その精神的なダメージが果たして自殺に追い込むものであったのかは定かではありませんが、こちらも説の大きな根拠や裏付けとなっている要素です。脅迫が来ていたという事であれば、その脅迫文を送り付けた者による犯行である事も考えられるのです。真相については現在も判明していません。皆さんはどう判断しますか?
現場付近で植物を摘む男性が目撃された
当時の現場付近では、発見のちょっと前に死亡者に非常に似ている人物が目撃されており、その男性はその時植物を摘んでいたそうなのです。そして実際に発見された遺体が着ていたジャケットの中から、その時の現場付近に生えていた植物が出てきたのです。これを何しているか皆さんはもうお分かりのはずでしょう。
つまり死亡者は発見された時刻の少し前まで生きていたという事を意味していて、それは即ち自ら身を投げ入れて自殺したという事になるのです。しかしこれはあくまでも、目撃されたその花を摘んでいる男性が、本当に本人であった場合ですので、断定する事は出来ないのです。けれども説の一つの根拠や裏付けとなっているのは間違いありません。
事件の一週間前から手帳に書き記されていない
この事件の死亡者でもあり主人公でもある下山氏は非常に、真面目で几帳面な性格でありました。そのため常に手帳を肌身離さず持っており、何でもあれこれその手帳に書き記して愛用していたのです。けれどなぜかその事件が起こる約1週間前に、ぱたりとその手帳が止まってしまうのです。なぜ手帳を付けるのをやめてしまったのでしょうか?
もしかしたらこの時から既に自殺を計画をしていて、これ以上手帳に書き記していても無駄だと踏んでの行動だったのでしょうか?この事も一つの説の根拠や裏付けとなるものなのですが、この事に関する情報源がハッキリとしていないため、それでいうならば余り信憑性はないのかもしれません。信じるか信じないかははあなた次第です。
Contents
下山事件の他殺説
先ほどは自殺説を立証する大きな要因、裏付けとなるポイントや根拠について皆さんにご紹介していきました。どれも根拠として合点がいくもので自殺なのでは?と疑ってしまいますが、反対の他殺説に関しても裏付けとなるポイントや根拠が、当時の状況から見てもかなり合点がいくもので、納得がいくものなのです。
こちらの見出しではそんな他殺説の根拠や裏付けとなる要素を皆さんにご紹介していきます。皆さんも他殺の線があるか考えて推理してみてください。残念ながら他殺が真実として発覚しても、現在ではとっくに事件が時効となってしまって、犯人を正当に罰することはできないのです。事件の真相を解き明かす事は、関係者や我々の願いであります。
国鉄での大規模なリストラへの恨み
先ほども何度か皆さんにお話ししていきましたが、実は事件が起こる前日、つまりは失踪する前日ちょうどに死亡者も筆頭となって反対、抗議していた日本国有鉄道の人員削減が認められず、おおよそ30000人もの会社員がリストラに遭っているのです。そして死亡者はこの会社の事実上トップであり、また抗議の筆頭者でもある。
つまりこの30000人もの人間から、1人2人どころか、たくさんのリストラに遭った人々から恨み辛みを持っていたかもしれないのです。そんな人が彼の事を報復するように殺害して、最後に電車に轢かれさせ遺棄させた事は全然考えられない事ではありません。これも説の大きな立証する裏付けや根拠なのです。皆さんはどう思いますか?
鉄道好きな人が鉄道で自殺することは考えづらい
死亡者の生い立ちをご紹介した際にも解説しましたが、彼は幼い頃から本当に鉄道が好きな人間で、生涯を通してその熱を鉄道に注いできたと言っても過言ではありません。学生時代には鉄道に関する、地獄表や日本国内のほぼ全ての駅を丸暗記して、社外人時代は鉄道省に入社して、一生懸命に労働して技術を得てきました。
そして様々な役職に就いた後、日本国有鉄道のトップまで上り詰めて就任するのです。そんな鉄道とも呼ばれた彼が最期に鉄道を利用して自殺するなど考えられないというのが一つの根拠や主張なのです。ですが最期は大好きな鉄道の側で、という考えがあっての事でしたら全く逆の事が言えるのですが皆さんはどう考察しますか?
発見された線路周辺に大した血痕が残っていない
我々生きている人間にはたくさんの何リットルもの血液を体内に含んでいるのです。当然大きなパワーとスピードを持つ電車などに轢かれた場合、体中が引き裂かれてしまい大量の血が噴き出ることは、想像つくはずです。しかし轢かれて遺体として発見された、周辺には際立った血痕があまりなく、目立たなかったのです。
噛み砕いで皆さんに解説すると、血液が既に体内に十分になく、つまり既に何者かに殺害された際に血液が無くなってしまっている事意味しているのです。即ちこの事象も他殺の大きな根拠と言われているのですが、轢死体の場合、血痕が無いのはあまり珍しい事ではなく、根拠や裏付けとならないのでは。という意見も囁かれています。
遺書が無いのはおかしい
これは死亡者の長年の友人で同じ鉄道の関係者でもある島氏や、事件後日本国有鉄道の2代目のトップとなる加賀山氏、更には元ヤクザで現漫画家小説家として知られる阿部氏が同じ意見を持ち、発言している説なのです。死亡者の生前の事を良く知る人物と言っても過言ではない彼らが、このように意見を述べていているのです。
今回の主人公である死亡者は生前、非常に真面目で一切裏表がなく、愚直とも呼べるほどだったらしく、そのような人格の持ち主が遺書の一つ残さずとして自殺するのはありえないだろう。というのが彼らの意見や考えなのです。死亡者の事を良く知っているであろう人物がこのような意見を持っているので、かなり信憑性があると言えるのではないでしょうか?
下山事件の松本清張によるGHQ陰謀説
明治に生を授かり、平成に命を落とした日本の有名な作家の松本清張。名前の読み方は「せいちょう」ではなく「きよはる」が正しく、彼は芥川賞作家としても知られているのです。そんな彼が実話を題材にした書籍の中、この事件の事が書かれており、そこにはもし本当であれば衝撃の事実となる説が書かれていたのです。
その説とは死亡者は他殺であり、それも犯人は当時日本の実権を握っていたGHQだというもの。この書籍が出典されたのは10年以上の後の事でしたが、当時世間が驚き話題となりました。根拠としては、急成長する日本を退かせる作戦であり、死亡者は生前GHQの幹部が提案した事に抗議したから、彼がターゲットなり殺されたなど・・・。
下山事件のノンフィクション作品を書いた柴田哲孝氏は首謀者の孫?!
先ほど紹介した松本氏が書いたこの事件を元にした書籍は事件から約10年後に発表されていますが、もう少し年月が経ち、今から14年前の2005年に柴田氏が事実を書き記した書籍を発表して発売しているのです。そしてその作品を書いた張本人の実の祖父は、この事件に大きく関わっている人物であると、驚くべき発言しているのです。
事実を元に書いた書籍がどういったものであるか、また祖母はどうこの事件に関わっているのかを皆さんに分かり易く解説していきます。また4年前に発売された、続編とも呼べるフィクション作品である小説についてもご紹介していきます。是非気になる方は、一度購入してその目で確かめてください。きっと興味深いものがあるはずです。
柴田哲孝氏の祖父は下山事件に関りの深い「亜細亜産業」に勤務
現在から14年前の2005年に発売された、この事件の事実を元にして書かれた書籍「下山事件最後の証言」の中には、筆者は筆者の祖母からある日、祖母がこの事件に大きく関わっていると伝えられたそうなのです。この事から興味や関心、好奇心などから徐々に筆者はこの事件について、深く追求して調べていくことになるのです。
祖父は事件の関わりが強い亜細亜産業に勤めていたそうなのです。この会社が設立されたのは第二次世界大戦後で、表向きは紙類の販売や貿易会社としていますが、実はアメリカと日本を繋ぐ裏の情報機関としての存在していたそうなのです。更にはこの本が発表された後、事件に関わる重要人物から多数のメッセージが寄せられたそうです。
事件のノンフィクション作品「下山事件 暗殺者たちの夏」
前述でご紹介した『最後の証言』はノンフィクションとして書かれて発表されて世に発売され、その年の推理小説や小説全体の部門から大賞に選ばれるなど大ベストセラーになりましたが、その10年後の2015年にはフィクションとして小説として、この事件が描かれた『暗殺者たちの夏』が発表され発売されました。
そしてこの小説は初めからあくまでもフィクションとしてうたっておりますが、まるで事実の様に細かくこの事件の事や首謀者の事、真相までが深く書き描かれているのです。この事件の事を知らない読者をも惹きつける、驚愕の事実がこの一冊に詰まっているのです。興味がある方はこちらも是非一度読んでみてください。
柴田哲孝
- 1957年8月7日生まれ
- ノンフィクション作家・冒険作家
- 競馬に関する実話作品が多い
- 現在はフィクション作家としても活動している
詳細
- フィクション小説
- 値段:2000円前後
- 発売日:2015年
下山事件を元にした書籍など
先ほどご紹介した、筆者柴田氏による最後の証言、暗殺者たちの夏以外にも、この事件が元となっている様々な書籍や作品があるのです。こちらの見出しではそんな書籍の一部を皆さんにご紹介してきます。気になる方は是非購入してご覧になってみてください。興味と感心を引き付けるものばかりで、どれもリアリティに溢れています。
現代でも数々の本や作品として扱われるという事は、どれだけこの事件が日本の人々にとっての大きな謎であり関心や興味を寄せているかが分かります。未だに昭和に起きたミステリアスな事件の一つとしてこの名前が各所で挙げられているのです。きっとこの記事をご覧になってくださった読者の皆さんも、この事件の真相について気になったはずでしょう。
謀殺 下山事件
この書籍を書いた筆者はかつて当時の現場に居合わせていた朝日新聞の記者の一人であったため、実際に自身が関係者に取材した内容がびっしりと記述されており、リアリティあり内容の濃いものがあります。この一冊を読んでいただければ、ほぼこの事件の全貌や真相を熟知できると言っても過言ではないくらいの情報が刻まれているのです。
筆者は自身のこと病気を患っているかのようにこの事件の真相を探るように駆り立てられているらしく、実際にその真相に迫る情熱や執念には驚かされる内容がこの一冊に詰まっており、とにかく凄いの一言しか出てこないのです。推理や憶測などで書かれたフィクション作品とは大違いの作品となっているので是非読んでみてください。
詳細
- 文庫: 476ページ
- 出版社: 祥伝社 (2009/6/12)
- 言語: 日本語
- 筆者:矢田 喜美雄
- ノンフィクション作品
何も知らなかった日本人―戦後謀略事件の真相
こちらの書籍は今回ご紹介している下山事件だけではなく、戦後に起こった様々な不可解な事件の数々の真相について取り上げられていて、詳しくまとめている一冊となっています。多くの情報員と接点ある筆者だから知りえる驚愕の事実が、数多く判明して隠された歴史の1ページを知るうえで非常に大切な一冊と言えるのではないでしょうか。
マッカーサーを筆頭とするGHQについてこの事や日本を巡る世界の国々の様々な陰謀があった事が事実として浮彫になる一冊なのです。読んでみると知られざる事ばかりで、未だに解決されていない事件の真相が、読めば読むほど明らかになってくる書籍ですので、是非知られざる昭和の日本について興味や関心がある方は読むことをお勧めいたします。
詳細
- 文庫: 342ページ
- 出版社: 祥伝社 (2007/7/1)
- 言語: 日本語
- ノンフィクション作品
- 筆者:畠山清行
下山事件全研究
驚くべきは筆者の経歴なのですが、なんとこの筆者本人はあの松川事件において死刑囚として一度判決されているのです。そんな筆者が長年に渡り、本気でこの事件について向き合い研究を重ねている。その集大成とも呼べる作品で、当時の新聞の一面や鑑識時の細かな詳細までほぼ原文に載っているので、教科書と言って過言ではありません。
お値段は6000円以上して大変高価な一冊でありますが、内容を考えればそれ相応のものと呼んでいただければより実感できるはずです。筆者は一貫して当時の関係各所に徹底した取材、インタビューそして立証物を再度研究したりするなど、その実績を丸々一冊に詰め込んだものなので、まさに下山事件の資料集と言ったところでしょうか。
詳細
- 単行本: 621ページ
- 出版社: インパクト出版会; 新版 (2009/8/1)
- 言語: 日本語
- ノンフィクション作品
- 筆者:佐藤一
新装版 日本の黒い霧
こちらは先ほどの見出しでもご紹介した松本清張氏が書き記した一冊です。第二次世界大戦後、連合国軍、主にアメリカに占領された日本で次々と起こるミステリアスな事件の数々を、隠ぺいされた真相を解き明かした、当時多くの日本人の関心と興味を集めた話題の一冊となっています。色々な事件について書かれています。
この本では明らかになっている事実、そして発覚した当たらな事実の両方が描かれていて、推理小説や豊富な経験と知識を生かして、彼自身の考察や推察が詳しく入念に書き記しているのです。芥川賞作家という事もありその分の数々からは間違いなく凄みを感じられる事でしょう。是非皆さんも機会がありましたらご覧になってください。
詳細
- 文庫: 413ページ
- 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2004/12/7)
- 言語: 日本語
- ノンフィクション作品
- 筆者:松本清張
下山事件を含む「国鉄三大ミステリー事件」とは?
日本国有鉄道に深くかかわるのある物が対象となった事件が、今回ご紹介しているこの事件も含め3つあり、それらを俗に3大ミステリー事件と呼ぶのです。こちらの見出しではそんな3大事件の残りの2つの事件について、皆さんに簡単にどんなものであったかをご紹介していきます。気になる方はより詳しく自身で調べてみてください。
当然ミステリーと呼ばれているだけ、その2つの事件も真相が判明しておらず謎が付きまとっているのです。そしてこの2つの事件は今回ご紹介している失踪事件の直後、同年の1ヵ月~2か月後に起きているもので、またどちらも意図的に電車が脱線して事故となり、死亡者が出てしまったのです。真相はどちらも謎のままなのです。
国鉄三大ミステリー事件①三鷹事件
こちらも同年のという事で現在から70年も前に起きた不可解な事件です。大まかな概要は三鷹駅周辺で無人である電車が、暴走して脱線して線路の外にいた一般市民6人が死亡してしまうという事故なのです。犯人は経済政策の一環として、日本国有鉄道からリストラされた者と判断され、終身刑が言い渡されてました。
この時、死刑ではなかったのは、彼に殺人の計画はなくリストラの反感によるものだったからだそうです。この当日や前日に既に、三鷹駅周辺で大事故が起こると犯行予告や予知されていたり、港で噂されていたそうで、一説によると共産党という政党が大きくこの事件に関わっているのではないかという見方もある様です。
国鉄三大ミステリー事件②松川事件
こちらも先ほどの事件から1ヵ月後に起きた脱線事故で、何者かによって計画されたのです。また松川駅周辺で起きた事からこの名前が付けられているのです。大まかな概要はあらかじめ何者かの手により線路、レールをずらされており、これによりそこの線路を走っていた電車が脱線して事故が起きてしまい3人の死者が出てしまったのです。
現場近くにいた20人の人々は警察署から強制的に容疑を掛けられたという見方もあり、これは本当の犯人を守るための手段だったのではないかと一部で囁かれているのです。事故当時思ったよりも早く警察が駆け付けた事や、周辺で不審者の目撃情報もある事から、より警察側は本当の犯人を隠したとの見方が囁かれているのです。
下山事件によって建てられた「下山国鉄総裁追憶碑」
この事件のあと日本国有鉄道の初代トップとして、また数多くの功績を残してきた事も称えて、遺体として発見された近くに追憶碑が建てられました。常磐線工事屋、東京メトロ千代田線開設の際には障害物となってしまったので、場所を移動して現在も設置されています。どこに現在配置されているかご紹介します。
現在の場所は足立区の西綾瀬1丁目の常磐線の線路下に配置されています。東京留置場と五反野駅の間に位置するので、お近くに住んでいる方は是非一度足を運んでみてください。またその碑には日本国有鉄道2代目トップである加賀の筆跡が刻まれているのです。つくばエクスプレスなどの路線も開設されたため移動を何度かしているようです。
下山事件で下山定則を轢いた汽車「D51 651」のその後
あえて人間に比喩して例えるなら、悲しくも鉄道好きの死亡者を轢いてしまった電車はその後、どう処理されたのでしょうか?こちらでは事件後の轢いた電車の事についてお話ししていきます。実はその電車は戦時中に衝突事故を起こしており、この時200人以上の負傷者を出しており、内100人以上余りの人がこの事故で無くなっているのです。
この時の運転手は当時の下山氏の直属部下であり、この事件の後罪の重さからなのかうつを患って、何年後かには過度なストレスにより胃が潰れてしまう病気を患い死んでしまうのです。運命なのか不思議にもまたこの電車で一人の人間を轢いてしまう事になるのです。それが生前なのか死後なのかは判明していませんが・・・。
下山事件で日本で初めて使われた「ルミノール」
様々な事件で鑑識に用いられる重要なルミノール。これを初めて用いたのがこの事件だったのです。もともとはホワイトな色をしている物質なのですが、反応を示すと青白く光るのです。この性質を応用して世界中の操作や鑑識で用いられているのです。また科学実験でもリトマス試験紙の様に用いられている物質です。
血液中に含まれるヘモグロビンのよう物質に反応するため、血液検査や鑑識に用いられるのです。青白く発行する作用を利用して、周辺の隠れた血痕などを探し出す際に用いられるのだが、血液はあくまで反応する物質の1つなので必ずしも、青白く変化したとしても血液とは断定できないのです。そのためその後再検査、再鑑識をしなくてはなりません。
下山事件は今なお謎が残る未解決事件
今回は現在でも謎が多く真相が解明されていない、下山事件についてお話ししていきました。おそらいすると、日本国有鉄道の人事に関する大切な会議が予定されていたのにも関わらず、不可解な道順で違う場所に寄っていたその機関の総裁。そして三越にて謎の失踪を遂げて明くる日の午前0時に、轢かれた遺体となって発見されるのです。
生前に自ら電車に轢かれたのか(自殺説)、死後何者かによって電車に轢かれたのか(他殺説)これについてはどちらも根拠や裏付けとなる要素があり、どちらも合点が行き可能性として十分考えられる事が故に、当時から議論されて事件とすれば時効となり未解決となってしまいました。現在でも大きな謎が残るこの事件が解決する日がくることを祈るばかりです。
苗山事件に関する記事はこちら
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