蟲姫はどんな漫画?外薗昌也さん原作のホラー作品
その発するフェロモンで人や虫さえも魅惑する美しい女子転校生が一人の男子の愛を追い求めます。しかしその正体は、人を捕食する怪物でした。
ホラー漫画のヒットメーカー外薗昌也の原作で、俊英里見有が人智を超えた少女の慟哭を峻烈に描き出す、新世代ホラー漫画です。ネタバレ紹介もしていきます。
蟲姫のあらすじ・登場人物などの基本情報について紹介!
主人公・陵一とヒロインの転校生・聴久子、その正体は「蟲姫」であることを明かしつつ物語が進んでいきます。虫絡みのグロテスクなシーンも踏まえ、順を追ってネタバレも交えつつ、あらすじ紹介をしていきます。
蟲姫は主人公・陵一の悪夢に聴久子が登場することから物語が始まる
高校生の陵一は毎晩、同じ悪夢にうなされていました。それは川舟に乗った陵一が川の流れに身を委ねているのですが、周りにも自分と同じような舟と人達がいるのです。
しかし、他の舟は次々と沈没していき陵一だけが残ります。そして、美しい女性が陵一に接吻しようとするところで目覚めます。このようなことを繰り返すうち、ある日事態は急展開します。陵一の通う学校に転校生がやってきました。その顔に、陵一は衝撃を受けました。
あまりの美しさから転校生・聴久子に夢中になるクラスメイト
聴久子と名乗るその転校生は、夢の女性と瓜二つだったのです。恐怖を覚える陵一とは対照的に、周囲の反応は彼女に好意的なものでした。
つまり、彼女は抜群の容姿と運動神経に加え、面倒見も良いことから一躍学校の人気者になっていくのでした。
町に訪れた異変?大量発生する虫と不審な聴久子
担任の教師が指導のため、聴久子の身体を掴んだ時、手に激痛が走りました。聴久子は何事もなくその場を立ち去り、教師の方も自分の気のせいと考え、やり過ごしましたが、後日、痛めた手が蜂に刺されたように腫れ上がりました。時を同じくして、陵一が住む地域では大量の虫が目撃されるようになります。
ある日、聴久子は下心丸出しの中年男性とカラオケボックスに行き、腕から針のようなものを出して、頭頂部に刺します。その後、陵一は道で倒れている聴久子を発見し、看病のため自宅へ連れ帰ります。
聴久子の正体をめぐって物語が進んでいく
しかし、ここから悲劇が始まり、聴久子の正体が暴露されます。陵一は意識を回復した聴久子に襲われます。陵一の口腔内から触手をねじ込み、脳内麻薬と呼ばれる物質を注入し、半麻痺状態にしてしまいます。
加えて、それを発見した母親は聴久子に殺されてしまい、陵一は軟禁され脱出できない状態となります。しかし意外な形で、そんな陵一に救いの手が差し伸べられます。
蟲姫の1巻のあらすじ・ネタバレを紹介!
前章では、あらすじと主人公の蟲姫の正体を説明しましたが、ここでは1巻に注目して少し深堀とネタバレ紹介をしたいと思います。即ち蟲姫と中年男性の関わりから始まり、陵一が蟲姫に監禁されるところまでとなります。
蟲姫の1巻あらすじ①殴られた聴久子を助ける陵一
カラオケボックスでの聴久子と中年男性のやり取りを夢で見た陵一ですが、実際にその後、学校の帰り道でその中年男性を見かけて後をつけることになります。フラフラ歩いていくそのオヤジは聴久子を発見すると石片を持って襲いかかります。
すると聴久子の腕から棘のようなものが飛び出し、オヤジの攻撃を躱し、それで彼の頭頂部を突き刺してしまいます。陵一はその一部始終を目撃しました。石片で頭を殴られ意識を失った聴久子を助け、自分の家に連れていきます。
意識を回復した彼女は、陵一に口を開けて突然襲いかかります。口からたくさんの触手のようなものが飛び出してきました。これは夢だと思う陵一でしたが、口の中の異物感で、現実であると思い知らされます。
蟲姫の1巻あらすじ②聴久子を調査・捕獲しようとする者たちの登場
先日、聴久子が殺した中年男性の検死で、脳内麻薬の『エンドルフィン』が検出されます。そこで思いついた警察の「菅原」は、科学警察研究所で昆虫研究者の「久住」へ連絡します。
久住は、カラオケボックスで入手した録画テ-プを分析し、ついに人を喰う捕食者の出現とその正体を確信します。彼は聴久子の父親とかつて研究仲間であり、その遺言から聴久子を殺さなければならぬという使命感に燃えていました。
蟲姫の1巻あらすじ③陵一の家の屋根裏に潜む聴久子
蟲姫は、一度陵一を襲った後、なんとその屋根裏に潜んでいました。そして、天井の節穴から陵一の様子を監視していました。夜になると、眠る陵一の側で、口から管を出した蟲姫が愛おし気に添い寝するのです。
母親が亡くなった後は、自宅には陵一と蟲姫の二人だけになり、陵一は軟禁状態となりました。
蟲姫の2巻のあらすじ・ネタバレを紹介!
ここでも2巻の内容にフォ-カスして、あらすじの深堀やネタバレ紹介を行います。即ち、陵一の母親の死亡から、事件関係者が一堂に会し、蟲姫の生い立ちと正体が明らかにされるところまでの解説となります。
蟲姫の2巻あらすじ①陵一の母が階段から転落しで死亡
陵一が蟲姫に襲われていた時、物音に気づいた母親は二階へ上がります。そして現場で蟲姫の正体を知り、驚愕転倒しバランスを崩して階段を転げ落ちてしまいました。頭を強く打ち意識もうろうの母親に蟲姫がトドメを刺します。
陵一は意識を取り戻すも、大量の虫に襲われながら風呂場に逃げ込みます。そこには浴槽で虫に喰われる母親の姿があり、ショックを受けます。
蟲姫の2巻あらすじ②聴久子を追う者たちと陵一の合流
陵一は自宅監禁状態の間、学校を3日間休みます。心配した級友がお見舞いに来ますが、陵一は蟲姫に脅されて、もう来ないように伝えます。しかしそれは表向きで、実は陵一は級友にSOSのメッセージを残していました。
そのメッセ-ジは、科学警察研究所の「久住」に伝わります。そしていよいよ久住が行動に出ます。くだんの中年男性変死事件で動いていた警察が陵一宅に突入し、先導役の久住かが、ショットガンで蟲姫を撃退しました。
蟲姫の2巻あらすじ③聴久子の悲しい過去が明らかに
陵一の病院搬送時に、菅原、久住、陵一の父という関係者が一堂に会し、蟲姫の過去が明らかにされていきます。そもそも久住は陵一の叔父で、聴久子の父親と一緒に生態系の実験プロジェクトに参加した過去がありました。
このプロジェクトは、意図的に作り出した、悪環境下での生態系を観察するというものでした。結果、生態系を上手く循環させる鍵は、環境に適応するために進化を遂げていく虫であると分かりました。
その虫の生命力に着目した聴久子の父親は、難病に苦しんでいた聴久子にその遺伝子を埋め込んでしまいます。これにより聴久子は「ヒトと虫との交配種」のようなものになってしまいました。
彼女は自らエンドルフィンを生成できないため、口の中の管を使い、他人から摂取しなければなりませんでした。
蟲姫の3巻(最終巻)のあらすじ・ネタバレを紹介!
最後の3巻の内容にフォ-カスして、あらすじの深堀やネタバレ紹介を行います。即ち、蟲姫との最終決戦を経て、陵一が蟲姫と運命を共にする覚悟を決めて姿を消してしまうところまでです。
蟲姫の3巻あらすじ①聴久子が陵一を奪いにやってくる
一度久住のショットガン攻撃に遣られたかに見えた蟲姫ですが、その後も人間側の戦いは続きます。蟲姫の強力な接触に対しても陵一は抵抗し、共に生きていくことへの拒否宣言をします。
また久住も蟲姫にトドメを刺すために薬物を用意し、双子関係で蟲姫の父親に似ている陵一の父親を使った陽動作戦で、殺虫剤をぶっかける行為に出ます。この作戦は成功し、この一連の事件は解決したかのように見えました。
蟲姫の3巻あらすじ②殺虫剤で弱る聴久子とそれを苦しく思う陵一
久住の殺虫剤攻撃に蟲姫は悲痛の声をあげますが、何故か陵一はその姿に苦しみを覚えます。その後、薬剤の効果が薄まると、再び蟲姫は復活し陵一を奪おうとし、一方、級友達がこれ抵抗するという攻防が続きます。
蟲姫の3巻あらすじ③聴久子は一度倒されてしまう
結局は、陵一達は蟲姫の口から出る細い管に犯されてしまいます。加えて蟲姫は邪魔な人間を排除するため、街中の大量の虫を統べ始めます。
これに対し、久住は以前使用したのとは別の進化促進物質を蟲姫に打ち込みます。すると蟲姫の体内の細胞は破壊され、町中から大量の虫の姿も消滅しました。
蟲姫の3巻あらすじ④聴久子がいなくなった町には異変が訪れる
こうして一件落着に見えたかのこの事件に続きがありました。なんと、ここで転校当初、聴久子に手を刺さ腫れていた先生が蟲人間に変異し、妻を殺害してしまうのです。更に陵一達にも襲いかかってきました。
でも、なんとこのピンチを助けたのは、倒したはずの蟲姫でした。
蟲姫の3巻あらすじ⑤聴久子を受け入れた陵一の結末
結局、蟲姫は死なずに水生昆虫へと変異し、エンドルフィンを自分で生成できるようになりました。そして、もはや人間ではなくやはり水生昆虫となった陵一と一緒に姿を消してしまいました。
その後、二人は人間社会との接触を断ち、正体を隠して水底で生きていくことを決めるのですが、彼らの子供たちの誕生が新たな展開を予感させます。
蟲姫のヒロインであり黒幕の「聴久子」の正体は結局何だったのか
ここでもう一度、ヒロインである聴久子の正体について確認しておきます。そもそもは人間だった聴久子が、抱える難病の克服のため蟲の遺伝子を委嘱され、心ならずも悍ましい怪物になってしまった経緯と、何故執拗に陵一を狙うのかの理由を解明します。ネタバレ注意でお願いします。
聴久子の口から出る触手は大量の脳内麻薬を吸い取るためのもの
蟲姫の口撃の正体は、例えば口の中から出していた細い触手は、自分で生成できなくなったエンドルフィンを相手から奪い取るための管のようなものだったことが明らかになります。
被害者は、エンドルフィンを過剰に分泌させら吸い取られて、結果その管内はエンドルフィンで満たされることになります。
聴久子は難病から生還するために虫のDNAを埋め込まれた人間だった
聴久子の父親は生物学者で、悪環境下で生態系の実験プロジェクトに参加していましたが、上手く環境に適応し進化を遂げていく虫を発見します。
そして娘を難病から救い出すために虫のDNAを聴久子に埋め込み「人ではないもの」として生かすことに成功したのでした。