石川県の例ではすっかり恐ろしい存在となっていますが、対して群馬県の体験談では全く別の様相を見せています。ほのぼのとした雰囲気さえ感じられるやりとりは、果たして同じ生き物なのだろうかと疑うほどです。
雨が降った後に現れる?夏の夜に見つかったシシノケ

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報告者Cさんは、天体観測のため学校近くの裏山に行きました。途中で雨が降りましたが、あまり激しくもなく1時間程度で止んだのでそのまま天体観測を続けていました。すると、どこからか猫の鳴き声のようなものが聞こえて来ました。Cさんが辺りを見回すと、15メートルほど先に毛むくじゃらの生き物がいたそうです。
Cさんはシシノケを知っていたのですぐにそれとわかりました。けれどCさんは、何故かあまり恐怖を感じなかったそうです。むしろ見守られているような気さえしたそうで、Cさんは思い切ってその生物に話し掛けてみることにしました。
シシノケと会話をした?シシノケは言葉が通じる可能性も

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「こんばんは」とCさんは挨拶し、夜遅くに邪魔をして申し訳ないと詫びた上で、ここにいてもいいか尋ねてみました。すると相手は途切れ途切れに「ンン…ショウシ……ネェ…」と答えたのです。ショウシネエとは群馬の言葉で「仕方ない」という意味を持ちます。
Cさんはその言葉を聞いて「しょうがない、いてもいいよ」と許されたのかと思い、お礼を言って天体観測を続けることにしました。しかし、その謎の生物の意図するところではなかったらしく、続けて今度ははっきりと「ケエレヨ」と言われてしまいました。ただそれは怒っているトーンではなく、諭すような優しい雰囲気だったそうです。
何事もなくシシノケと別れた目撃者

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Cさんは了解し、荷物を片付けたあと挨拶をして山を後にしました。最後にその生物は「ナッカラ…オセエ…ンナ…」と言っていたそうです。ナッカラとは「とっても」という意味の方言で、Cさんには夜遅いからと心配しているようなニュアンスに聞こえました。それからCさんは何事もなく山を下りることができました。
後日シシノケの通った跡のようなものを発見

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次の日、Cさんは天体観測をしていた場所へ行ってみました。すると他の地面はすっかり乾いていたのに、あの生き物がいたところだけがしっとりと濡れていたそうです。Cさんは何度か雨の日に山へ行ってみましたが、あの生き物に二度と遭遇することはありませんでした。
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シシノケは人を食べる?

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この化け物が話題になり始めたのは2010年の事で、ごく最近の話だと思われていました。しかし、先ほど紹介した3つの目撃談より以前と思われる時期に、前世でシシノケに殺されたという人が現れたのです。
シシノケに食べられた前世の記憶

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書き込みがあったのは2016年の事です。その人は出回っているシシノケのイメージイラストが本能的に怖いと言い、そのイラストそっくりの化け物に食べられて「殺された」と書いていました。というのも、その人には前世の記憶があり、今の自分に生まれ変わる前によく似た化け物に襲われ、食べられて亡くなったのだそうです。
その人は整地されていない荒れた山の中でその化け物と遭遇し、逃げ切れずに「食べられた」と明確に書いています。もしもこの話が本当ならば、あの「空洞のような」と表される大きな口で、人間をまるごと食べてしまうという事になります。シシノケはカモシカを食べると言われているので、確かに人間を食べることなど造作もないでしょう。

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山の中で化け物に遭遇し、食べられてしまったら跡形も残りません。山で行方不明になり、未だ見つからない人というのはたくさんいます。もしかしたら、中にはそのような怪異に飲み込まれてしまった人がいるのかもしれません。
シシノケとはどのような生物?その特徴は?
ここで、目撃談を元にシシノケがどのような生物なのか整理していきます。聞いた話からイメージで描かれたイラストは数あれど、写真は一枚も存在しないシシノケ。一体、どのような生き物なのでしょうか。
巨大な芋虫のような見た目のシシノケ!針のような毛を持つ

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まず目撃者の目に止まるのが「巨大な芋虫のような」と表現される出で立ちです。冬用の寝袋くらいという証言からもかなりの巨体であることがわかります。そしてもうひとつ特筆すべきは全身に生えた毛です。自身を守るためなのか、針のような固い毛が体を覆っています。
顔と思われる部分には触覚が3つありその先に目が付いている

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更に、顔と思われる部分には触覚が3本付いています。その触覚の先には更に目のような物がついています。その目はバラバラに動き、色々な所を同時に観察しているようです。目については「見られている」と恐怖する人から「見守られているようだった」と安心する人まで様々です。
触角3本の真ん中には穴?顔らしき部分の下には髭のようなものも

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それから、3本の触角の真ん中には空洞があります。その顔らしき部分の下には髭のようなものがついていますので、ここが顔とみて間違いないでしょう。目、髭とあるので空洞部分は口なのかもしれません。
シシノケは魚が飛び跳ねるように動く?四肢のないシシノケ

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また目撃者によるとその生き物には四肢がないため、移動は魚が飛び跳ねるように動くか、或いは地面を這うしかありません。そのためそこまで動きは速くありません。Aさんのケースでも、管理人室に到着するまで随分と時間がかかっています。
シシノケは鳴く?言葉をしゃべることもある?

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目撃談にもあるように、彼らは言葉らしきものを喋ることもあり多少は会話も成立するようです。そして話すのは必ずその土地の方言です。また、登場する際には必ず猫のような、或いは赤ん坊のような鳴き声が聞こえてきます。
猫や赤ん坊のような鳴き声を持つシシノケ!悲鳴のような声も

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その鳴き声はよく猫や赤ん坊の泣き声に例えられます。特に喧嘩をしている猫の声に似ているようです。危害を加えられると悲鳴を上げることもあります。無言で人の前に現れる事はなく、必ず声を出しながら登場します。
言葉を発することも?「イトッシャノウ」「ケエレヨ」など

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また、彼らは多少言葉を話すこともできます。しかも自身が生息する地域の方言を使います。石川県の方言で「かわいそうに」等の意味をもつ「イトッシャノウ」や、群馬の方言「ショウシネエ」や「ケエレヨ」など、地元の人が聞けばわかるレベルの言葉を喋ることができます。
シシノケに会っても助かるためには

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人や地域によって遭遇した時の印象が違ったりその後の生活に支障が出たりするシシノケ。もし遭遇してしまっても、出来れば無事にやり過ごしたいものです。助かるためにはどうすれば良いのでしょうか。
助かるポイントは攻撃しないこと?

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助かったBさんのグループとCさんに共通しているのは、どちらも相手に危害を加えなかったというところにあります。目撃談を整理してみると、こちらが下手に威嚇したり攻撃したりしなければ彼らは何もして来ません。そう考えると、助からなかったのがAさんと犬だけだというのも納得できます。
キャンプ場の管理人も、ホームページが消されて連絡がつかないことから恐らくタダでは済まなかったのでしょう。Bさん達は攻撃していませんが、友人が怒鳴りつけてしまったためにお仕置きとして少し驚かされたのかもしれません。もしも雨の日に山へ入ってしまい、運悪く遭遇してしまったら、何もせずその場を立ち去りましょう。
シシノケの正体とは?日本の妖怪・野槌との関連性も?

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では、一体彼らの正体は何なのでしょうか。最初に目撃談が書き込まれてから現在に至るまで様々な情報や考察が集まり、その正体について言及されていますが未だ結論は出ていません。彼らは妖怪なのか、それとも神様なのか。噂されている可能性について紹介していきます。
尚、正体不明の生き物は他にも多く存在します。こちらの記事も参照してみてください。
妖怪の野槌とは?古くから知られている野の精

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ひとつめは妖怪・野槌ではないかとの説です。野槌とは野の精霊(野つ霊)という意味です。筒状の体に毛が生えているという記述があり、特徴がよく似ています。また鹿を一頭丸ごと食べるなどの伝説もあり生態も似ているようです。野槌は徳のない僧侶が生まれ変わった姿だと言われています。
僧侶は生前、口だけはうまかったということから、野槌も口だけ大きく目も手足もない姿となっています。移動は遅く、坂道を下るのは早いが登るのは苦手であり、襲われた時には坂を上がれば追いつかれないと言われています。
地元に伝わる逸話とは?シシノケは山中の村で生まれた?

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こちらはAさんが地元の人たちに聞いたという逸話です。昔、山の中には山の民が住んでいて、その人たちは里の人間とは少し違う風貌をしていました。そのため里から迫害され、山の人達は恨みを晴らすために産まれてきた奇形児を山の社に住まわせ、神様にしようとしました。
子供は芋虫のような姿になり里を荒らすようになりました。そして最終的には山の民の事も攻撃し始めた為、山の民によって山から出られないように封印されたというのが始まりだそうです。この話は、復讐をすると自分も痛い目に遭うという戒めのために言い伝えられて来ました。
シシノケは山の守り神である可能性も?

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Cさんの証言を読む限りだと、彼らはそこまで攻撃的な性分ではなさそうです。こちらから何もしなければ攻撃をしてこない事から、山の神様ではないかという説もあります。神様は基本的に山を守り人に危害を加えませんが、敬意を払わなければ祟られる事もあります。シシノケも同じように、山に住み土地を守る神様なのかもしれません。
シシノケは人間が作ったものだった?

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もうひとつ、興味深い話があります。それは奥獅子吼山にいたという、獅子を退治するために作った「獅子避け」というものです。獅子というのは山猫のことだと言われています。昔、その駆除のために山猫の四肢をもぎ取っていた文化があり、それを獅子避けと呼びます。
獅子は人語を話せるほど賢く、人間は自分達を殺せる存在と認識して近寄らなくなりました。しかし手足をもがれた獅子は当然人間を恨むようになり、怪異となりました。赤ん坊のような声を出して人間を誘いますが、手足がないので攻撃されない限り向こうから手出しはできないようです。こちらは名前や鳴き声など、特徴がよく似ています。
ヤマノケとは違う?シシノケとヤマノケの違いとは?

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よく混同されるのがヤマノケという怪異ですが、彼らに共通するのは山の中に住んでいるという一点のみでそれ以外は異なります。ヤマノケはこちらが攻撃しなくとも襲ってきますし、女性しか狙いません。手足もあり(足は1本ですが)、形も違うため全く別のものです。
目撃談によるとヤマノケは白い一本足で、両腕をめちゃくちゃに振り回し「テン…ソウ…メツ…」と言いながら襲ってくる化け物です。ふざけて山に入ると女性に憑りつき、憑りつかれた人は「はいれたはいれた」「テンソウメツ」と繰り返し言うようになり完全に正気を失ってしまいます。
ヤマノケについて詳しく知りたい方はこちらを参照してください
実在する生物?怖い話?謎に包まれたシシノケ

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妖怪とも新種の生物ともつかないシシノケ。写真がある訳でもなく、ただネット上に報告されたいくつかの目撃談があるだけで、実際にそんなものがいたのかどうかもわかっていません。今も謎に包まれたままの彼らは、もしかしたら山の奥深くでひっそりと生きているのかもしれません。
チュパカブラに関する記事はこちら
ヤマノケに関する記事はこちら