「やったねたえちゃん」とは?元ネタは?
「やったねたえちゃん」というフレーズですが、インターネットサーフィンが好きな方やSNS、掲示板サイトを利用している方であれば1度は目にしたことがあるかたも多いのではないでしょうか。
漫画「コロちゃん」の1シーン
「やったねたえちゃん」とは、漫画家であるカワディMAXさんによって描かれた「コロちゃん」という作品の中で使用されているセリフです。言葉の印象だけで見ると、とてもポジティブなシーンで使われているようなイメージを受けます。
「やったねたえちゃん」の意味は?
では、実際にはどんなシーンで使われたセリフなのかというと、この漫画の主人公である「たえちゃん」という女の子が孤児院から伯父に引き取られ、一緒に暮らすことが決まったシーンでテディベアである「コロちゃん」が話したセリフです。
たえちゃんは、幼い時分に母親に捨てられ孤児院に預けられており、その寂しい境遇を支えてくれる母親からの唯一のプレゼントであるテディベアに「コロちゃん」という名前を付けて友達のように大事にしています。
収録コミックスは「少女奴隷スクール」
元ネタである漫画が収録されているのは、作者のカワディMAXさんの作品集である「少女奴隷スクール」という書籍です。出版社は一水社であり、同社から刊行されているいずみコミックスというレーベルのコミックスになります。
現在もネットショップや電子書籍で購入することができますが、R18指定のコミックスなので18歳未満のかたは閲覧や購入はできません。また、内容もかなり過激でセンシティブなものですので、そういった表現が得意ではないかたにもおすすめできません。
「やったねたえちゃん」のあらすじ
ここからは、元ネタである漫画のあらすじについて説明していきます。過激な表現や子どもへの暴力表現などのアングラ要素に抵抗があるかたは、閲覧をおすすめできません。極力、直接的な表現は避けたうえで、おおかたのあらすじを説明します。
児童相談所に預けられたたえちゃん
ある日、主人公である女の子「たえちゃん」は、母親に連れられて児童保護施設へやってきます。たえちゃんは母親と離れるのを嫌がりますが、そんなたえちゃんに母親は一匹のテディベアを渡して「これがあれば寂しくない」と諭し、いつか迎えに来る約束をして去ってしまいます。
たえちゃんは、母親からもらった大切な友達「コロちゃん」と保護施設で暮らします。しかし、いくら待っても母親が迎えに来る様子はなく、他の子どもが親に迎え入れられている光景を見て、たえちゃんは母親が恋しくて仕方がなくなります。そんなとき、突然ぬいぐるみであるはずのコロちゃんが喋り、たえちゃんを励まします。
大事なぬいぐるみ「コロちゃん」
それ以来、たえちゃんはコロちゃんとおしゃべりができるようになり、辛かった施設での暮らしにも少しの光明が見えてきます。辛いときにはコロちゃんが励ましてくれるので、たえちゃんも少しずつ明るさを取り戻します。月日は流れ、たえちゃんが中学生になったころに転機が訪れます。
引き取りに現れた伯父…
母親に捨てられ、親戚からの連絡も無く天涯孤独の身であるかと思われたたえちゃん。しかし、たえちゃんが中学生になったころに母親の兄である伯父と名乗る人物から、突然保護施設へ申し入れがありたえちゃんを引き取りたいと言ってきます。
その知らせを受けたたえちゃんは大喜びし、コロちゃんに家族が増えることを報告します。「やったねたえちゃん!」と一緒に喜ぶコロちゃん、2人はドキドキしながら伯父の家へ向かいます。しかし、そんな2人の前に現れたのはお世辞にもまともな暮らしをしているとは思えない、酒気を帯びた不潔な中年男性でした。
実は「コロちゃん」はイマジナリーフレンドだった!?
ぬいぐるみであるはずが、突然言葉をしゃべりだしたえちゃんの心強い味方になったコロちゃんですが、その声は本当にコロちゃんが話していたものなのでしょうか?果たして、コロちゃんの言葉は他の人にも聞こえるものだったのでしょうか?
イマジナリーフレンドとは
人間の心理的な防衛手段として「イマジナリーフレンド」というものがあります。これは、深刻なストレスから自分の心を守るために脳が生み出す架空の人格や存在のことを指します。この架空の存在とは、自由に話したり遊んだりすることができ、自分に対して肯定的なものであることが大半です。
傾向としては、一人っ子であるなど、本人が寂しい思いをしている幼少期に発現するパターンが多くみられます。成長とともに自然と忘れてしまうことが多いですが、場合によっては大人になっても存在していたり、本人の意識がないうちに人格を乗っ取って他者と会話をするなど、解離性同一性障害、いわゆる「二重人格」を併発することもあります。
「コロちゃん」で精神状態を保っていたたえちゃん
母親に嘘の約束をされて保護施設へ置き去りにされてしまったたえちゃんは、幼い子どもの心では抱えきれない大きなショックを受けたと思われます。周囲の子どもが親と再開したり、里親へ引き取られたりして幸せになっていく様子を見て、たえちゃんは幼いながらに「捨てられた」という事実を認識したのでしょう。
「コロちゃん」は、たえちゃんといつも一緒にいてくれて辛いことがあれば励まし、寄り添ってくれる味方です。そんな様子から、たえちゃんは自身を肯定してくれる絶対的な味方を脳内に作り出し、本来は親が務めるはずのそのポジションをコロちゃんで代用し、辛い現実に耐えるための精神安定を図っていたと考えられます。