カマキリの卵って見たことある?
虫の卵はなかなか見ても何の卵が特定するのが難しいものです。またじっくり見ないと見つけられない時もあります。何故か、それは子供を敵から守る為に隠された場所に産んだりと自然界に生きてきた知恵が本能に染み付いていると言われます。もしかしたらカマキリの卵と知らずに今まで見ていた可能性もありますね。
カマキリは卵で越冬する
実はカマキリの卵の造りには大きな特徴があるのです。主にカマキリが卵を生むのは秋と言われています。そのため卵のまま冬を越す事が多いのです。そのままで冬を越すのは大変ですよね。カマキリの卵の仕組みに分かれば原因がはっきりします。
カマキリの卵は卵鞘に守られている
一度でも見たことがある人はご存知かもしれません。カマキリの卵は卵鞘(らんしょう)という大きな鞘の中に一つにまとまって誕生します。単体では生まれて来ないのです。この卵鞘は暑さ、寒さ、乾燥、湿気にも強くとても万能なんです。スポンジ状の形でなので耐久性、衝撃等にも優れているというのが一般的な見解です。
大きさは大人の親指程度
実際の大きさは種類によって異なります。だいたいは大人の親指程度のものです。一番大きいと言われるオオカマキリでも10センチ位のものなので親指程度の産卵は大変です。後述致しますがそれゆえに卵を産むために行う特別な行動があるのです。
カマキリの卵はどこで見つけられる?
どこに行けば見つけられるのでしょう。地球上にカマキリが存在する限り探せばどこかで一生懸命卵を生んでいるのです。今回は産み場所、特徴、仕組みについて補足していきます。時期によっても秋が一番見つけやすいのでお薦めです。
かまきりによって卵を産む場所は異なる
産む場所はカマキリの種類により異なります。大きく分けて二種類あると言われており、それぞれ産む場所も違って来るのです。木の上で過ごすカマキリはなんと家のウッドデッキに産んでしまう事もあり家の人がびっくりする事もあるようです。
低い場所で生む場合
オオカマキリやチョウセンカマキリが主に草の中で産む種類として知られています。生活は草むらで、主に河川敷や森との近くに水田などが見受けられる所に生息しています。上の写真はチョウセンカマキリの卵です。
高い場所で生む場合
一方、高いところで産むのがハラビロカマキリです。公園などで見かけることもあり一般的に多く見られるのは木にも登り陸でも生活出来る樹上性の種類です。ハラビロカマキリ自体も大きさが結構あるのですが、存在感が違って来ますね。
卵鞘1つにつき、200個以上の卵が!
卵鞘は最初に出てくる時には泡の様なものです。何時間もかけて出来上がる頃にはスポンジ状になっています。また、卵鞘の中には数十個から多いときには200個以上の卵が入っているのです。どうしてこんなに産むのでしょう。
カマキリの卵の成分はお父さんかも?
人間の子供は今の科学の進歩によりDNA鑑定などで親子関係を立証する!なんてことがあります。もちろん人間の子宮はお母さんの持ち物ですね。それなのに卵の成分がお父さんの成分でできているってどういうこと?となりますよね。お母さんの体の中から生まれてくるのに卵の成分がお父さん。実はこれには深い訳があるのです。
交尾後にメスに食べられてしまうオスのカマキリ
昆虫に詳しい方は一度は聞いてみたことがあるんではないでしょうか?。カマキリのメスは交尾後に、いや早い時は交尾している途中からオスを食べてしまうんです。なのでオスも命がけでメスにアプローチするんです。全部が食べられてしまうわけではないんです。全体の20%以下だと言われています。
メスは交尾をしている時から産卵に備えて栄養を蓄える準備を始めます。それくらいメスにとっての産卵は大変なのです。しかしどうして交尾しているオスが狙われるのか、それは餌を捕食するときの特性に原因があります。
なぜメスはオスを食べてしまうのか?
カマキリは栄養のある動く生物を狙って餌を食べる習性があります。そのため栄養を欲している時に目の前にいる栄養のある動く生物、すなわちオスが一番てっとり早く狙われやすいのです。頭から食べられてしまうことが多いみたいです。それでも交尾が続けることが出来ることが分かっています。子孫を残す本能はすごいですね。
オスを食べてから卵鞘を産み付けるのでその場合栄養素はほぼオスカマキリと言われます。これは実験でも結果が出ているようです。オスのアミノ酸を補給するのでメスはオスを食べる事によって2倍の卵を産むことが解明されています。
メスカマキリは生んだ後どうなるの?
気になるのは一仕事終えた後のお母さんのカマキリです。一生懸命生んだ後さすがに子供のそばで子育てするとは聞きません。ましてや相手も食べてしまった後です。産み終えた後のメスカマキリについて見ていきましょう。
産卵を終えた後のメスカマキリは弱ってしまう
やはり産卵を終えたメスは栄養をほとんど産卵で使い果たすので弱ってしまうのが現状です。すぐに餌となる虫などがいて捕食できれば問題ないようなのですが、野生で育つ中では簡単ではありません。そのために栄養不足と体力が不足して息絶えてしまう事が多いようです。
メスのカマキリが卵を産めるのは何回か
産卵自体は20回程できるようにはなっているのですが、体力的にも寿命の関係で2回ほどが限度と言われています。段々と自宅で飼育している人もいますが長く生きてもらうために産卵後にすぐに餌を与えるなど工夫を凝らしています。
カマキリの寿命は?
卵から成虫になり強くて綺麗なフォルムで生きるカマキリですが、どのくらいの期間生きているのか知っていますか。これから家で実際に飼育して見る方やもっと知りたい人の為にどれ位の期間を一緒に過ごす事が出来るのか見ていきましょう。
残念ながらカマキリの生涯は短く一年持つか持たないかと言われています。環境にも大きく左右されるため平均的には約半年と言われます。子孫を残すのに効率的にちゃんと綿密に計算されて卵の数やオスのカマキリの捕食を行うので合理的な生涯を終えると言えます。
オスとメスで寿命は違う
実際、オスとメスではメスの方が寿命は長いと言われています。交尾を終えてもメスに捕食されたり、寿命が尽きてしまったりと時期によってはオスのカマキリは全く見つからない!なんて事もあるようです。そしてまた孵化した幼虫によって生涯は繰り返されていくのです。
死んでしまう原因
死んでしまう原因ですが、上記以外には外敵に襲われる事やハリガネムシと呼ばれる寄生虫に乗っ取られて命を落とす事もあります。冬の寒さに飢えに耐えきれず息絶えてしまう事も少なくないようです。越冬できるのは卵鞘に守られた卵だけなんてよく出来ていると思いませんか?
カマキリはどうやって卵から出てくるの?
卵から抜け出す瞬間、なかなか立ち会おうと思っても難しいものです。一つの卵鞘に200個以上の卵が入っていてそれが一斉に孵化する瞬間、どのような状態になるのでしょう。動画も入れておくのでぜひ抵抗ない方は見てみて下さい。
卵の出口は決まっている
実はどこから出てもよさそうな卵鞘ですがちゃんと出口は決まっています。一斉に卵から出てくるのでそれはそれは大変な状態になります。少し下にある動画をご覧頂くと分かる通りみんなつながっているような状態で順々に出てくるのです。
卵から出たらまず脱皮!
卵の溝にあたる部分から出てきた後に、後から後から出てくる幼虫に押し出されてすぐに脱皮が始まります。抜け殻と脱皮しきれていない幼虫も含めて卵鞘の下にぶら下がっている様に見えます。無数のカマキリの幼虫が誕生です。