やらないかとは?
山川純一先生の執筆された作品「くそみそテクニック」に登場台詞です。男性同士の恋愛、つまりゲイをテーマに描かれている作品であるため、なかなか手に取ったことのある方も少ないのではないでしょうか?
商業誌としては日本で初めてのゲイ雑誌である「薔薇族」という雑誌に1話完結(16ページ)で掲載されました。読み切り作品のごく一部に登場した台詞であるにも関わらず、なぜここまで話題になったのでしょうか?この記事ではその疑問点を掘り下げてお答えしたいと思います。
やらないかの元ネタゲイマンガ「くそみそテクニック」と登場シーンは?
では実際に話題のセリフが使用されていた「くそみそテクニック」とはどういった内容だったのでしょうか?実際に台詞の登場した経緯や、使用されたシーンを振り返りながらご紹介したいと思います。
やらないかの「くそみそテクニック」はどんな漫画?
冒頭でご紹介した通り山川純一先生の描かれた「くそみそテクニック」は一言でいうとゲイ漫画です。登場人物は通りすがりの男性を含めると3名と非常に少ないですが、キャラクターの表情やしぐさなどが非常に印象的な作品となっています。
メインの登場人物である道下正樹は予備校生で自覚のあるゲイであり、一方の阿部高和は職業が自動車修理工ということもあり袖をまくってツナギを着用しています。主観は道下の回想で描かれており、主な登場人物である道下と阿部の絡みを描いた作品となっています。
「やらないか」と発言したのは阿部高和
作中での阿部高和は見た目が非常にイケメンで、自動車修理工場勤務ということもありツナギを少々着崩しており、若干ワルそうなところがイイようです。阿部はツナギの下に下着は着用していない事が有名ですが、実際ツナギを着用される方は夏場などは履かない方も多いようですね。
通りすがりの道下に偶然出会った阿部は、「やらないか」と道下を誘います。この時の台詞が話題の元ネタとなったとされています。
「やらないか」の登場シーンとは
予備校帰りにトイレに行きたくなった道下正樹が、途中のベンチに座っていた阿部高和に一目ぼれしてしまい思わず欲情してしまうという展開です。道下を見た阿部がおもむろに着用していたツナギのホックを外し始め、自らの股間を道下に見せつけつつ誘惑しました。
このとき阿部が道下を誘惑する際に使用されたセリフが、「やらないか」です。それまでの尿意をどこかに忘れてしまった道下は、阿部の言う通りに近くの公衆トイレに連れ込まれます。その後の展開が気になる方はご自分でお調べください。
やらないかを使うのはどんな時?使い方は?
作中では阿部が道下を行為に誘うために使用されていた「やらないか」という台詞ですが、実際に使用する場合はどんな時に使用すればいいのでしょうか?使用の際の注意点やよくある誤用なども併せてご紹介いたします。
やらないかの使い方①いい漢を誘う
このセリフの使用方法として最もオーソドックス且つメジャーなのは、やはり作中と同様に男性が男性を誘うときに使用されます。ニコニコ動画などで配信者がイケメンである場合や好みのタイプだった際に、ネタとして「や ら な い か」とコメントを流す方も多いようです。
ニコニコ動画では多数の方がコメントを投稿するため、そんな中でも自分のコメントが目立つようにわざと字間を開けてコメントする方が多いようです。ニコニコ動画をご覧になる方の中には、実際に目にしたことある方も多いのではないでしょうか?
やらないかの使い方②遊びや新しい趣味に誘う
作中の用途から派生したものとして自分の好きな事や、趣味などに友人を誘う際に使用します。「やらないか」という言葉にこだわる必要は特になく、5文字で最後の文字が「か」であればある程度どんな言葉でも対応が可能となっています。
例えば友人を家に招待する際に「ちょっとウチに寄らないか」などの使用方法も可能です。但し男性が男性に対して使用する際、相手の知識レベルによっては身の危険を感じさせる恐れもありますので、使用するタイミングはきちんと見極めましょう。
やらないか?は誤用
文章の流れからどうしても「やらないか?」と疑問形で使用をしてしまいそうですが、これは作中での阿部高和のセルフと異なるということで一般的には誤用とされています。実際阿部が発した台詞には「?」がついておらず断定的な言葉になっており、トラブルに発展するほどでは無いですが誤用として相手に不快感を与えることがあるようです。
やらないかが流行った理由①ウホッとセットでネットの一部で有名になった
「やらないか」という言葉がここまで流行したのは、その台詞単体でも使用が可能というのも非常に大きいですが、同作品内に登場した「ウホッ」という台詞とセットで有名になりました。元々がゲイ漫画ということもあり非常にコアな層での使用が主でしたが、インターネットやスマートフォンの普及により爆発的に拡散しました。
やらないかはヤマジュン語として有名になった
「やらないか」の生みの親山川純一先生の名前を略して「ヤマジュン」と称し、新たな言語として布教するということで「ヤマジュン語」として有名になりました。ヤマジュン語として有名なものは「くそみそテクニック」の台詞が多いですが、山川先生の他の作品もヤマジュン語として布教されています。
「僕の性活論」からは「~なんちゃってね!」、「刑事を犯れ」からは「あなた〇〇が△△なんでしょ?」などがあります。記号の中は好きな言葉を入れることが可能で、紹介した以外にも多数のヤマジュン語が存在しています。気になる方は一度検索をしてみてください。
やらないかが流行った理由②歌い手いさじの「バラライカの替え歌」で有名に
月島きらりさんの歌うアニメ「きらりんレボリューション」のオープニングテーマ「バラライカ」。その曲をベースにニコニコ動画にて、いさじさんという歌い手の方が替え歌を作ったというのも流行の理由とされています。
いさじさん自身は非常に低く良く響く声をしており、歌唱力も抜群です。替え歌の方向性が特殊であることから一部のユーザーから「イケボの無駄遣い」などと揶揄されることもあります。いさじさん自身はノンケを自称していますが、その替え歌の特殊性から信じる人が少ないといったジレンマを抱えています。
ノンケとは
画像でご紹介しているNiiNAさんのツイートでご紹介されているのは小学館より販売されている「電波教師」の一コマです。作中での主人公鏡純一郎は重度のオタクですが、オタクの気が無い一般人のことをノンケと表現しています。
異性愛者-同性愛者から見て、同性愛の”ケ”(その気)がない人を指す隠語。「非」「無」などを意味する接頭辞の「non」(研究者:新英和中辞典より)と「(その)気」を合わせたもの。(引用:wikipedia)
やらないかはバラライカPVいさじwith阿部ダンサーズで再ヒット
もともと「やらないか」という言葉は、山川先生のくそみそテクニックが掲載された頃に一部のユーザー間で流行をしていました。しかし時を追うごとに薄れていた流行がいさじさんの替え歌の登場により、再び火が付きました。
ニコニコ動画上では主にボーカロイドの楽曲に使用されていることの多いMMDの技術を利用し、曲に合わせて3人の阿部高和が踊っているのが非常に面白いということも知名度の上昇に貢献しています。
やらないかと空耳で聞こえることが理由
替え歌の内容が非常に面白いというのももちろん流行の理由ではありますが、ほかにも「やらないか」と「バラライカ」は母音が同じであるため、ぼんやり効いていると似て聞こえるというのも話題の理由となっています。
非常に上手に韻を踏んでいるので、原曲を知っている方からも「違和感が無い」や「違和感仕事しろ」などのコメントが多数上がっています。あまりの知名度に原曲よりも先に替え歌を知る人が増えているばかりか、替え歌を本家と勘違いと思っている人がいるほどです。
やらないかの歌い手いさじさんは「漢らしく歌ってみた」が有名
ファンからは兄貴や魔王の通称で呼ばれ親しまれているいさじさんは、ニコニコ動画における本人初の投稿である【組曲「ニコニコ動画」を漢らしく歌ってみた】で大きな反響を呼びました。歌詞の中には「くそみそテクニック」に登場する台詞が多数盛り込まれており、いさじさん自身のゲイ疑惑を加速させました。
知名度が非常に高まった状態での初投稿ということもあり、2日間連続でランキングのトップを独走など非常に話題になりました。しかし動画投稿の3日後に権利者により動画の削除が行われてしまい、ファンからは非常に残念がる声が上がるとともに権利者に対する反感の声が多数上がりました。
やらないかの聞き間違いによってモーニング娘。の久住小春に風評被害!
久住小春さんは自身初のソロデビューであり声優デビューでもある「きらりんレボリューション」のメインヒロインと主題歌を務めていました。声優としての名義はアニメ内に登場するヒロインの名前をそのまま起用し、「バラライカ」を含め月島きらり名義の楽曲は作中での主人公のアイドル活動中の持ち歌という設定です。
問題となったのはその作中楽曲「バラライカ」と「やらないか」というフレーズが似ており、聞き間違えが発生してしまったことから本人にとっては望ましくない方向で有名になりました。
やらないかによってニコニコ史上最大の被害者との声もある久住小春
いさじさんによる替え歌が非常に有名になることにより、「ニコニコ史上最大の被害者」と呼ばれるほど知名度が高まりました。替え歌が非常に高い反響を呼び有名になるにつれ、月島きらり(CV:久住小春)さんの歌う「バラライカ」に関連する動画のコメントが替え歌の歌詞で埋まってしまうなどの現象が発生しました。
この現象が動画のタグに「ニコニコ史上最大の被害者」が付けられることになってしまった主な要因とされています。今でも検索すると名前が挙がってくることを考えると、当時どれほど話題になったのかよくわかりますね。
やらないかは現在バラライカ(本家)で区別されている
問題になった「バラライカ」と替え歌の「やらないか」は替え歌の異常な知名度の高まりにより、替え歌が元の楽曲であると勘違いする人が続出してしまうという異例の事態が発生しました。そのため本来のオリジナルを正しく認識してもらうために「バラライカ」を本家と呼ぶようになりました。
他にもいさじさん本人のニコニコ動画の投稿者のコメント欄に「本家の動画に自分の名前や替え歌の歌詞を記載しないように」といった注意書きがなされるなどの対応も取られました。
やらないかはグッズもある
ニコニコ動画上で大変話題になった「やらないか」は、元ネタになった「くそみそテクニック」に関連する様々な台詞と合わせて多数のグッズの販売がされました。ここでは人気グッズの中からいくつかピックアップしてご紹介いたします。
やらないかのグッズ①「オトナのぬりえ」やらないか!
読んで字のごとく「オトナ」の塗り絵であるこちらの商品は、原作の「くそみそテクニック」に登場するシーンがそのまま拡大されています。他にも「薔薇族」の創刊者である伊藤文學さんのコラムなどが記載されており、読み物としても面白い商品となっています。
やらないかのグッズ②くそみそテクニック グラス のまないか
ベンチに腰掛けツナギのボタンに手を掛け、今から服を脱ごうとしている阿部高和のイラストが描かれているこちらの商品は、作中の台詞をうまくもじっています。こちらのグラスはほかにも阿部高和の顔だけが描かれているような商品もあります。晩酌のお供にいかがでしょうか?
やらないかのグッズ③俺たちの燃えスリーブ やらないか
こちらの商品は遊戯王などのトレーディングカードゲーム用のスリーブとなっています。このスリーブがあれば言葉は必要ありません。即決闘スタート可能です。遊戯王カード用に使用される場合は少々サイズが大きいので、透明のスリーブと重ねて入れる必要があるので購入の際はご注意ください。
やらないかのグッズ④くそみそテクニック スクリーンクリーナー 阿部さん
最近は一人一台携帯電話を持っているのが当たり前の時代になりました。特にスマートフォンの普及は目覚ましいものがあります。ですが、スマートフォンのはその特性上どうしても画面上に指紋や皮脂汚れが付きやすいです。
そういった指紋や汚れ落としはもちろん、未使用時には背面に貼り付けることで「やらないか」仕様のスマートフォンに変身させることが出来ます。使用中のケースなどによっては貼り付けが不可能な場合がありますのでご注意ください。
やらないかのグッズ⑤くそみそテクニック 阿部さん「やらないか」2種セット iPhoneカバー for iPhone5/5S用ケース
こちらの商品はスマートフォンケースになりますので、これまでにご紹介させていただいた商品に比べて使用できる方がやや限定的になってしまいます。2種セットの商品になりますのでその日の気分で使い分けることも可能ですし、機種が合う場合は友人のプレゼントに選ばれることも多いようです。
やらないかは同人・派生作品で伝説級の人気!
「やらないか」の人気は原作のみに留まらず、同人作品やその他派生作品でも伝説級の人気を博しました。ここではそういった二次創作で生まれた作品の中で、特に話題になったものを厳選してご紹介いたします。
やらないかの派生作品①イラスト
くそみそテクニックはゲイ漫画であり、男性同士の掛け合いが基本の作品となっています。しかし内容がかなり本格的な物になるため、特に男性にはハードルの高い作品となっています。そんな男性向けにも多少ハードルの下がるであろう「くそみそテクニック 百合バージョン」というものが存在します。
動画で紹介しているのは軽快な音楽に合わせて、ツナギを着用した女性が道下まさみと名乗る女性を誘惑する内容です。他にも検索するとくそみそテクニックのパロディで女性同士のイラストも多数存在します。男性同士に抵抗のある方は検索してみてください。
やらないかの派生作品②動画
こちらの動画は「くそみそテクニック」の実写版です。再現度の非常に高いショートムービー形式の動画となっており、原作を知らない方でも内容を知ることの出来る作品となっております。一応全年齢対応の動画ではありますが、男性同士の掛け合いに耐性の無い方は途中で見るのがしんどくなる可能性があります。
やらないかの派生作品③アスキーアート(AA)
くそみそテクニックはAAにも登場しています。そのままコピーして貼り付けることにより使用可能なものや、掲示板などに実際に書き込まれた絵画のようなAAも存在しています。「くそみそテクニック AA」と検索すると見つける事が可能ですので、気になる方はぜひ検索してみてください。
やらないかの派生作品④阿部鬼
こちらの「阿部鬼」とはgingama4氏がPC用に制作した同人ゲームの名称です。「青鬼」という有名なホラータイトルのフリーゲームのパロディ作品となっており、青いツナギを着用したイイ男から逃げ回るといった作品となっています。