一瞬にして資産が失われたマウントゴックス事件
この出来事は仮想通貨の取引所である「マウントゴックス」がサイバー攻撃を受け、大量のビットコインとその利用者が預けていた現金約28億円がきえてしまった事件です。マウントゴックスは当時世界最大級の取引所として人気がありました。
この被害により会社が抱える負債額が膨れ上がり、債務超過に陥いる事態となりました。その後破産、東京地裁に民事再生法の申請を行いました。
世界の仮想通貨業界が震撼したマウントゴックス事件とは
事の発端となったのは2011年にマウントゴックス社が運営しているビットコイン取引所がハッキングを受けたことです。
この時の被害額はドル換算で875万ドル以上であるといわれ、世界中の仮想通貨業界が震撼し、仮想通貨の存在意義を改めて問われることになりました。
一瞬にして仮想通貨と現金が奪われた
その後会社は払い戻しを迫られますが、その時期は未定であるとし当時社長であったマルク・カルプレス氏が辞めることとなります。続いて大量のビットコインと自社保有分の10万ビットコインが奪われていたことを正式に発表しました。
これはハッキングにより仮想通貨の価格が操作され、不正に購入されたことが原因である、と言われています。
マウントゴックス社に多額の負債が発生し経営破綻
その後流出した資金の補填が取り戻されることはなく、資金保全命令が出され会社は破産手続きを行います。
これにより事実上の経営破綻となり、2018年には民事再生手続きの申請を行っています。
経営破綻に関しての事件はライブドア事件も有名です。興味がある方はぜひこちらもご覧ください。
仮想通貨とは
ここで問題となっている仮想通貨とはどういうものなのでしょうか?名前だけは知っているが実際に利用したことはないという方は多く、逆に名前すらはじめて知ったという方もいるかもしれません。
これからその仮想通通貨についての簡単な説明を行っていきます。
データとして存在するお金
仮想通貨とは実体としてあるお札や小銭とは違い、データとしてのみ存在するお金です。
またこのお金は円やドルといったように国が発行しているものではなく、ある特定の企業などが作り上げた通貨になります。この通貨は換金することで現金に変えることも可能です。
仮想通貨のメリットとデメリット
仮想通貨を利用することでさまざまなメリットやデメリットがあります。まずメリットとしては手数料が安く、銀行を通さないので送金の速度が速いという点です。
デメリットとしては価格が変動しやすい点とハッキングを受ける危険性があることです。仮想通貨に関するトラブルはこのデメリットから引き起こされたものであると言えます。
ビットコインとは
仮想通貨について説明をしましたが、続いてこの大きな事件の元となったビットコインについて説明していきます。
もちろんこのビットコインもまた仮想通貨であり、そのメリット、デメリットも存在します。
仮想通貨のなかで最も流通量が多い
仮想通貨の中で最も流通量が多いのがこのビットコインです。それゆえ仮想通貨イコールビットコインと勘違いをする人もいますが、あくまでもビットコインは数ある仮想通貨のなかのひとくくりとなります。
流通量が多いことから世界各国で取引がなされているので、まず最初に仮想通貨に手を出すのならビットコインをおすすめします。
始まりはネット上に投稿された論文
2008年にビットコインの形式のもととなる論文が発表され話題を呼び、続く2009年にその論文に沿ってソフトウェアが作られ、それが現在のビットコインの根幹になっています。
その後多数のエンジニアがこのソフトウェアを支援し、2010年には初となる取引所が開設されました。
取引量が増加する
取引所が開設されてからは徐々に取引量が増加し、利用者も増えていきました。それにつれて価格も瞬く間に上昇し、一気にメジャーな仮想通貨として名前を知らしめていきます。
また2011年からメディアで報道されることが増えていったのもその要因の一つであると言えるでしょう。
そんな中起こったマウントゴックス事件
そんなビットコインが勢いに乗る中、衝撃を与えたのがマウントゴックス事件でした。
これまでは問題もなく取引がなされていたビットコインですが、この事件により風向きが怪しくなり仮想通貨事態を不安視する人が増え、今後一体どうなるのか?といった声が現れ始めました。
マウントゴックス社とは
マウントゴックスという名前は仮想通貨関係の話題で聞いたことがある、という方も多いと思われます。
しかしどのような成り立ちの会社なのかというところまで詳細に知っている方は少ないです。これからこの会社が辿った経歴について説明していきます。
元はトレーディングカード交換業者
はじめは世界的にも有名なトレーディングカードゲーム、Magic The Gatheringnのトレードサイトとして設立、社名はMTOGOXと書かれます。
この名前はトレーディングカードの頭文字であるMTGとトレードの意味をもつオンラインエクスチェンジのOXをつなげたものです。
途中から仮想通貨取引所へ路線変更
このMTGOXが設立されたのは2009年ですが、その後2010年に仮想通貨交換所に事業転換します。
続く2011年にはフランスの実業家であるマルク・カルプレス氏が経営権を買収し、そのまま最高経営責任者であるCEOに就任します。
取引所として急成長を遂げた
このマルク・カルプレス氏が買収してからは世界のビットコイン取引量の約70%以上を誇る世界で最も大きいビットコイン取引所として注目を集めました。
マルク・カルプレス氏はエンジニアの業界の中でも凄腕と名高く、実力もあったのでその点も急成長を促した要因の一つでした。
仮想通貨取引所とは
これまでは仮想通貨やビットコインについて説明を行っていきましたが、続いてはこのマウントゴックス社が事業転換した仮想通貨取引所について説明していきます。
仮想通貨取引所とはネット上に存在する取引所として多くの人が利用していおり、実際の取引所のように無駄な手続きもなくスピードが速いのも特徴的です。
利用者の取引をサポートする場所
まず仮想通貨を通じて、その通貨を買いたい人と売りたい人が存在します。仮想通貨取引所に登録することでその買いたい人と売りたい人がつながり易くなり、そこで売買が行われます。
またこの仮想通貨取引所はその両者からの手数料を利益としており、この手数料も取引所ごとに値段が異なります。
取引の行われ方
仮想通貨の取引は競争売買方式がとられており、わかりやすくいうとオークションの方式で仮想通貨の取引がなされます。
買いたい人の側では最も高額の人が選ばれ、売りたい人の側では最も低額の人が選ばれます。これにより最も利益を得やすい両者がマッチングすることになります。
スプレッドでの利益
また仮想通貨取引所はスプレッドと呼ばれる売却値と購入値の差を利益としており、取引価格が大きいほどこのスプレッドも上がります。
このスプレッドも取引所によって異なるので注意が必要です。手数料とスプレッドはできるだけ小さいところを狙いたいところですが、これはサービスの質にもかかわるので慎重に見極めましょう。
実際に仮想通貨取引を行う場合
実際に仮想通貨を使って取引を行う場合は事前に準備しなければならない事柄が多いです。最初の一歩に躓かないためにもそれらをおろそかにせず、しっかりと確認しておきましょう。
また自分がどのように取引を行いたいか?というビジョンを明確にしておくことも重要です。
取引所を決める
まずは最初に利用したい取引所を決めましょう。現在は様々な仮想通貨取引所が存在します。
一番大事になるのが取引所の価格で、これはそれぞれの場所によって異なります。またレバレッジが何倍になるのか、といったポイントも見ておくべきです。
代表的な取引所
人気があり代表的な取引所はBitflyer、Zalf、みんなのビットコイン、コインチェックなどです。
この中で最も多くの仮想通貨を取り扱っているのがコインチェックで、最もレバレッジが高いのがZaifとみんなのビットコインです。また取引手数料も取引所ごとに異なるので確認しておきましょう。
取引を始める
まずは自分が選択した取引所のHPにアクセスし、登録します。登録の際には氏名や年齢、住所などを入力し、それが終われば運転免許所やパスポートなどのコピーをとり本人確認書として送付します。
ここまでで登録が終わり、最後に日本円で入金をしたら取引開始です。
実際に仮想通貨を購入する
入金が反映されたら実際に仮想通貨を購入してみましょう。現在は小額からでも簡単に購入できるので取引も行いやすくなっています。
また逆に売却を考える場合は仮想通貨の種類を選び、数量を選択、「売却」をクリックすることで完了し、これにより日本円に換金しなおすことができます。
マウントゴックス事件の真相
サイバー攻撃を受け大量のビットコインと現金28億円が消失したといわれているマウントゴックス事件ですが、実際の真相は別にあるという話が広がりました。
実際はサイバー攻撃によって資金が流れたのではなく、内部のある人物によって資金が横流しされたというのです。
サイバー攻撃で流出したのは僅か1%
実際にサイバー攻撃で流出した資金は被害額の数パーセントであった、という情報も流れ、マウントゴックス事件の真相はさらに謎に包まれました。
そんな中で、マウントゴックス事件にかかわるある人物が2015年に逮捕され、世間を騒がせました。
真犯人はマルク・カルプレス元CEO?
その2015年に逮捕されたというのがマウントゴックス社のCEOであるマルク・カルプレス氏です。私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕され、その詳しい内情は口座データを改ざんし残高を水増しした、というものでした。
これがきっかけでマウントゴックス事件がこのカルプレス氏によるものでは?という疑いがでてきました。
横領罪でマルク・カルプレス元CEO再逮捕
その数日後、当時の顧客の預金を着服したということで、業務上横領の疑いでマルク・カルプレス氏が再逮捕されます。