乙事主に驚きの裏設定!?名前の由来や祟り神のモデルなどその秘密に迫る!

「そこでは獣はみな大きく、太古のままに生きていた」というのはシシガミの森の説明です。氷河時代やそれ以前に生息していた大型の哺乳類の一部が、『もののけ姫』の時代(戦国時代ごろ)には、まだ絶滅せずに生き残っていたとも想像させる一文です。

それらの種は、氷河期に陸続きだった大陸から日本に移り住み、氷河期が終わると日本列島に取り残されたとも考えれれます。いずれにせよ、上記のニュースのように『もののけ姫』に登場するような巨大な猪は、現代においても世界各地で目撃されたり、捕獲されたりしているのです。

ちょっとツッコミたくなる乙事主とアシタカのやり取り

『もののけ姫』には、視聴者が思わずツッコミを入れたくなるような場面が、ところどころ見受けられます。有名なものとしては、アシタカが婚約者であるカヤから貰った玉の小刀を、あっさりとサンにあげてしまう場面などがあります。森で、アシタカが乙事主と邂逅したシーンにも、違和感のある行動がありました。

ナゴの守の最期を伝えたいと「左手」を差し出すアシタカだが…

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乙事主は匂いを嗅いだだけで、驚くほど多くの情報を得ることができるようです。それにしても、呪いを受けた右手を差し出した方が、彼の最期を伝えやすかったのではないでしょうか。「そこは、右手じゃないの?」と、思わずツッコミたくなるシーンです。

「乙事主」と「トトロ」の意外な共通点!「トトロ」は古代の神だった

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『もののけ姫』と『となりのトトロ』は、同じ監督の作品ではありますが、全く異なる世界観の話と多くの人は思うでしょう。しかし実は、この二つの物語は、共に宮崎監督のある一つの思想に基づいて形作られた世界の物語なのです。

そして、乙事主とトトロという、一見して全く異なる二つのキャラクターは、監督の思想の中では同じ位置づけにある存在と言われています。

日本はかつて巨大な森におおわれていた

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2万年前から1万年前の地球は海面が低く、日本は大陸と陸続きでした。広大な大地の一部であるその時代の日本は、深い森林におおわれており、そこには巨大で力の強い神々が住んでいたというのが、宮崎監督の考えです。

ところが、海面上昇や火山活動、そして稲作を始めた弥生人による森の伐採のために、太古からの広大な森はなくなっていきます。森に住む強大な神々は、次第に居場所を失っていったのです。

トトロは人類と戦って滅ぼされた種族である

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宮崎監督の盟友である鈴木敏夫プロデューサーは、監督の考えとしてこのようなことを述べています。「かつてこの世には、たくさんのトトロ族がいたが、人類との戦いに敗れて滅ぼされた。その生き残りが”もののけ”や”トトロ”である」

「わしの一族を見ろ!みんな小さくバカになりつつある」という乙事主のセリフのとおり、神々は森を失って力が弱まり、人間との生存争いに敗れていきます。トトロとは、『もののけ姫』の時代における乙事主のような存在の生き残りであり、なれの果てだと言えるのです。

乙事主の声優は名俳優の森繁久彌さん

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乙事主の声と演技は、重厚で深みがあり、威厳を感じつつも衰えのような雰囲気も醸し出しています。まさにこのキャラクターを表現するのに相応しい演技だと言えますが、いったい声優を務めたのはどのような人なのでしょうか?宮崎監督が抜擢したその人物とは、森繁久彌さん。大御所の名俳優です。

森繁久彌さんのプロフィール

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1913年に生まれ、1936年に東京宝塚歌劇団に入団して以降、『夫婦善哉』(1955)『恍惚の人』(1973)などの映画、『七人の孫』『ドラマ・人間模様 赤サギ』などのテレビドラマ、『佐渡島他吉の生涯』『屋根の上のバイオリン弾き』などの舞台やラジオドラマなどで、演技派俳優として幅広く活躍しました。

乙事主を演じた当時は84歳という高齢でありながら、迫力のある演技を披露します。生前は菊池寛賞や勲二等瑞宝章、文化勲章といった栄誉ある賞を受賞し、2009年に享年96歳で亡くなった後は、国民栄誉賞を授与されました。

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