世間を震撼させた上申書殺人事件とは?
他の事件で死刑が決まっていた後藤良次という罪人が、信頼関係を得ていた人物の裏切りによって、関わりのある事件を公表し、次々と凶悪事件が世に出ることになりました。また同時に雑誌「新潮45」が報じたことで世間に拡散された事件です。
上申書を提出したのは元暴力団組員・後藤良次
殺人や覚せい剤取締り法違反、銃刀法違反など数えきれないほどの有罪を受けており半生の多くを塀の中で過ごします。更生を誓うも先生と慕う人物と出会い、裏切りが発覚したことで激高し、事件に関わった人物を訴え、復讐しようとしたのです。
なぜ告発したのか?
自身の裁判中に他のトラブルもあると訴えます。これには自分だけが捕まり塀の中で過ごすのに対し、事件の指示を出していたアウトローがのうのうと自由に毎日を過ごしていることが許せなかったと明かしています。
人間関係の難しさ
信頼関係を築くことは素晴らしいことですが、ボタンを掛け違えば関係を悪化させることとなり、深い親密度を築けば築くほど憎悪も深くなるのです。そんな人間関係の難しさを物語っています。
先生・三上静男や共犯者らを告発
この経緯は、頭脳犯である三上が指示を出しそれに従って行動を起こしていたのが彼でした。人を殺めることで報酬を受け取る約束を交わしていましたが、彼が別件で逮捕されたことで報酬が闇に消え去り無報酬だったのです。
巨額の報酬が消えたこと、可愛がっていた舎弟が自決したことが発端となり、このままでは収まらない怒りを事件と関係あるアウトローとして訴えたのです。
上申書とは
警察などに対し、法的な所定の手続きをしなくても意見や報告を行う際に使用できる書式のことです。この方法を用いて裁判中に意見を述べ、警察一同を動かすきっかけとなったのです。
特例だった
通常では裁判は罪が決まっていてその刑量を決めるための話し合いの場であることから、それにそぐわない意見は述べてはいけません。上申書を用いて訴えたことは、特例だったのです。
三上静男と後藤良次が共謀した3つの事件とは?
違う方面で主従関係が生かされれば素晴らしい功績を残せたのでしょうが、人を殺めることに力を注ぎ残虐な方法で巨額の利益を得ます。共謀した3つの冷酷な内容の真相に迫ります。
石岡市焼却事件
この事件で彼らは億単位の金を手に入れたと言います。1999年11月中旬に事件は起こります。金銭トラブルが原因のこのトラブルは、被害者を廃材と共に焼却し黒焦げにします。身元確認困難なほどに遺体を残さないようにしました。
名前もわからない人を殺害
被害者は身元確認できないほどの状態で、推定60歳代の男性とおおまなことしかわからないままです。証拠が揃っていないとして有罪にまでは至りませんでした。
お金が人間関係を悪くする
現在でも多くのトラブルが発生しており、ほとんどが金銭の絡みです。お金は便利な道具ですが人を挟んでしまうと平気で人を抹殺してしまう道具ともなるのです。
お金欲しさに盗人をしたり人を傷つける行為は、体の傷だけでなく心にも深い傷を残すこととなるのです。
北茨城市生き埋め事件
身寄りのない資産家を拉致した後、生き埋めにしました。同じく1999年11月下旬の出来事です。いまだに本人は見つかっておらず居場所は謎のままです。この行動で7000万もの大金を入手しています。
DNA鑑定できない人を殺害
男性には身寄りがいないため、DNA鑑定が難しく徹底的な本人確認までに至っていません。そのため誰が関与しているのかが判定できず、三上が関与しているのかいないのか定かでありません。
頭を使った犯罪
土地の売買では名前の変更などの手続きが必要なのですが、このトラブルでは用意周到に名義を変更していますが確実な罪になる証は見つからないように頭脳を使っています。
日立市ウォッカ事件
ショップ経営者を病死と見せかけました。この経営者が糖尿病と肝硬変を患っていたことに目を付け、無理やり高濃度のウォッカを飲ませ、山中に遺棄しお金のやり繰りに困って自決したとみせかけ保険金1億円を入手したのです。
三上に依頼した殺人事件だった
殺害をした男性の妻や娘、娘婿に依頼されたことで起こった殺人だったのです。被害者のズボンの中には小銭を入れ自殺とみせかける用意周到な事件でした。後ほど詳しくご説明します。
用意周到の殺人事件
上記の事件で身元確認できないように遺体を焼き証拠が残らないようにしたり、もともと身寄りのない人を狙ったりと、自分の後影を残さないようにした犯罪能力の高さがうかがえる事件です。
完全犯罪に仕立てる
病的ともいえるほど、人を殺めることに何の抵抗を感じない彼は、凶悪そのものです。頭で考え後影を一切残さないように完璧に仕立てるプロともいえるでしょう。
サイコパスだった
精神病質である人をこう呼びますが、彼もそうだったと言われています。苦しむ人を見て楽しんでいたとされ、異常な精神ということがうかがえます。この計画は後藤が訴えなければ透明人間のように闇に葬られていたことでしょう。
見た目は同じ
精神疾患は外見で判断されにくい特徴をもっており、深い付き合いにならないと性格異常が発覚されないため、彼のような精神疾患とのトラブルは避けにくいのです。
今も殺人を繰り返していたかも
もし訴えられず、今も日の当たる場所で生活をしていたとしたら、用意周到な残虐手口で殺めることを繰り返していたかもしれません。
唯一刑事裁判が行われた「日立市ウォッカ事件」
凶悪な主従関係だった彼らだけでなく、被害者の身内までもが関わっているトラブルなのです。上記の3つの凶悪な事件のなかで、ウォッカ事件だけが唯一、証拠が一致したことから事件として扱えることとなったのです。
家族が殺人を依頼した「保険金殺人事件」
インテリアショップを営んでいた被害者は、経営悪化しており6000万の負債がありました。そして生活も困窮しており保険金も支払えない家庭状況だったと言います。
土地を売って何とか工面しようと知り合いの会社経営者に相談をしたところ、不動産ブローカーだった三上を紹介されたのです。
自殺と見せかけた殺人
被害者家族の妻、娘、娘婿の依頼で保険金目的の完璧計画が進みます。そして大量の酒を1か月間飲まされ呼吸不全で亡くなり山中へ運ばれます。自決とみせかけた完全に自分たちの後を残さないように実行したのです。
監禁し苦しむ姿も楽しむ残忍さ
糖尿病と肝硬変を患っていた被害者が、酒を大量に毎日飲めば体調悪化は素人でも想像できるものであります。被害者はトイレの便器にしがみつき苦しんで吐血を繰り返していたようです。この姿をみて三上は楽しんでいたと言います。
お金は親族同士でも道徳心は壊れる
生活していくためにもお金は最低限必要です。なんでも変える便利な道具でもありますが、一度裕福な思いを経験してしまうとそれ以下の生活を送ることが苦痛となり、心も貧しくなります。たとえそれが家族だったとしても正常な道徳心が奪われていくのです。
殺人事件の依頼を仲介した人物が謎の事故死
事件捜査中の2006年12月31日に仲介をしたとされる工務店経営者が交通事故死しているのです。彼の周りでが謎の死を遂げる人物が多く、この事故死も多くの謎を残していますが第三者の後影もなく事故死と処理されています。
三上の周りでは多くの人物が死を遂げる
自らが計画し、殺人を起こしてもいましたが周りにいる人物の多くが謎の死を遂げたり自決をしています。なにか彼の圧力があったのか、本当に事故死なのか真相解明されないまま闇に消えています。
捜査ができない歯がゆさ
あまりにも不審な出来事が多発しているため、怪しいとマークをしますが徹底した計画性のために、闇に包まれ警察の手が出せないのです。怪しいと思いながらも罪人としてやっつけることができないのです。
上申書殺人事件の判決とは?
こうした一連の残酷なトラブルは、保険金殺人として刑事裁判となったのです。その判決とはいがかなものだったのでしょうか?世間が注目した事件の真相をご説明します。
後藤良次は懲役20年(別事件で死刑)
「私はシロです。命がけで争います」という言葉を残しており容疑を全面否定しています。ですが、平成15年に宇都宮地裁は死刑判決という一番重い有罪となります。
この有罪に不満を抱くことから事件の終結が長引きますが、平成19年に最高裁で死刑決定しました。
後藤良次は裁判に不満を抱いていた
他の共謀者の判決は無期懲役などと、自分よりも罪の軽さに不満を抱いていました。あくまでも自分は彼の指示の通りに動いただけで、自分は悪くないと主張しているのです。
後藤良次と三上静男の刑量の違い
彼は3件の殺人事件で指示役を訴えたにもかかわらず、アリバイが不十分として1件の刑事事件のみでした。そのことから罪も軽くなり彼は不満を抱くのです。
三上静男は無期懲役
事件の主な指示者である頭脳犯は証拠が曖昧だとして無期懲役になります。判決に至るまでの名演技は、今までの冷酷なトラブルの手口と同様、死の錬金術師とも呼ばれるほどの人物であることを物語っています。
三上静男は涙を流しながら大声で訴えた
自分は全く関係なく事実無根だと言い張ります。そして逃げも隠れもしないと正々堂々戦うことも意思表明しますが、病的な虚言癖を持っている頭脳犯は、ここでも頭を働かせ、同情を得ようとします。
暴力団は嫌いだと涙ながらに場違いな発言を繰り返したのです。
異常な精神状態
裁判前では、正々堂々と戦うと宣告していた彼ですが、実際に裁判となると泣きつくように「かわいそうな人はみてられない」などあくまで自分は平和主義だということを訴えトラブルとは関係ないことをアピールしたのです。
インテリアショップ経営家族の判決
事件当初は警察が事件性はなく自殺と断定していましたが、上申書の詳細と内容が同じだったことから彼が逮捕され、その後に被害者家族が容疑を認めたため、妻と娘に懲役13年、娘婿に至っては懲役15年が言い渡されました。現在も罪を償っています。
三上静男という人物・生い立ちやその後
人をうまく操り、数々の冷酷なトラブルを起こしていった彼の生い立ちやその後は、いかがなものだったのでしょうか?周囲の評判や人格などご説明していきます。
飼っていたハトや鶏の首を絞め殺していた
飼育していた小動物に対し、蹴ったり絞め殺す残虐なことを平気でしていたようです。動物が苦しんでいる様子を見て楽しむといった冷酷な内面は幼少期から持っていました。
周囲からは人格者として認知されていた
無免許で不動産ブローカーと名乗り、顧客に対し仕事の話だけでなく個人的な相談にのったりと熱心な面もありました。失業したお客に対しては格安で住める物件を紹介するなどして、親身だったことから周囲からは人格者として頼られる存在だったのです。
不動産ブローカーとは?
不動産業者は通常、宅地建物取引業者という免許が必要です。彼は免許がないため、直接取引をすると犯罪になるので不動産業者を間に挟み、代わりに取引をしてもらって業者から手数料としてお金を貰う生業です。
お金のためなら何でもできる
お金のためなら善人を演じることもできますし、人を平気で消すことも何とも思いません。あくまで自分中心的な考えであり、自分の懐が潤うなら何でもできるのです。
膨大な財産を手にする「死の錬金術師」
周囲から頼られる存在だった表の顔とは反対に、お金のためなら人を平気で殺めて後影を残さず用意周到な手口を使って莫大なお金を手に入れていたのです。悪に頭がまわる頭脳犯だったのです。
ためらいもなく無罪を主張し続ける
後藤に上申書を出され訴えられると、メディアが殺到します。注目されても平然と自分は事実無根で関係ないことを主張し、裁判になっても逃げも隠れもしないと言い残すのです。
現在の様子とは
有罪判決を受けた彼は、現在も服役中です。無期懲役は死刑の次に重い刑となっています。ですがアメリカのような終身刑とは異なり、一生塀の中で過ごすかと言ったら、そうではありません。
期限が決まっていない刑
服役期間が決まっていない刑であり、刑務所内の態度が良ければ外に出られる可能性があるのです。ただ仮出所扱いになるので、何か犯罪を犯せば即逮捕されます。
後藤良次という人物・生い立ちやその後
元暴力団という闇の経歴をもつ彼は、一体どんな生い立ちだったのでしょうか?昭和33年に栃木県宇都宮市に生をうけた彼は3人兄弟の次男として育ちます。少年時代から多くの犯罪に手を染め悪の道を突き進みます。
少年時代から数多くの犯罪歴
14歳のときに窃盗と暴力行為を犯し少年院に送られます。その後16歳で暴力団員となります。10代からさまざまな数えきれないほどの犯罪を犯し、青春時代を日の当たらない塀の中で過ごすのです。
多くの犯罪歴
14歳から始まった彼の悪の道は外れることなく突き進みます。善意の方向へ歩めれば更生できたでしょうが、彼はまっすぐ犯罪の経歴を総取得していくのです。
人を殺すことをためらわない
人を殺めることに何の躊躇もなく次々と悪を重ねていきます。そういった人間の心を持っているとは思えない道徳心のなさから、若くして暴力団の組長まで上り詰めるのです。闇組織のエリートとも言えます。
暴力団組長になり後藤静男を紹介される
仮出所をした彼は、家族のためにも真面目になろうと決意をし、茨城県へ移住します。そこで以前から交流のあった暴力団関係者から、三上静男を紹介されます。紹介された当初は、不動産の勉強目的でした。熱心に不動産のことを教える先生との関係を親密にしていきます。
2人の犯罪能力の高さ
カタギになろうとしたのもつかの間、また犯罪に手を染めていくのです。彼の持つ飛び抜けた暴力性と、指示役の犯罪能力がタッグしアウトローな道を進むこととなるのです。
宇都宮監禁殺人事件を起こす
この事件で三上静男は関係なく彼が仲間と共謀し起こしたトラブルなのです。彼がもともと知人である被害者にプライドを潰されたと激昂し手足を縛り暴行を加え、栃木県の川に生きたまま投げ入れるという残酷なことをしました。
関係のない人間も殺める
この他にも、ターゲットとした被害者宅に突如侵入し、その場にいた関係のない仲間4人も一緒に手足を縛って監禁状態にし、高濃度の覚せい剤を投与し1人を殺害。その他の3人には暴行を加え放火したのです。
宇都宮監禁殺人事件の判決
多くの犯罪歴をもち、この事件でも2人の命を奪ったため死刑判決を下されることとなるのです。この事件は、三上とは全く接点のないトラブルで後藤自身が仲間と起こした事件です。
犯罪まみれだった人生の終止符
多くの犯罪を犯してきた彼の人生に終止符が打たれた判決でもあります。上申書提出し三上静男を刑務所に送ることに協力をした彼ですが、罪が軽くなることはなく、報われることはありませんでした。
ですが陰にあった事件を明るみにし罪人を一人塀に送り込むことには協力をしたのです。
内縁の妻や家族を大切にする気持ちがあった
極悪な彼にも内縁の妻がいました。彼が刑務所生活を送っている中で、面会や差し入れをしようと試みても彼は「他の女がやるからいい」と拒んだのです。
これは身元引受人であった内縁の妻に迷惑をかけまいと、わざと突き放した優しい嘘だったのです。
縁を切った
本当は自分の舎弟が差し入れをしていたのですが、自分のどうしようもない人生に巻き込みたくないとの理由から、内縁の妻との縁を切り身元引受人も解除したのです。自分のことは後回しにしてでも守りたかった大切な相手だったことがわかります。
深い愛情を持っている
内縁の妻に対し、毎月仕送りを欠かさなかったそうです。毎月80万もの大金を送金していたのです。凶悪な三上と関わってからは100万に増額したそうです。毎月欠かさずに仕送りをしていた後藤は生活に困らないようにと家族思いの一面もあったのです。
判決後の現在は?
現在、東京拘置所に収監されています。死刑判決が受けましたが服役中のため、唯一事件として扱われたウォッカ事件の判決懲役20年の服役を終えてからの死刑となる可能性が高いです。
暴力団員の社会復帰
彼のように更生して社会復帰したいと願っても難しいのが暴力団員の社会復帰です。やめてからが本当の人生においての試練であり、今までは違った社会のルールに適応していかければならないのです。
5年という厳しいルール
反社会組織をやめて常識ある世界へ飛び込んだとしても約5年間は、暴力団関係者としてみられます。ですから銀行口座も開設できないですし、住居を持つことすら難しい問題があり安定した生活を送ることが難しいのです。
更生期間中に断念する
5年という縛りがあることで、多くの更生したい人々が断念をしまた悪の道に染まっていきます。世間では暴力団撲滅運動を掲げていますが、裏組織に関わった人にしかわからない辛い現実も更生の難しさとなっています。
就職もできない
就職しようとしても住所が定まっていなければ履歴書すらまともに記入できません。嘘を書けば虚偽罪となり犯罪です。こうした生活の基盤となるお金を稼ぐための就職活動すら拒まれる高いハードルがあるのです。
家族に訪れる難しい現実
子供がいる場合、保育園や幼稚園の入園拒否だったり生命保険も入れない場合が多いため、裏社会と関わっている家族というだけでも、世間の対応が厳しいのです。
一生付き合う制限
入れ墨があることで半袖など肌を露出できなかったり、プールや温泉に入れないなどの制限とも一生付き合っていかなければありません。
社会復帰支援がある
高倉組という芸能事務所は、所属している全員が元暴力員や悪人と呼ばれた人たちです。威圧感たっぷりの風貌を生かして仕事ができるため嘘偽りのない姿で報酬をえることができるのです。