アシッドアタックとは
アシッドとは酸の事を指し、アタックは攻撃という意味を持ちます。直訳した名前の酸攻撃の方が私たち日本人にはどういった物なのかが安易に想像しやすいでしょう。強い酸には様々なものを溶かす性質を持っている事が有名ですが、私たちの皮膚へ強い酸が接触してしまった場合は、酷い火傷のように皮膚が爛れ落ちてしまいます。
相手の顔に酸をかけ火傷を負わせる行為
攻撃というよりもドメスティックバイオレンスや犯罪攻撃として行われることが多いのですが、この行為は事故ではなく故意的に他者に向かって強い酸を浴びせて顔や身体を傷つける行為を指します。日本では考えられない事ですが、世界的に見ると未だ行われている事があるのです。
攻撃を受けると皮膚が無残に焼けただれる
強い酸を顔へ浴びるといったいどのようになってしまうのでしょうか。その姿は目を覆いたくなるような姿へと変わってしまうのです。皮膚が溶け落ちて融合し、顔が全体的にのっぺりとした硬い皮膚に覆われ、目や鼻、酷い場合には口までも使用が出来なくなるほど爛れ穴を塞いでしまう事もあります。
アルカリ性の物質も使われる
酸という名前から塩酸や硫酸などの劇薬の酸性物質をイメージしがちですが、アルカリ性の物質の中にも劇毒は存在し、一般的に入手のしやすい劇薬を使用してこの行為が行われています。一般的に手に入るものであるからこそ、この行為が抑制できないという事も問題点です。
アシッドアタック被害の多い国や地域の特徴
日本ではほとんど発生している報告がありませんが、世界的にどういった地域でこの行為は行われているのでしょうか。日本での劇薬のような人体に影響を及ぼす薬品に対し、法律で取り扱いが出来るかどうかが管理されています。つまり犯罪者のように不正なルートで入手し、攻撃する場合でしかこの行為は行われていません。
中東・南インドで横行
この行為が多く報告されているのはバングラディッシュやカンボジア、コロンビアなどの工業が盛んにおこなわれ、国政が落ち着いていないような地域です。特にコロンビアは最も多く発生したという報告がなされていますが、こういった国々の共通点や起こってしまう原因は何でしょうか。
男尊女卑の強い国が多い
こういった国ではレイプ被害も多く、根本として男性の方が優位にあるという意識が国民の中に根強く植えついてしまっている国々です。娘より息子がほしいと父親が娘にこの行為を行ってしまうこともあります。また、男性から結婚の申し出を断ったりといった恋愛関係のもつれや、友情関連のもつれでもこの行為に発展するのです。
酸の入手が簡単な工業地帯
これらの国には大手企業の工場が多く、貧しい国の人々はその工場で働いている方も多くいらっしゃいます。そういった工業地域では作業で使う劇薬が職場に多く存在するため、比較的入手が簡易です。そのせいでこの行為が頻繁に起こってしまっています。
アシッドアタックが行われる主な理由
では、どういった理由でこの行為までに及んでしまうのかをご紹介していきたいと思います。理由に関しては世界各国で見られる男女間の縺れでありますが、国の制度により他者を傷つけないための法律が厳しく整備されているため、未然に発生が抑えられています。
また、アシッドアタックは差別とも関係があります。弱い立場の人間を貶める行為として、簡易に手に入る酸を浴びせ、侮辱行為として使用される場合があるので。世界的に差別がまだ根絶されておらず、韓国では白丁という差別が行われていました。白丁に関してはこちらをご覧ください。
理由①性交を断った
同意のうえで行われる性交渉ですが、もちろん女性側が男性の申し出を断る場合があります。同意なく行われるレイプという行為以外でも、前述した国では女性の地位が低いために、断る行為は男性を侮辱する行為とし、それだけで攻撃対象となってしまうのです。
理由②プロポーズを断わった
性交渉の拒否と同じですが、こういった国々では女性に選ぶ権利は未だ確立されていません。そのため結婚相手も男性に気に入られた女性は受け入れなければならないという暗黙の了解のようなものが存在します。それは断ってしまうと男性から攻撃を受けてしまうという被害からではないでしょうか。
理由③財産分与でもめた
こちらの被害に関しては男女関係なく、人間の因縁が絡んだ理由の中で妬みや恨みにより攻撃してしまう場合です。お金が資本の世の中において、この理由で揉める事は世界共通であり、この理由で殺人事件が起きてしまうことも多々あります。しかし殺さずとも残酷な報復としてこういった傷つける行為が使用されているのです。
理由④離婚しようとした
仲睦まじい夫婦間でも突然パートナーから別れを切り出されてしまう場合があります。元々仲が悪かった夫婦であれば、ここまで相手を傷つけるほどの恨みは既に薄れてしまっているかもしれませんが、一方が納得のしていない離婚は相手を傷つけてしまう理由へと変化してしまうのです。
理由⑤嫉妬した妻からの復習
男性が女性に使用する場合が多いのですが、女性でも劇薬は入手が可能であるため、復讐手段として女性が使用する場合もあります。特に恋愛関係のもつれから嫉妬した相手の女性に対して行うこともあるのですが、外に出られないような容姿に変えてしまうこの攻撃はとても残虐な復讐方法ではないでしょうか。
理由⑥反抗したから
今までの内容を総括していえることは、女性が男性に反抗した場合が最も多い理由となります。これは男性が優位にあるという認知から女性からのNOは屈辱的な行為であり、侮辱されたと恨まれてしまう可能性のある行為なのです。
アシッドアタックの被害にあった女性とその理由
被害にあった女性の中には、その無慈悲な行為を世間に訴えるために自身の酷い姿を後ろ指さされる覚悟でメディアへ露出し、同じ被害者が現れないようにと活動している方もいらっしゃいます。こちらでは実際被害にあった女性の方々をご紹介させていただきたいと思います。
アシッドアタック事例①インド
当時15歳だった女性が兄の同級生であった32歳の男性から求婚され、断ると報復として顔に酸をかけられました。17歳も年上の知人程度の男性から求婚されると誰でも戸惑い断るのは当たり前ではないでしょうか。彼女は腕で咄嗟に顔を庇ったことから失明は免れましたが顔が爛れていくのが自身で分かったといいます。
アシッドアタック事例②カンボジア
カンボジアで有名となった女性は、被害前にカラオケビデオで有名な女優であった、タット・マリナさんです。夜になると曲に合わせて女優さんが踊る映像がカラオケにて放映されており、そのカラオケビデオ女優として美しい容姿を持った彼女は有名な人物でした。
そんな彼女を気に入った高い地位の男性は彼女を愛人として招き入れました。その後、突如カラオケビデオの営業中に乗り込んできた男たちに暴行を受けた後、彼女へ1人の男が強酸を浴びせたのです。その事件は高官の妻の恨みによるものとされていますが、真相は不明のままです。そして彼女の美しい顔は世に出れない風貌へと変化してしまいました。
アシッドアタック事例③パキスタン
パキスタンの女性の被害例は結婚していた夫から行われた被害でした。彼女の夫は全く家庭へとお金を入れなかったために、彼女は離婚を申し出たのですが、逆上した夫に強酸をかけられてしまいました。そして彼女の左顔面は爛れ落ち、耳の内部機関も露になるという姿へ変わってしまいました。
アシッドアタック事例④コロンビア
コロンビアで起きた事件ではまったく理由がわからず実行犯すら特定されていない事件も多々存在します。ファッション業界で成功した1人の女性はアパートへ訪ねてきた男性からいきなり強酸をかけられてしまいました。彼女曰く痛みよりも失明した事のパニックが強く、急いで病院へ駆け込んだといいます。
しかし、彼女が駆け込んだ病院では強酸による火傷の処置がわからず、45分間シャワーで酸を洗い落とし、痛み止めとワセリンの処方後に別の専門病院へと搬送されました。回復の分け目は最初の1~2時間の処置ですが、彼女が専門病院へ駆け込めていた場合は今以上の回復が見込めたかもしれません。
アシッドアタック事例⑤バングラディシュ
18年連れ添った夫と離婚した後に夫から強い酸を投げつけられ、顔全面的に皮膚が爛れて失明までしてしまった女性がいらっしゃいます。夫は1年投獄され、その際に2人の息子に説得された彼女はこのひどい仕打ちを行った夫の元に戻ったとされています。
アシッドアタック事例⑥ネパール
ネパールに住む女性は軍人であった夫に強酸をかけられました。しかし理由もわからず、どうして軍として国に尽くす男性が国民であり、一番に守るべき存在であるパートナーを傷つけてしまったのでしょうか。また仕事に関係なくこういった薬品が手に入ることがわかります。
アシッドアタックは男性が女性に対して犯行を咎める行為として使用される傾向にありますが、これはレイプでも同じことです。おっとい嫁じょというレイプし結婚する誘拐婚が存在します。おっとい嫁じょに関しては詳しくこちらの記事でご紹介しています。
アシッドアタックがイギリスで急増している
近年ではアジア圏外でもこの行為が増加しているとしてニュースの話題となっています。そして急増しているイギリスは政府耐性も比較的しっかりしており、男尊女卑の精神が強い国ではありません。そんな国で一体なぜこのような現象が起きてしまっているのでしょうか。
アシッドアタック急増!3年で2倍超に
比較的安い薬品で簡単に手に入るもので、一生ものの傷を与え精神的苦痛を与えれるため、報復として使用されがちの手法です。イギリスでは2014年から急増を始め、3年で2倍を超えるほどまで発生件数が報告されています。
ギャングによるアシッドアタック
女性への暴力として使用されていたアジア圏とは違い、イギリスにはギャングと呼ばれる集団が存在します。近年では銃刀の規制が厳しくなってきたため、こういった手に入りやすい攻撃方法は紛争の中でも相手の目を失す目的などで使用されているのです。