小林竜司の生い立ち③友人への男気
そんな幼少期を過ごしてきた小林だからこそ、自分を気にかけてくれる仲間を思う気持ちというのは人一倍強いものがありました。今回の事件に加担した理由も、その大切な友人の一人から助けを求められての事でした。大切な友人を守るため、取り返しのつかない罪を犯してしまうのです。
彼のした行為は決して許されるものではありませんでしたが、友のためにここまでの事をできる人間はそうはいません。大切な友の為ともあれば、自分の人生を投げ出す覚悟で誠心誠意尽くす彼の男気は世間の人の心にも刺さりました。彼の友に対する健気な気持ちがもっと別の形で表れていれば彼の人生は今と違っていたのかもしれません。
小林竜司の生い立ち④母を愛する優しい子
父親との間には虐待を受けてきてきたため愛情が育まれなかったようですが、母親との関係は良好なものだったようです。出頭する際も母親に同行してもらい、出頭する直前に母親に対して「母さんの子で幸せでした」とメールを送るなど、母親に対して深い愛情を抱いていたのが分かります。
父親からは愛されていたとはとても言えず、唯一自分を愛してくれる母に特別強い愛着を持つのも当然と言えます。実は、母親も父親から同じく暴行を受けていました。同じ男から暴力を振るわれるというつらい経験を共有した二人。その間にはいつしか強い絆が芽生えたのでしょう。
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小林竜司と佐藤勇樹の友情
小学生から中学生までの長い間いじめられてきた小林。その時に支えてくれた友人というのが佐藤勇樹でした。小林が事件に関わることになったきっかけは、その佐藤から助けを求められたことがきっかけだったのです。彼にとっては恩返しの気持ちから、友人のために立ち上がることを決意したのかもしれません。
佐藤勇樹という人物はとても優秀な生徒で、高校では生徒会長を務めるほどでした。また、地元の成人式では代表して宣誓を行っており、その際には地元の広報誌で「感謝の気持ちを忘れない」、「強い力を持ち、命を大切にする」、「自分の意志をしっかり持って行動する」という様な事を語っていました。
佐藤は小林が父親からの虐待を受け辛い時に支えてくれた
事件の詳細については後述しますが、佐藤はとあることをきっかけにトラブルになった友人に付き添って行った先でリンチを受け、ヤクザを騙った相手から現金を強請られているという状況に陥ってしまいました。命をも奪われかねない状況に陥った恐怖は計り知れません。友を頼るのも当然のことと言えます。
佐藤は、父親から虐待を受け学校でもいじめにあっている辛い時に支えてくれた数少ない大切な友人です。そんな大切な友人が危機に陥っているともなれば、いてもたってもいられなくなるのも当然の事でしょう。こうして小林は、事件に巻き込まれることとなってしまったのです。
小林竜司が起こした東大阪集団暴行殺人事件
それでは、彼らが起こした事件の具体的な内容についてご説明していきます。東大坂集団暴行殺人事件は、同じサッカーサークルのメンバーである藤本翔士と徳光優多という二人の人物を中心に、最終的には沢山の人物を巻き込んで起きた事件です。一体何が起こってしまったのか、詳しくご説明致します。
事件概要①発端の集団リンチ事件
発端となるのは、この事件の加害者である徳満優多とその友人の佐藤勇樹が事件の被害者である藤本翔士と岩上哲也を含む5人の人物に集団で暴行を受け、その末動けなくなったところを車に乗せられ、5時間ほど連れまわされた挙句にガソリン代として5000円を奪われるという事件でした。
それだけに留まらず、藤本らは徳満らに50万円を要求したそうです。この際にヤクザの知り合いがいることを仄めかし、「払わなかったら殺す」「海に沈める」等と強請りました。この時点で、友人同士のケンカの域をはるかに超えていたといえるでしょう。まだ若い彼らにとっては相当恐怖する出来事だったでしょう。
事件概要②集団リンチ事件のきっかけは藤本と徳満のトラブル
そもそもの原因なるのは、藤本と徳満との間に起きた恋愛トラブルでした。徳満には当時想いを寄せていた女性がいたのですが、その相手には既に恋人がおり、その恋人こそが藤本だったのです。彼女が藤本と交際していることを知りつつも、告白メールを何通も送り、次第に彼女の気持ちも傾いていきました。
ふたりはそれまで仲の良い友人でしたが、藤本は徳満が自分の彼女にアプローチをしていることを知り、大層怒り、ついには殴り合いの喧嘩になります。しかし、それだけでは気が済まず、前述の集団リンチへと繋がります。その際に要求した50万円は、この所業に対しての慰謝料という名目でした。
徳満は藤本の恋人にメールをしただけだった
徳満は、藤本の恋人に何度も「付き合ってほしい」などという内容のメールを送ってはいますが、それ以上の関係はありませんでした。藤本はこの事に対し慰謝料という名目で50万円を要求していますが、当然この程度の事では慰謝料は請求できません。ではどういった場合なら可能なのでしょうか?
一般的に浮気などによる慰謝料が請求できるケースは既婚者や婚約関係にある者に限られ、その上で肉体関係がなければ請求できません。以上の事から考えても、やはり徳満の行為は人の心を傷つける行為であったことは確かですが、慰謝料を請求するというのは横暴であったと言えます。