく似ている見た目になった状態のことを言います。
ハリネズミとヒメハリテンレックはよく似ていますが、両者はご先祖さまとなる存在が大きく異なっています。テンレックは実は象、ツチブタ、マナティーやジュゴンなどへと枝分かれした生物をご先祖さまに持っています。見た目が似ているハリネズミよりも、それらの大きな動物たちの方がずっと近しい存在であるのです。
収斂進化は以外とたくさん
ダイビング中に運がいいと一緒に泳げるかもしれないとされ、人を襲うことがない優しいサメとして知られるジンベイザメ。彼らはプランクトンを食べて生活しており、同じような食事をしているクジラたちとよく似た体をしています。ですが、やっぱり彼らはサメの仲間なんです。
また、日本にもいるモモンガとオーストラリアのフクロモモンガもよく似ていますが違う仲間です。フクロモモンガは有袋類として、カンガルーやコアラの方の仲間であると言えます。耳慣れない言葉であろう収斂進化ですが、実は様々な動物たちがこれに当てはまります。
テンレックに会えるカフェがある!
東京、原宿にある『ハリネズミカフェ 原宿駅前店』さんでは、ハリネズミだけでなくテンレックにも会うことができます。ぜひ一目会いに行ってみたい!意外とやわらかいというその針を触ってみたい!という方はぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか。
テンレックは可愛くてペットにおすすめ!
どこまでも愛らしく、興味深い動物であるテンレック。マダガスカルの自然の中で暮らすテンレックにも、人間と暮らすテンレックにも、どちらにも末長く幸せな未来が待っていることを願ってやみません。家族に迎える日が来たならば、どうか愛情を持って接してあげてくださいね。