SOS遭難事件とは
男性の声で助けを求める様子を録音したテープやどのようにして書かれたのかがわからないSOSと大きく書かれた文字を残していた遭難事件です。メッセージは発見されるまでに5年もの年月が必要となったためこの遭難者は見つかった時、すでに白骨化されていました。
偶然発見された「SOS」の文字
実はこの文字が発見されたきっかけはこの文字を書いた被害者とは別の行方不明者を警察が探している時に見つかったのです。発見された状況はのちに詳しく説明してきますが、書いた本人とは違う遭難者を見つけた事で被害者の遺体も無事発見されたのです。
北海道警察のヘリが「SOS」の文字を発見
先にあげた登山者は1989年7月24日に東京から登山へ出かけました。予定としては、大雪山系黒岳~旭岳へ向かう途中での事故だったのです。計画書が出されていたので、警察がポイントを絞って彼らをヘリで上空から探していた時に、倒木で作られたSOSという大きなこの文字を見つけ、もしかするとと思いその場に降り立ったのです。
行方不明の登山者2名を捜索中に発見
無事に文字から少し離れたあたりで今回の探していた人たちを発見する事ができました。そして、救出した彼らに警察はあのメッセージをどのように作ったのか含め事情聴取をしていた所、驚きの返答が帰ってきたのです。
発見した2名は「SOS」の文字は作っていないと証言
なんと、彼らはこのメッセージの存在を知らず、ただ偶然にも近くで助けを待っている状態だったのです。このメッセージのおかげで無事に救出され助かる事ができたのです。
再度調査を行い文字の近くの人骨と荷物を発見
もし、このメッセージを作った人物が別にいたら、まだ近くで助けを待っているかもしれないと考えた警察は再度このメッセージの周辺を捜索しました。そして警察のよみはあたり、発見する事ができましたが、時すでに遅く白骨化している状態で動物にもところどころ食べられている状態だったのです。
初は女性かと思われたが若い男性と発覚
人骨を持ち帰り、身元を確認するために検査をした所、最初は女性と検査結果がでたのです。しかし、現場に残されていた遺留品の中には女性と思われるような物は一切入っておらず、捜査が難航してしまいます。しかし、再度検査をした結果、結局男性だったと確認できました。
SOS遭難事件の被害者
初めに性別が間違って診断されてしまったため、捜索が難航し被害者の情報がなかなか割り出せない状態でいました。しかし、再検査の結果、男性と診断されたことで、当時行方不明者リストに乗っていた血液型も一致する人物と特定する事ができたのです。
愛知県の会社員男性
この時、発見された人骨や遺留品などを照らし合わせ、一致したのは1994年頃に遭難したとされる愛知県江南市に住んでいた会社員(当時25歳)と特定され、この男性がメッセージを書いて遭難を知らせようとしていた人物、この事件の被害者だったと特定されたのです。
「ミンキーモモ」などアニメ好きだった
発見された男性は、自分の声を録音していたカセットテープ他、音楽が入っているカセットテープも持ち合わせており、それらに「魔法のプリンセス ミンキーモモ」や「超時空要塞 マクロス」などの当時人気だったアニメのキャラクターシールが貼られていた事から、アニメ好きの男性だったと言われています。
当時は女性もいたという情報が錯綜
そして、当初人骨を鑑定した際に出た結果に基づきもしかしたら女性も一緒に遭難している可能性があるとし、男性の骨を発見した付近で捜索を試みましたが結局、女性の姿は見えずまた遺留品等も一切見つからなかった事で、女性と一緒にいた可能性はなくなったのです。
SOS遭難事件のカセットテープに残されたメッセージ
この事件がニュースとなり、視聴者に衝撃と恐怖を一番に与えたのは遺留品の中に残っていた被害者の助けを呼ぶ声でしょう。どのような状況であのカセットテープは録音され、どうしてその声を残しておこうと思ったのか、様々な憶測が飛び交いました。
テープに残された叫ぶ声
「がーけーのーうーえーでー身動きとれずー。エースーオーエースー(SOS)。たーすーけーてーくーれー。がーけーのーうーえーでー身動きとれずー。エースーオーエースー。たーすーけーてーくーれー。場所は初めにヘリに会ったところー。ササ深く上へは行けないー。こーこーから吊り上げてくれー」(引用:.wikipedia)
この様に、助けを叫んでいたのです。喋っている内容からして、叫んでいるのはその時、目にしたヘリに向かって叫んでいるのかと推測は出来ます。しかし、なぜわざわざテープに撮っていたのか、そしてメッセージは誰が作っていたのかが報道番組では話題となっていたのです。
報道され話題に
実際に、報道された時の映像です。この音声を聞くと切羽詰まっていた感じが伝わりますね。死に直面している人の助けを求める声は番組を見ていた人達には相当、現実味が強く恐怖だった事でしょう。また、メッセージもどのようにして一人で作ったのか分からず謎が残っています。
このような報道を見ていた人には不気味な謎が残った状態での報道だった為、特に印象的だったんでしょう。特に発見された当時は女性と間違って報告されたりと事件性を含んだ内容になっていた事もありより人の好奇心をあおるような報道になっていたのです。
SOS遭難事件の不可解な点
多くの不可解な点が残るこの事件、被害者がすでに亡くなってしまっている為に事実を確認できない事が多く、また何故被害者はそんな行動をしたのか、どんな状況で迷ってしまったのかなど、謎の多く残る事件だったのです。
負傷した被害者は倒木で「SOS」を作れたのか?
そもそも、このメッセージは本当に被害者が作った物なのかも解明はされていません。被害者は1人で登山に出ているはずです。協力者もいないのにこの重たい倒木でできていたこのメッセージを作る事が可能だったのでしょうか?
白樺の倒木でつくられていた
この白樺(シラカンバ)の木はとても大きく高さは30mになる事も、倒木を使用していた為そこまでの高さはないにしろ、一人で運ぶには簡単にはいかない状況が容易に想像できます。
また、いつの時点で負傷したかは不明ですが被害者の残っていた骨には骨折したような跡も残されていたのです。もしかすると倒木を運んでいる時に追った傷もしくは、その後何らかの動物に襲われたなどで追った傷だと考える事でもできるのため、未だ解明されておりません。
大好きな鉄腕アトムの真似をした?
被害者は、アニメ好きと所持品から確認が取れておりますが、実は鉄腕アトムの漫画の中に倒木を利用し”SOS”を作るシーンがあり、それを真似て倒木でこの文字を作ってみようと思いついた可能性が高いのです。
大きな倒木を動かす体力があるならなぜ下山しなかったのか?
そして、もう一つの疑問がなぜ重たい木を動かし文字を作るほどの体力があるのに下山しなかったのか。考えられるポイントとして、方向感覚がなくなっておりむやみに動くよりも、同じ場所で助けを待った方が確実だと考えたと推測されます。そして、被害者がこの文字を残した場所は見渡しの良い場所で比較的発見されやすい場所だったのです。
なぜ長い間SOSの文字が見つからなかった?
見渡しの良い場所に作ったはずが、5年もの間発見される事がなかった被害者。これに関しては本当に運が悪かったとしか言いようがないのでしょう。被害者はハイキングに行くような格好をしていた為、入山届けまでは出していなかったと考えられます。
入山届を出している場合は、通常、登山計画書と言ったものも提出します。その計画書から大体どの辺りにいるかを想定し捜索に行きますがこの計画書が無い場合、どこにいるのか特定も出来ないため難しくなるのです。届け出を出していたか確認が現在取れませんが可能性としては高いです。
なぜ誰も聞いていないのに絶叫を録音しているのか?
もう1つの謎は、なぜわざわざ自分の叫び声を録音していたのか?こちらも被害者が亡くなっているので推測となりますが、助けを大声で叫び続けるには喉を酷使してしまう事、また体力的にも助けがくるまでずっと叫ぶ事は不可能です。
そこで、自分の持っているテープとデッキを使い助けを呼ぶ声を録音し最大音量で流す事を思いついたのではないか。もしくは、叫んでいる間にたまたま録音ボタンが押され録音されてしまったのか、この2点の可能性が高いと考えられます。
男性がいた場所とテープ音声内の場所の不一致
このテープの最大の不可解な点は、先に聞いて頂いた音声内では”崖の上”と1文字ずつはっきりと喋っているが、発見されたのは全く違う場所でした。その事から、見つけてもらうまでは自力で下山を試みながら動いていたのではと考えられるのです。
SOS遭難事件の真相とされている説
実は、この事件では被害者がすでに亡くなっている事で色々な憶測が飛び交っているのです。どんな説が出ているか、そして噂されている説はどれほど信憑性があり、どれが一番真相に近づけているのかを検証していきます。
真相①自殺説
自殺説を解く場合ですが、不可解な点が多く残ります。まず、自殺をしたいと思っている人がいくら好きなアニメで出てきたからと助けを求めるメッセージを残すでしょうか?そして、必死に助けを求める内容を叫ぶでしょうか?その点だけを見ても自殺の線は薄いと考えられます。
真相②殺人事件説
なんと、初めに白骨を検査した時に女性と判断された事から、実は残されていたのは本当に女性の骨で彼女を殺してから男性は一人で救出された説もあるのです。しかし、男性が万が一女性を殺していた場合、死体の近くにいつまでも残り、そこで助けを呼ぶでしょうか?
もし、女性を殺してしまった場合、警察に見つかってしまわぬよう極力離れた場所に移動し警察を待つと考えられます。そもそも男性が自力で脱出していたのであれば助けを求める行動も必要がないので、この説も薄いでしょう。
真相③不運な遭難説
この説では、助けを叫ぶテープを残し見つけてもらおうとしていたのも理解できます。下山しようと動いてはいたが、方向が分からなくなってしまい、これ以上は無理と判断しての結果だったと考えられます。携帯も無い時代だったため、これが精いっぱいの方法だったのでしょう。
この二つの説を考えてみても、やはり不運な事故だったのではないかと考えられます。また、残していた音声の中にも捜索しているヘリを見たようなフレーズがあるため、その時見たヘリがまた戻ってきて自分を見つけてくれる!と期待を込めていたのかと考えられます。
SOS遭難事件の現在
様々な憶測が飛び交ったこの事件でしたが、実は発見当時、警察が捜査していた時に被害者が残したノートが出てきたと報告されている様です。このノートは被害者のお父様に渡されているようですが「息子の心だとしたら、抱きしめたい」とおっしゃり、公表はされなかったのです。
SOSの文字は撤去済み
実は、発見される数年前に撮られた航空写真にこの文字が写っていた物が後に発見されております。撮影当時にこの文字に気づいていればもしかしたら被害者の救出が出来たかもしれないと悔やまれます。捜査後にすでに倒木は全て撤去されているため、現在はこの文字を見る事は出来ません。
技術の進歩による再捜査が期待されている。
事件発見から30年の月日がたっており、当時の操作技術よりも現在は数段良くなっております。もし、現在の技術で再調査をすれば謎の解明に繋がる何かを発見できる可能性もあります。特にテープの録音場所などは現在の技術なら可能でしょう。再調査に乗り出す事を期待しています。
SOS遭難事件被害者のあの日
自力で下山できなくなってしまった被害者ですが、当日どのような状況で遭難してしまったのか、当日の被害者の足取りを追う事で分かる事があるかもしれません。また、回避する事ができたのか。当日の様子を説明していきます。
北海道旅行中に立ち寄った大雪山
愛知県在住だった被害者ですが、北海道旅行中に登山をしようとこの山に立ち寄りました。しかし、他の登山者に比べると軽装だった為、ハイキング目的で山に入ったもしくは、あまり登山に詳しくない方だったと考えられます。
ニセ金庫岩を目印にしてしまい遭難
この山には、2つのよくにた岩があります。登山する人正しい金庫岩と呼ばれる岩をスポットにし下山していくのです。しかし、同じような姿形で”ニセ”金庫岩と呼ばれる岩もあり、被害者はこの時、ニセの岩を目印に下山してしまったのです。後に検証した結果、このルートで下山した辺りに遭難した場所があったのです。
一度は来たヘリコプター
残されているテープでも被害者が叫んでいるように、一度ヘリコプターは飛んできたようです。しかし、このヘリコプターは捜索をしていたのかまた別の目的で飛んでいたのか分からないですが、次にヘリコプターを目撃したら助けてもらえると考え行動していたのでしょう。
助かるためにできることをすべて行った。
助かる為に、被害者が思いつく全ての事を行った状況だと言えます。メッセージは被害者の助けにはなりませんでしたが、実際に人命を救う事にも繋がりました。そして、発見まで長くかかってしまいましたが遺骨も家族の元に戻る事も出来たことは不幸中の幸いといえるかもしれません。