では、このような状況下で島民たちは意義を唱えることはなかったのでしょうか。
なぜこのような大きな力を一族が持つこととなったのでしょうか。詳しい事情についてご紹介します。
最後に行われた選挙は激しい対立を生んだ
なぜ島民は選挙をしない現状に不満を言わないのか、その大きな理由として、60年前に実施されたそれが島民たちの間に忌避すべき記憶として残っていること挙げられます。
狭い島、誰もが顔見知りであるような環境、その中で行われた選挙は支持者と立候補者の間の結びつきが強いだけに熾烈を極めました。対立候補を応援している相手とは口も利かないくらいに両勢力の関係は険悪になりました。
最終的には選挙に負けた立候補者一家は島を追放されてしまいました。選挙で負けただけでまるで憎むべき敵のように扱われてしまうのですから、島民が村長選に立候補する気にならないのも頷けます。
2016年に立候補が現れるが惨敗
もちろん、そんな現状を変えようと約60年ぶりに現村長の対立候補として名乗りを上げた勇気ある人もいました。しかし、やはり現村長の支配力は絶大なようで、新しい風が島に吹くことはありませんでした。
姫島村で起きた恐怖のリンチ事件
閉鎖的で内部の結束が強いこの島では、それが悪い方向に発露して起きてしまった陰惨な事件があります。ここからはその事件についてご紹介していきます。
発端は帰郷した2人の兄弟
この事件の被害者となったのは、島に帰郷した20代の兄弟でした。島で映画館などを経営し始めたふたりは、ガラが悪くよく気に入らないなどの理由で島民に暴力をふるっていました。
暴力団などとの関係を仄めかし、島の権力者であった叔父の権威を使い、周囲の人間が逆らえないようにしながら好き放題していました。
暴力を繰り返し島を荒らす兄弟
暴力をふるう理由は本当に些細でした。機嫌が悪ければ目の前にいただけでも因縁をつけ暴行し、警察に通報されれば数日で出所した後お礼参りをしていました。そんな中、島の青年団が入場無料で歌劇団を招き公演をしてもらうという企画をしました。
自分が経営している映画館よりも客入りがいいことに腹を立てた兄弟は、青年団へ殴り込みを行いました。9人もの人間がけがを負わされてしまいました。