ロープワーク「本結び」とは?
本結びは、ロープや布端を固く結ぶことができる結び方・ロープワークのひとつです。その歴史は古く、一万年以上前から使われていたと結び方であると考えられています。他の結び方の基本となることも多いので、本結びの詳しい手順を理解しておくと様々な結び方・ロープワークに応用できます。
同じ太さの2本のロープを結ぶやり方
本結びは1本のロープだけでなく、同じ太さの2本のロープを結ぶ方法もあります。ただし実用性の面から考えると、1本のロープの端と端を合わせて何かに利用するのが最適といえるでしょう。2本を繋いだ場合は、どうしても強度が弱くなるので、あくまで簡易的な用途での使用をおすすめします。
ロープワークの基本の1つで別名も多数
本結びには、日本語だけでも多くの別名が存在します。固く結ぶことができるという理由から「かた結び」、風呂敷を結ぶときによく使われる「真結び」。その他にも「細結び」、「まる結び」、「しめ結び」、「男結び」、「平結び」など呼び名の多さからいかに王道的な結び方であるかがわかります。
ちなみに、本結びのことをイギリス英語では「Reef knot」と言います。リーフとは「縮帆」という意味で、帆舟においてを帆を縮める作業を行うときに、この結び方を使っていたことがその名の由来です。また、アメリカ英語では「Square knot」と呼びます。
本結びの特徴は?
王道的な結び方として古くから東西で使われてきた本結びですが、具体的にはどういった特徴をもっているのでしょうか。以下に、その詳しいメリットを解説します。これを知れば、どうしてこの結び方が今もなおあらゆる場面で重宝され続けているのかが分かると思います。
結び方が簡単で強度がある
まず特筆すべきは結び方がシンプルであるにもかかわらず、高い強度を誇ることでしょう。ただし、強度が必須とされるシーンでは、2本のロープを繋ぐより、1本の端同士を繋いで利用するといった使い方を推奨します。 ロープの種類選択や使う状況によっては強度が活かされないこともあるので、後述の注意点も合わせてご覧ください。
簡単にほどくことができる
本結びは、一度結ぶと解けにくい繋ぎ方であると思われていますが、実は簡単に解くことができます。こちらも知っておくと日常生活で何かと便利なので、具体的な手順を後述します。とはいえ、きつく結んだ場合解きにくいことに変わりはないため、解くことを前提にして結ぶような場面では他の結び方を検討しても良いでしょう。
本結びの結び方
ここからは、本結びの結び方について画像を交えながら具体的手順を説明します。手元にロープを用意して、以下を参考にしながらぜひ練習してみてください。さまざまな場面で役立つ結び方なので、これを機に知っておけば日常で活かす機会があるはずです。
2本のロープを交差させる
まず、2本のロープを交差させます。原則どちらが上でも本結び自体は可能ですが、今回は赤いロープを上にして進行していきます。次にどちらか1本のロープともう1本のロープを絡めて交差させます。すると、写真のような形になります。
上と下で同じ形をつくる
最初に交差させた段階で上にしたロープと同じロープを上にして交差させます。なので、この場合では赤いロープを上にします。交差させた部分を下と同様に絡めると、写真のような形ができます。このとき上下が同じ形になっているかを確認しましょう。あとは2本の末端を左右に引っ張って、結び目を整えたら完成です。
さらなる結束力を必要とする場合
消防局で使われる本結びは、ここから2本のロープの末端を青い矢印に沿って動かすことで「半結び」を加えます。これによってさらに強度が上がり、結び目が解けにくくなります。ロープの末端は握り拳1個分、約10cm残るようにして下さい。
消防署式「本結び」の完成
いかがだったでしょうか。それほど複雑な工程ではないため、写真を見ながらゆっくり行えば誰でもできる結び方であると思われます。とはいえ、特定の趣味や職種でなければ「結ぶ」機会と関わりの薄い現代、ロープワークに苦手意識を抱く方は少なくないと思います。そこで今回は動画を紹介させていただきます。
本結びの結び方に関する動画
本結びの結び方について紹介する動画です。前述した消防署式の本結びにあった「半結び」の過程は含みません。上記の動画ではロープの結び方だけでなく、三角巾を使って結ぶ・解く過程を実践しています。写真付きの説明だけでは理解が難しかった方、三角巾による本結びを知りたい方はご参照ください。
本結びの解き方
本結びは別名「かた結び」と呼ばれるほどに、解くことが難しい結び方であるといわれています。しかし、正確な手順さえ理解していれば、誰でもスムーズに結び目を解くことが可能です。ここでは、本結びを解くための手順を画像と動画付きでご紹介します。
まずはロープを縦にもつ
まず、本結びをしたロープを右手で垂らすように持ちます。続いて上を向いているロープの先端を左手で摘んだら、それぞれの手でロープを左右に引っ張ります。すると、結び目が緩んでいくのがわかると思います。画像は左右に引っ張っているところです。
あとは結び目を動かすだけ
ロープの端を掴んでいた片方の手を離し、画像のように結び目を持ちます。結び目を持ったまま、赤い矢印の方向へロープを引いていきます。すると、簡単に解くことができます。これで解けない場合は、手順を間違えているか、本結び自体を間違えている可能性があります。
解き方を動画で最終確認!
本結びのほどき方は動画の1:23~です。解くまでかかった時間は10秒未満です。コツとしては最初にロープを持ったとき、上を向いた2本の先端を摘む手を間違えないこと、そして、もうひとつはそれぞれの手で先端を左右に引く際は、思い切って引くことです。以上の2点を押さえれば安心です。
本結びが使われる場面
本結びはロープを結ぶ以外にも、さまざまな場面で活かされている結び方です。ここでは、本結びが重宝する場面の一部をご紹介します。あなたの身の回りのあちこちで本結びが活躍しているはずです。これを機に身の回りの本結びを探すという試みも面白いのではないでしょうか。
ロープで本や雑誌を縛る・括るときに
不要になった新聞や雑誌、本を縛るときにも本結びは有効です。ロープワークというとアウトドアのイメージが強いかもしれませんが、ゴミ回収や引っ越しの荷造りなど、普段の生活でもロープワークが必要とされるシーンはあるのです。そういった意味でも本結びを覚えておいて損はないでしょう。
着物の帯留めを結ぶときに
本結びはベルトや着物の帯締めと帯揚げの結び方として活用されています。上記の画像は本結びからの蝶結びを行ったものです。古い出土品から本結びは石器時代の頃から使われていたことがわかっています。また、古代ローマではベルトを本結びにした石像が発見されており、これは「ヘラクレス・ノット」と呼ばれています。
風呂敷包みやお弁当箱を包むときに
本結びは、お弁当の包みや風呂敷の包みなど布の端を結び合わせる場面で、古くから重宝されてきました。手早く結ぶことができる上、結び目がちょうど安定感のある持ち手代わりになるため、持ち運びの際にも役立ちます。
水引の「結びきり」に
水引にも本結びは活用されています。水引において使われる本結びは「結びきり」といって、一度きりにしたい・二度とあってはならない場合に使います。その由来から病気や災害見舞のほか、結婚の際にも用いられています。逆に出産や開店など何度起こってもよい事柄に関しては、何度でも結び直せる「花結び」が使われています。