本結びは医療現場でも活躍しています。医療現場で本結びと聞くと、骨折した腕を固定する三角巾を連想される方が多いかと思いますが、実際には外傷を負った頭部を三角巾で覆う必要がある場面などでも使われています。この結び方が推奨されるのは、固く結べる上に手順がシンプルであるため、咄嗟の処置に最適だと考えられているからでしょう。
その他アウトドアシーンで活用できるロープワークについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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本結びを使う時の注意点
これまで紹介したようにさまざまな場面で活躍する本結びですが、状況によってはそれを使うに適さないときもあります。かといって、本結びが便利な結び方であることに変わりはありません。本結びを本当の意味で有効活用するためにも、この結び方が苦手とする状況を把握しておきましょう。
ロープを繋げて長いロープにするのは適さない
本結びは、強度の面からロープ同士を繋げて長いロープを作ることに適していません。実用面では、一本のロープの端と端を結び合わせて何かに活用するという結び方です。アウトドアシーンで本結びを使う場合は、結び目が緩いと事故に直結する恐れがあるため、この特徴を忘れないでおきましょう。
違う太さ・滑りやすい素材の時も強度が落ちる
本結びは同じ太さのロープを結び合わせた際、高い強度を発揮しますが、太さあるいは素材が異なるロープ同士を結び合わせると解ける可能性があります。また、同じ太さであっても太過ぎるロープ同士を繋ぐことに対しても不向きだとされています。本結びは「同じ太さで同じ材質のロープを繋ぐ結び方」であると覚えておきましょう。
結び方を間違えると縦結びになるので要注意
本結びを結ぶ上で、最も注意すべきは交差したときにどちらが上になっているかをよく確認しておくことです。「手前からのびたロープの先端は手前、奥からのびたロープの先端は奥」と覚えておきましょう。これが逆になると縦結びになります。縦結びは見栄えが悪いだけでなく解けやすいので、何かを繋げることに適していません。
ロープワークとは異なる釣り針の本結び
釣り用語としても「本結び」と呼ばれる結び方が存在します。が、その結び方はこれまで紹介してきたロープワークの本結びとは異なるもので、釣り針とハリスを結ぶことを目的としています。こちらも強い結束力を持つ結び方ですが、その方法が若干複雑なためか、釣りの専門書で紹介される機会も減少しているようです。
釣り針とハリスを結ぶ釣り用語の本結び
釣り用語としての本結びには「内掛け本結び」や「外掛け本結び」などの別名があります。知名度の低さがそういった別名を生んだのだと考えられています。「内掛け結び」と「本結び」が混同されることもあるため、手による「本結び」のやり方を動画で紹介します。針の結び方でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
本結びに似ているロープワーク
今回の記事では「本結び」をメインにご紹介しましたが、皆さんご存知の通り他にもロープワークはたくさん存在しています。中には、本結びから派生したような結び方を行うロープワークもあるため、以下に簡単ではありますが動画で説明をさせていただきます。ぜひ今後の参考にしてみてください。
蝶結び
蝶結びの解説は1:08~です。仕上がったとき、結び目を中心に左右に広がるループが「蝶々」に見えることからこの名称がつけられました。伝統工芸の世界において「花結び」という別名も持っています。靴紐はもちろんリボンや風呂敷を結ぶときなど、あらゆるシーンで使われています。
外科結び
本結びで最初に交差させる部分を1回ではなく2回続けて行います。あとの流れは本結びと同じです。ねじりがひとつ加わることで、結び目の頑丈さが増します。その名の通り、外科治療の現場で使われている結び方で、外科医を志すのであれば毎日練習を重ねる必要があると言われるほどです。
これ以外にもたくさんの役立つロープワークを知りたいと思った方は、こちらの記事をご覧ください。
モチーフとしての「結び目」
これまでは本結びの機能面に着目してきましたが、本結びを始めとする結び方はその仕上がりの美しさから多くの装飾品のモチーフとして活用されています。実際二つの異なるものを結わえたシルエットなのですから、特別な願いは込めやすいでしょう。以下でその一部をご紹介します。
指輪などのアクセサリーのモチーフとして
結び目は、指輪を始めとするアクセサリーのモチーフとしてよく扱われています。「繋ぐ」、「結ぶ」といった言葉を連想させるその形は、確かに結婚指輪などの装飾として最適といえるでしょう。また、メッセージ性を抜きにしてもその独特の形が装飾品に向いているとも言えます。
伝統工芸の業「水引細工」
日本において結び目の美しさを前面に出した装飾品といえば、この水引細工でしょう。水引は単に祝儀袋を飾るものではなく、立派な芸術品のひとつなのです。とはいえ、水引自体は高いわけでも手に入りにくいわけでもなく、100均ショップで購入できます。自作の水引細工に興味のある方は、試してみてはいかがでしょう。
風呂敷の基本となる結び方「真結び」
風呂敷には、基本中の基本と言われる結び方として「真結び」と呼ばれるものがあります。これは今回説明した「本結び」と同じ手順で行われるもので、別名と思ってもらって問題ありません。こちらもロープ同様手順を誤ると縦結びになるので注意しましょう。
風呂敷ならではの多彩な包み方
風呂敷にもロープ同様多様な結び方があるのはもちろん、こちらには「包む」という用途もあります。大小様々なものを飾るように包むその手法を見ていると、包めないものはないのではないかと思うほどです。上の画像は見ての通り「瓶包み」と呼ばれる包み方ですが、涼し気な風呂敷の色が夏によく合います。
いろいろ使えて便利!本結びをマスターしよう
画像や動画を交え、本結びについて解説しましたがいかがだったでしょう。名前も結び方も何となくは知っていたけれど、ここまで多くの場面で活躍している結び方だったとは、と意外に思った方も多かったのではないでしょうか。
もちろん本結びは数あるロープワークのひとつに過ぎません。そして、本結びが向かない場面があるからこそ、他の結び方が存在しています。たくさんの結び方を覚えることで、これからの日々を便利に、そしてちょっと楽しく過ごせるかもしれません。
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