主人公鈴愛が秋風の指導に対して岐阜弁で抗議すると「やってられんわ!」と言って河内弁で鈴愛に向ってまくしたてます。「ホンマにおどれは人のDNA刺激するやっちゃのう!」「何を言うとんじゃワレ!」「おどれは何でそないな時だけ人がカチンと来ることポンポン出てくるんかのう!」
その後も「ボケ、クズ、アホンダラ!」と何を言っているのか分からないくらいの勢いでまくしたてられた河内弁ですが、この時のセリフに対して方言指導は付かずにイントネーションは豊川悦司本人に任せていたとのことです。
河内弁がTwitterのトレンドになるほど話題に
秋川羽織を演じた豊川悦司の河内弁がいかに流暢でドラマを観ていた人たちが圧倒されたかがわかります。秋川羽織になりきっていたのは勿論ですが、この場面の豊川は正に水を得た魚だったのではないでしょうか。
Contents
有名な河内弁の歌「河内のオッサンの唄」
河内弁を使って作った「河内のオッサンの唄」は発売当時大ヒットした歌で、川谷拓三主演で映画化もされました。しかしその内容から河内弁に対して「悪いイメージを持たれる」「下品だ」と抗議が来たそうです。
「河内のオッサンの唄」には河内弁の特徴がたくさん
「河内のオッサンの唄」の歌詞は「ワレ」や「やんけ」「オンドレ」「何さらしとんど」「けつかんじゃい」等河内弁のオンパレードとなっています。そして曲の途中と終わりに「ワレ」と「やんけ」を」何度も繰り返しています。
昭和51年に発売し大ヒット!
「河内のオッサンの唄」は歌手のミス花子が昭和51年にリリースして売り上げ80万枚を超えたヒット曲です。同年に東映で川谷拓三主演で映画化もされています。またダウンタウンの浜田雅功がミス花子のファンだったため浜田が司会を務めていた歌番組の第一回目のゲストに彼を招いていました。
作曲者は大阪を中心に活動
ミス花子(本名:鍵谷和利)は大阪を拠点に活動していた男性のシンガーソングライターで奈良県出身です。「河内のオッサンの唄」の他にも昭和56年に発売された「好っきゃねん」もヒット曲として有名です。
古くから伝わる河内音頭
河内音頭というのは河内地方に伝わる盆踊り唄のことで口説き形式と言って歌詞がその場で即興で作られることも多く様々な演目の音頭があります。現在では大阪の祭りの代表的な音頭となっています。
鉄砲光三郎
鉄砲光三郎は古くから伝わる河内音頭を現代風にアレンジした音頭取りの名跡(みょうせき)です。昭和36年に発売されたレコード「鉄砲節河内音頭」はミリオンセラーになりその後東京浅草の舞台にも立ち更に河内音頭を広めました。
河内十人斬り
河内十人斬りというのは明治26年に実際に起こった殺人事件です。金銭や男女関係のトラブルにより10人(実際には11人)が殺害され当時大きなニュースとなりました。それが河内音頭の代表的な題目となり現在まで歌われています。
河内菊水丸
河内菊水丸は八尾市出身で、古くから伝わる伝統的な河内音頭の継承者でありまた音頭取りです。同時に吉本に所属する芸人でもあります。甲状腺乳頭がんを克服し全国の盆踊り大会やイベントに参加して精力的に活動を行っています。
河内弁の良さを伝えるビデオが話題!
八尾市では「YAOビデオコンテスト」という自作のビデオコンテストを行っていたことがあります。市内の街や街の人々の姿をビデオを通して伝えてもらおうという趣旨で市民から募集したそうです。
八尾市のビデオコンテストで河内弁を紹介するビデオが賞に
第一回目のコンテスで最優秀賞の「フレンドシップ大賞」を受賞したのは河内弁の良さを伝えるビデオでした。「怖い」イメージの河内弁ですが、昔から伝えられてきた方言であり地元に住んでいる人々にとっては愛着のある大切な言葉だということには違いありません。
河内弁や河内の文化を守る八尾市
八尾市では前にご紹介したコンテストのように河内弁や河内の文化を守る取り組みをしています。そしてNPO法人「やお文化協会」では八尾の歴史や郷土文化を学ぶと同時に地域社会の振興と触れ合いある地域作りを目標に活動を行っています。
河内弁のビデオ作成者が語る河内の町
第一回目のフレンドシップ大賞受賞者は受賞時に、「街に河内弁を話す人の数が減って来ているので生の河内弁を残しておきたかった」というを話をしていたそうです。そして河内は人情味のある街だという言葉も残しており、河内弁がただきついだけではなく人情味のある方言だということがうかがえます。
河内弁以外の関西弁をご紹介!似ているようで違う方言
これまで河内弁を中心に他の大阪弁についても紹介してきましたが、最後に大阪弁以外の関西弁についてどのような種類があるのか、また大阪弁との違いや特徴をその使用例も含めて紹介してみましょう。
河内弁以外の関西弁①神戸弁
神戸弁は大阪の隣り兵庫県の神戸市周辺で使われている方言です。大阪弁が早口であるのと対照的に神戸弁はおっとりした話し方が特徴的です。大阪弁の語尾が「~ねん」を付けて「何してんねん」と言うところを神戸弁では「~しとぉ」とか「しとん」を付けて「何しとん?」とか「何しとぉ?」と言います。
河内弁以外の関西弁②京言葉
京都は北河内と隣接しているため北河内の言葉と共通する点もあります。ただ京都弁は全体的にのんびりとしたテンポで話します。大阪弁の「何してんねん?」は京都弁だと「何してはる?」となり神戸弁ともまた違った柔らかな印象となります。
河内弁以外の関西弁③奈良弁
奈良県の方言の特徴は大阪弁程強くなくまた京都弁より親しみやすいあっさりとした話し方をするところです。例えば「言ってるでしょう?」というのを大阪弁は「ゆってるやろ!」、奈良弁にすると「ゆうてるやん?」と優しい印象になります。
河内弁以外の関西弁④近江弁
近江弁は滋賀県で使われている方言です。滋賀県は京都や大阪から北国や東国を結ぶ交通の中心部に位置するため京都弁や大阪弁と共通する点が多く滋賀県特有の方言というのはあまり見受けられないようです。
河内弁以外の関西弁⑤紀州弁
紀州弁は和歌山県と三重県の南部で使われており和歌山県内では和歌山弁とも呼ばれています。紀州弁の特徴は「ザ行」「ダ行」「ラ行」の発音の混同が著しいところで、例を挙げると「座布団(ざぶとん)」→「だぶどん」、「全然(ぜんぜん)」→「でんでん」、「体(からだ)」→「かざら」等です。また敬語に当たる言葉が殆どないのも特徴です。
関西弁の中に「いけず」(意地が悪い)という言葉がありますが京都には「いけず石」と呼ばれる石があるそうです。「いけず」という方言との関係やどんな石なのか興味を持った方は是非こちらの記事も読んでみてください。
怖い印象の河内弁も使ってみたら意外と愛着あるかも?
映画や漫画によって怖くて粗暴な印象を持たれてしまった河内弁ですが、その地域で生活している人々にとってはごく普通に使う日常言葉であるのと同時に昔から伝えられてきた文化です。方言を使うことは文化の伝承でもあり使うことによって愛着も湧いてくるでしょう。
中国地方の方言「いんぐりもんぐり」に関する記事はこちら
京都の「いけず石」に関する記事はこちら