菖蒲(アヤメ)の花の基本情報
菖蒲(アヤメ)はアヤメ科アヤメ属の植物で日本を含む東北アジアが原産地の多年草です。高さは30cm~60cmほどで茎の先端に1~3個の花を付けます。花の色は紫が多く見れらますが、まれに白いものもあります。開花時期は5~6月頃で比較的乾いた草地に群生しています。漢字で「文目」と書くこともあります。
菖蒲(アヤメ)の花言葉とその由来
様々な花には花言葉と言ってそれぞれの花の外観や特徴からイメージする言葉が付けられています。友人や恋人に花をプレゼントする時に参考にする方もいらっしゃるでしょう。それでは菖蒲(アヤメ)にはどのような花言葉があるのでしょうか。
紫色の菖蒲の花言葉
昔から「アヤメ色」と呼ばれるくらい紫色の菖蒲の花は一般的によく見られる花です。たいていの人は「アヤメ」と聞いて思い浮かべるのは紫色の花なのではないでしょうか。そんな誰もが知っている紫色の菖蒲の花言葉は「良い便り」「メッセージ」そして「希望」です。これは菖蒲の花全般の花言葉としても使われています。
白色の菖蒲の花言葉
白い菖蒲の花言葉は「純粋」「思いやり」「神秘的」そして「あなたを大切にします」です。因みに白い花の代表のような百合の花言葉もやはり「純粋」や「純潔」で、高価な花として知られる白い胡蝶蘭も「清純」といった花言葉が付けられています。白という色は花嫁衣装に代表されるように無垢で清純さをイメージするところが大きいのでしょう。
西洋での花言葉
西洋における菖蒲の花言葉は日本の花言葉とは別に「信頼」や「知恵」「友情」といった言葉もあります。ドイツやフランスで品種改良したジャーマンアイリスという菖蒲には「情熱」、またオランダで品種改良がすすんだダッチアイリスには「和解」や「私はあなたにすべてを賭ける」といった言葉が付けられています。
菖蒲と同じように紫や白の花を付ける多年草は他にも桔梗があります。桔梗の花も昔から日本に咲き日本人に馴染みの深い花ですが、現在では絶滅危惧種にもなっています。そんな桔梗に興味を持たれた方は是非こちらの記事もご覧ください。
菖蒲(アヤメ)の花言葉の由来はギリシャ神話
菖蒲の「メッセージ」や「良い便り」などの花言葉の由来はギリシャ神話によるものだと言われています。菖蒲の英名アイリス(Iris)はギリシャ語で虹を意味しギリシャ神話の中の虹の女神イリス(Iris)と深い関係があります。
全知全能の神ゼウスの妻ヘラに仕えていたイリスはゼウスに言い寄られて困り果てヘラに相談します。ヘラはイリスの願いを受けてイリスに七色の虹の首飾りを渡し神酒をふりかけます。そうしてイリスは神々と地上を繋ぐメッセンジャー虹の女神となりました。この時地上に零れ落ちた神酒が菖蒲の花になったと言われています。
菖蒲(アヤメ)と漢字が同じ「菖蒲(ショウブ)」
国語辞典で「アヤメ」と「ショウブ」を別々に引いてみるとどちらも「菖蒲」という漢字が出てきます。昔はショウブを「アヤメ」と呼び葉は似ているけれど花の目立つアヤメは「花アヤメ」と呼んでいたそうです。
ショウブとは?
ショウブはサトイモ科(ショウブ科と分類されることもある)ショウブ属の植物で池や川などの湿地に生育します。黄緑色の筒型の肉穂花序(にくすいかじょ:花の軸)に一面に小さな花を付けますが、小さくて目立たずアヤメの艶やかな花とは全く異なります。
ショウブの花言葉
ショウブの花言葉は「優しい心」「あきらめ」「適合」「忍耐」「あなたを信じます」などがあります。同じ漢字のアヤメの華やかさとは対照的で目立たない控えめな花の様子からそういった花言葉が付けられたのでしょう。
ショウブ湯や漢方に利用
日本には5月5日の端午の節句に菖蒲湯に入るという昔からの習わしがあります。ショウブ特有の香りで邪気を祓うのと同時に血行促進や疲労回復などの薬効を期待し健康を願います。ショウブの根茎を乾燥させたものは「菖蒲根」という生薬で鎮静、鎮痛、健胃、利尿作用などがあります。
見た目が似ている菖蒲(アヤメ)と杜若(カキツバタ)
杜若(カキツバタ)は菖蒲(アヤメ)とよく似ている紫色の花を付けるので「アヤメ」と呼ぶことも多く日本人には馴染みの深い花です。しかし実際にはアヤメとカキツバタの違いをよく知らない人は意外と多いのではないでしょうか。
カキツバタについて
杜若(カキツバタ)は菖蒲(アヤメ)と同じアヤメ科アヤメ属の植物で原産地は日本、シベリア東部から中国で背丈は50cm~80cmほどです。菖蒲(アヤメ)と同じように直径8cmほどの花を付けます。アヤメに似ていますがアヤメと違って湿地に生育します。江戸時代の画家尾形光琳が描いた国宝「燕子花図屏風」の杜若の絵は有名です。
カキツバタの花言葉
カキツバタには「幸せは必ず来る」、「幸せはあなたの物」、「贈り物」といった花言葉が付けられています。またカキツバタは漢字で「燕子花」とも表記されますが、カキツバタの花の姿が羽を広げている燕に似ていることから付けられたと言われています。花言葉も幸せを運んで来る燕が由来となっているようです。
ことわざの元になっている
古くからののことわざに「何れ菖蒲(アヤメ)か杜若」というものがあります。「菖蒲(アヤメ)も杜若も姿形がよく似てどちらも美しいので優劣がつけられない」という意味ですが、そのことわざは日本の古典文学「太平記」の中の話が基となっています。
源頼政が伝説の生き物「鵺(うね)」を退治した時に褒美として菖蒲前(あやめのまえ)という頼政が想いを寄せていた女性を賜ることになります。その条件として12人の美女の中から菖蒲前を見つけ出すように言われて詠んだ歌からこのことわざが生まれたそうです。
菖蒲(アヤメ)の花と花菖蒲(ハナショウブ)は別物?
あやめ祭りや菖蒲園に出かけると花菖蒲(ハナショウブ)を多く見かけます。そのため菖蒲(アヤメ)と呼び方は違うけれど同じ花なのかと疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。花菖蒲(ハナショウブ)とはどのような花なのでしょう。
厳密には別物
花菖蒲(ハナショウブ)は菖蒲(アヤメ)と姿形はとてもよく似ています。分類上はどちらもアヤメ科アヤメ属なので総称として「アヤメ」と呼ぶことも多く決して間違いではないのですが厳密には別の花です。
ハナショウブとショウブも別物
前にも述べたようにハナショウブはアヤメ科、ショウブはサトイモ科(またはショウブ科)の花なので名前には同じ「ショウブ」がついていますが全くの別物です。混同されがちですが見た目がかなり違うので区別はつきやすいでしょう。
アヤメとカキツバタとハナショウブの違い・見分け方
アヤメと端午の節句にお風呂に入れる菖蒲(ショウブ)は見た目から全く違うということはお判りいただけたと思いますが、それでは同じアヤメ科アヤメ属のアヤメとカキツバタそしてハナショウブはどうやって見分けるのでしょうか。
違い①育つ場所と開花時期
アヤメは比較的乾いた草地に生え、背丈は30~60cm。開花時期は5月の初旬~中旬です。カキツバタは湿地に生え背丈は50~70cmで開花時期は5月中旬~下旬です。ハナショウブは主に湿地に生えるもののやや乾燥した土地にも生え、背丈は80~100cmほどにもなり、開花は5月中旬~6月下旬です。
違い②葉の形
アヤメの葉は細長く平らで葉脈は目立ちません。カキツバタも葉脈は目立ちませんが葉の幅が比較的広いのが特徴です。またハナショウブはの葉の幅はアヤメとカキツバタの中間くらいで葉脈がくっきりと目立ちます。
違い③花の形
アヤメの花は小輪で花弁は丸く外側の花弁の根元に網目模様があります。カキツバタの花はアヤメとハナショウブのちょうど間くらいの大きさで花弁の根元近くに白くて細長い模様があります。そしてハナショウブの花は大きくて花の形や色も様々なものがあり花弁の根元に黄色くて細長い模様があります。