恩寵園事件以外でも施設内虐待は行われていた
恩寵園事件と同時期もしくは事件後となる近年、あれだけ大々的に施設内虐待に対して批判があったにも関わらず、未だにそれらを教訓とせず、指導がエスカレートし、事件に発展した事案がありますので以下にまとめました。
埼玉児童性的虐待事件
この事件は2006年に被害にあった少年の証言により発覚した虐待行為で、当時10代の少年を女性保育士が自宅に呼び出すなどをして性行為に及んだといいます。さらにこの関係を拒むと別の女性職員に蹴られたり髪をつかまれたりしました。
この同時期に男性指導員が少女を自宅に連れて行き、性行為を強要しました。この行為があった一年後に更に手錠や玩具などを使用することを強要され逃げ出し、宿直補助の女性職員に相談したことで事件が発覚しました。
保育所内虐待「宇都宮トイズ」
2014年、宇都宮市の保育施設で乳児の死亡事故から日常的な虐待が発覚した事件です。こちらはテレビでも連日報道された事件で、乳児が毛布にくるまれ、きつく紐で結ばれ身動きが取れない状態になっていました。これにより熱中症による脱水症状で乳児が死亡しました。
ですが施設はあたかも看護師や医師が常駐しているかのように装い、「対応は適切だった」と証言していたが、恩寵園のように家族経営であり虐待の事実を隠ぺいしていました。実際に施設長と息子と娘の三人が逮捕されました。
川崎市老人ホーム連続殺人事件
川崎市の有料老人ホームで起きた入居者3人が相次いで転落死した事件から、親会社のその後の調査で2013年以降、職員による入居者への虐待が延べ81件あったことが発覚した事件です。川崎市の施設では、転落死のほか窃盗も発覚しました。
これにより救命救急士の資格を持つ職員が逮捕されました。きっかけは、事故死とされた3件の転落死後、窃盗が相次いだことでこの職員が疑われ、のちに窃盗容疑で逮捕され、加害者しかわからない殺害をほのめかす供述があったことから事件の全貌が明らかになりました。
ふるさとホーム白浜の虐待事件
2012年に千葉県の精神障害者施設「ふるさとホーム白浜」で入所者が理事長から虐待を受けていると通報があったことから発覚した事件で、「出ていけ」や「生活保護を打ち切る」などの暴言のほか、日常的に殴る蹴るの虐待があったことが認められました。
その他にも、床に頭を何度も打ち付けさせたり、入所者同士で喧嘩をさせたり、節約を理由に水風呂に入れ、根拠の不明な借用書を書かせ、金銭を徴収していたりいましたが、その後、理事長は虐待容疑で逮捕された。いずれも容疑を否認しています。
福島白河育成園事件
1997年に職員による内部告発で発覚した施設内虐待事件で、知的障害のある入所者に対して暴力をふるっていたほか、手のかかる入所者は薬漬けにして眠らせていたり性的虐待も行っていたことがわかりました。
ですがこれだけではなく、入所者の所持金を横領したり、保護者に対して多額の寄付金強要も行ってました。暴力に関しては有効性と正当性を施設の指導方針としていたこともわかり、いかに悪質だったかが伺えます。のちに施設は閉園し、理事長をはじめとする3人が書類送検されました。
福岡「育児院」施設内虐待
こちらの施設では、1994年ごろに日常的に頭をバットで殴ったり、蹴ったりする上にプラスチック製のごみ箱のふたで女子中学生の顔面を殴りつけ怪我を負わせたり、男児の腕に煙草を押し付けたりし、改善を誓ってました。
ですが2007年に再び日常的な虐待があったことが取材により発覚しました。ですが体罰は行ってないと否認しましたが、実際は投げ飛ばしたり、殴ったり、空き缶を頭に投げつけたり言葉で追い詰めたりしていたことが明るみになりました。
施設内の虐待は今もなお行われている
上記の死亡事件も含む施設内虐待事件は、あれだけ異常で残酷な恩寵園事件が世間に明らかになっていても、全く関係なく、何も学習されることなく子供も大人も関係なく今も人知れず虐待が行われています。
そこには殴る蹴るは当たり前といった常識とはかけ離れた「暴力的で支配的な日常」がありながらも、そこから脱出できない現状があり、またそれを隠ぺいすることで世間の目にさらされないという現実が虐待を繰りかえす要因にもなっているのがわかります。その他の虐待事件は以下からご覧ください。