【ヒルコ】障害を持ち生まれ、恵比寿神となった神の神話、解釈、考察など

漁師は、これは尋常でないことだと感じ、家に持ち帰って大切に祀りました。そしてその晩、件の像が漁師の夢に現われ、「私はヒルコである」と告げ、西の地に社を建て、自分を祀るよう命じます。それから漁師は仲間たちと協力して、現在の西宮神社の祖となる社を建てたのです。

ヒルコのその後②戎三郎として人々に育てられる

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また、別の話もあります。それによれば、ヒルコは葦の船で流された後、摂津(現在の兵庫県南東部)の浜へと流れ着きます。その地の住人がヒルコを「戎三郎」と名付け、丁重にお育てしました。そしてヒルコは、ついには戎大神となったのです。

なぜ捨てられた不具の神、ヒルコは人々に大切にされたのか?

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このように、生みの親によって海に流されたヒルコの「アフターストーリー」は数多くあります。ではなぜ、一度は姿を消した神が、再び人びとの信仰の対象となったのでしょうか。続けて解説してゆきます。

ヒルコが祀られた理由は日本の風習が関係していた

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古来より、日本では海の向こうに「常世の国」という未知の国があり、海から流れ着いた漂着物などを、その「常世の国」からやってきたものとして、神として祀るという風習がありました。そのような海の向こうからやってきた神のことを、古くは「エビス」と呼んだのです。

エビス神とは、海からやってきた神

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古来、日本ではイルカやクジラなど、海からやって来たもの全般を「エビス」と称し、信仰の対象としていました。これらは「寄り神」とも呼ばれ、たとえば座礁したクジラにより飢饉から救われた、といった逸話が、その典型です。

恵比寿様とはどんな神様?

元来、海と深いつながりを有しているエビス神ですが、現在では「えびす顔」と呼ばれる、笑顔のまぶしい福の神として著名です。では、今日における「恵比寿様」とは、いかなる神様なのでしょうか。

七福神の一柱

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恵比寿様は、七福神の一柱。七福神とは、その名の通り七柱の福の神々であり、大黒天・恵比須・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の総称。その多くはインドや中国に起源を持ちますが、恵比寿様だけは、前述のように日本に由来する神様です。

恵比寿様のご利益

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恵比寿様のご利益は、何と言っても商売繁盛。商業の発達した中世においては、市場の神として恵比寿様が盛んに信仰されていました。また前述のように、恵比寿様と海との関係性から、漁業における豊漁や、航海安全を祈願する対象ともなりました。

恵比寿様が釣り竿を担いでいる理由

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恵比寿様は釣り竿を持っている姿が有名ですが、これは恵比寿様の起源とされる神々のなかに、事代主神(コトシロヌシ)という一柱が含まれているからです。コトシロヌシは、日本で最初に魚釣りをしたという伝説から、釣り竿がその象徴となっているのです。

また、七福神の他にも、強い力を持った仏神にご興味のある方は、以下の記事をご参照ください。

ヒルコを漢字で表した場合の解釈

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次に、ヒルコを漢字で表した場合の解釈について取り上げます。実は「ヒルコ」に漢字を当てる際には、いくつかの異なる表記がありうるのです。そうしたいくつかの解釈のうち、代表的なものを見てみましょう。

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