アネモネの花言葉は怖いとは限らない!由来と色別の花言葉を解説!

ここまでは、日本国内での花言葉について詳しくご説明してきました。しかし外国では、また別の意味を持つ場合が多くあるのです。そしてアネモネにも、外国では別の意味の言葉がいくつか存在しています。

イギリスでは病気・待望・消えた希望

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実は、イギリスでのアネモネはこのような随分暗い花言葉を持っています。日本よりもネガティブなワードですが、これは後述する、アネモネの花言葉の由来となったギリシア神話、そしてその花の毒性に端を発していると言われています。

フランスでは清純無垢・無邪気・辛抱

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フランスのアネモネには「清純無垢」「無邪気」そして「辛抱」という、多彩な花言葉が存在しています。そこには清らかさ、明るさを連想出来ますが、「辛抱」というつらいワードも含まれているところが特徴でもあります。

アネモネの花言葉の由来はギリシア神話

イギリスでの花言葉は、ギリシア神話に由来するとお話ししました。ここではその神話を2つご紹介します。どちらも非常に悲しく切ない神話で、いつの時代、どんな場所でも恋愛とは無情なものだと感じることが出来ます。

アネモネの花言葉の由来①西風の神ゼフェロス

ゼフェロスは、春が来たことを知らせる西風の神です。彼は川や泉にいる妖精の、アネモネと恋仲でした。花の女神フローラの侍女であった彼女に会うため、ゼフェロスは日夜フローラのところへ通っていたのです。

ゼフェロスはフローラの怒りを買ってしまう

しかしゼフェロスは惚れっぽい性格で、元々はアネモネと同じ妖精であったフローラを攫ってきて、その後神にしたといういきさつがあります。また、二人の間には子供もいました。そのため、彼の本心に気づいたフローラは嫉妬に怒り狂いました。ゼフェロスはその怒りを鎮め、自らの立場を守るため、保身のためだけにアネモネを花に変えました。

保身のため花に変えられた悲しき妖精

冒頭でご紹介した花言葉「嫉妬のための無実の犠牲」は、ここから来ていると考えられます。彼女に何も罪はないのに、ゼフェロスの立場のために花にされてしまったのです。またこの神話から、イギリスではアネモネの花を「ゼフィールの花」と呼ぶのだそうです。

アネモネの花言葉の由来②アドニス

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愛と美と性の女神、アフロディーテ。彼女にはエロースという名の息子がおり、ある日母子は仲良く遊んでいました。しかし、エロースはなんとローマ語でクピードー。そう、日本で言う「キューピッド」の元になった神です。

そして彼の放つキューピッドの矢が、母、アフロディーテの胸に刺さってしまいました。彼の矢が刺さったものは、見た人間に一目惚れをしてしまいます。そこに通りかかったのが人間の美少年、フェニキアの王キニュラースの息子のアドニスでした。

アフロディーテが愛した人間アドニスの死

アドニスとアフロディーテはそのまま恋仲になりましたが、アフロディーテは彼が毎日狩りばかりしているのを「危険だから」と止めていました。しかし、アドニスはやめようとしません。そんな中、アフロディーテの元恋人であった軍人アレースが2人の仲に怒り、猪に姿を変えてアドニスを殺してしまうのです。

愛する人の血から生まれた花

アフロディーテは非常に悲しみ、アドニスから流れた血をアネモネの花に変えた、またはアドニスの血が流れた大地に咲いた花がアネモネだった、と言われています。この神話は「儚い恋」「恋の苦しみ」の由来となっていると考えられます。

アネモネの種類は100種類以上

ではそもそもアネモネとは、植物学的に見るとどのような花なのでしょうか。この花は双子葉植物キンポウゲ目、キンポウゲ科、数年に渡って生息する多年草です。キンポウゲ科の花で代表的なものは他に、ラナンキュラス、トリカブト、フクジュソウ等があります。

和名は紅花翁草(ベニバナオキナグサ)、花一華(ハナイチゲ)、牡丹一華(ボタンイチゲ)。英名はAnemone、Lily of the field、Windflowerで、学名はAnemone coronaria(コロナリア)です。原産地は主に地中海沿岸。神話で春風の神が関わっていたように、開花時期は春である2~5月です。

品種改良が続けられており豊富な品種を揃える

品種は100種類以上、また現在も盛んに品種改良が進められており、毎年新しい品種が登場します。また、花びらに見える部分は実はがく片と呼ばれるがくの一部で、花の部分は実は真ん中の色濃い部分のみ。花びらを持たない花なのです。

がく片が重なっていない状態の一重咲きから、がく片の数が多く華やかな八重咲きまで様々な見た目のものが存在します。大きさも大輪、小輪と多彩で、はっきりした色のもの、パステルカラーが美しい「ミストラルシリーズ」など、色の種類も数多く存在します。

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