一柳展也の生い立ちと現在は?金属バット両親殺害事件の真相とその後に迫る

全てに疲れ切ってしまったかの如く、犯行に及ぶ前ウイスキーを一気飲みします。その後学校で野球チームに入ってキャッチャーをしていたこともあり、それが関係してか金属バットを手にするのです。両親が就寝中、金属バットを手にしていたまま振りかざし、犯行に及んでしまいます。それは撲殺という恐ろしい犯行でした。数回にもわたる行為から、命を落としてしまった両親でした。

父親や母親の姿は後に警察官が驚くほどおぞましい光景だったそうです。両親とも金属バットで数回も殴られていることから、父親は頭蓋骨が割れ、母親については脳内飛び出ているほどだったとされています。更に血痕は、天井にまで達する凄惨な場と化していたのだというのです。その後の行動も、尋常ではなくすぐには通報しなかったのですが、それだけではありません。

事件の概要②強盗が犯人であるように偽装し第一発見者として通報

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犯人ではあるのですがその後、異常な行動に出ます。血に染まった金属バットはお風呂場で洗い、当然のように血痕が多く付着している服ですが、それを躊躇なく衣服も着替え、家中を荒らします。いかにも強盗が入り犯行に及んだかのように偽装したのです。そしてあたかも第一発見者として、近所に殺害されたことを告げ急いで駆け込みました。

朝方には被害者の家族のように、警察に通報します。その場にいることもままならない状況にも関わらず、偽装工作をするなど異常な行動だったことは明らかでしょう。犯行を誤魔化すために偽装工作をするのですが、そのままで犯行が成り立つことなどありません。

事件の概要③親族からの通報で一柳展也は逮捕

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翌朝通報した後ですが、一柳展也について不思議に感じたのは親族でした。親族に追求されるとあっけなく犯行を認めます。そして親族からの通報によって逮捕され、その後は犯行の経緯を淡々と語ったとされています。現場検証をする際も、金属バットを探している警察官に、手袋について聞くほどの余裕があったのです。

警察で殺害の再現をする時には、ダミー人形の頭の部分を戸惑うことなく叩いて見せるほどだったと言います。精神的に追い詰められている、もしくはどこかで既に精神は崩壊していたのかもしれません。心神喪失状態だったことが伺えるのではないでしょうか。

一柳展也の金属バット両親殺害事件の動機

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動機を辿ってみると、理由が一つだけにあったとは考えにくいかもしれません。金属バットで数回も殴り、天井まで血が飛ぶほどの殺意が生まれたのは、様々な要因が含まれていたのではないでしょうか。受験のストレスが加わったこともありますが、積み重なったものが爆発してしまった結果の末に、犯行に至ったことも確かでしょう。

環境や態度、言葉は大きく関係して、時に心を乱してしまうことはあり得ます。常に一流でなければならない、その感情も大きく左右していたことでしょう。徐々に高ぶった思いに、最終的に決定打がなされたことも言えるのではないでしょうか。

一柳展也の動機①エリート一家で育ち父は厳しかった

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まず一つに、一流と言われる一家に育ったことで、父親はかなり厳しく育てたことで、自分を追い込んでしまったことが言えるのではないでしょうか。兄には及ばない、エリート家庭にふさわしくないのではないかと自分を責めたこともあったでしょう。「なぜできない」と言われる度に、自らを追い詰めていったのではないでしょうか。

コンプレックスを抱いてしまうほど、比べられてしまうことに対してなお一層の厳しさを感じていたのかもしれません。「できる人間」と学歴重視の家庭では考え、少しのことでも「できない理由が分からない」と捉える環境は辛いものを感じられます。必要以上に厳しかった父親の元、どうすれば納得を得られるか、小さい頃からの愛情と感じない思いがあったかもしれません。

一柳展也の動機②浪人中であることを責められていた

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また、後に分かることですが「育て方が悪い」「血筋のせい」と、パワーハラスメントとも捉えられる内容を母親には伝え攻めていた父親です。決して「非を認めない」のが「学歴が良い」ということを態度に表していたのでしょう。浪人中であることで「大学に行かず酒をくらい、ドロボーを養うくらいなら明日にも出て行け」と言い放ったという父親の言葉もあります。もうこの家にはいられない、と感じた父親に対して果たして「父親」の愛情を見たでしょうか。

本心ではない一言であったかもしれない言葉でも、常に繰り広げられる態度と言葉、単に怒られていると捉えること不安もあったでしょう。自分はダメなんだと感じてしまい「明日にも出て行け」という言葉は、父親の本心と捉えてもおかしくありません。

一柳展也の動機③母親の一言が最終的な引き金に

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父親が厳しかった反面、それまでは全てをかばい続けた母親がいたのです。両親を殺害する前夜には、そんな母親も父親の「出て行け」との言葉に対して、追い詰めていた姿から既に疲れ切っていたのでしょう。決して母親であれば口にしては行けない言葉を発してしまいます。喧嘩には違いないのですが、全てを抱え込んで最後の唯一の支えだった母親でさえ遂に発してしまうのです。

最終的な引き金になってしまった言葉ですが、我慢をし、プレッシャーを背負っていた一柳展也はもろ刃のごとく崩れてしまう一言でした。唯一の味方だった母親でしたが、遂に発したのです。「あなたはダメな子」という言葉を。母親が発してしまった言葉は一言でも、重みのある、何かが途切れた一言だったことは間違いありません。

一柳展也の事件後の行動と判決

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どんな状況にあったとしても、奪われた2人の命があることは確かです。そこから逃れることは決してできないのが現実と言えます。金属バットで両親を撲殺する、そのような見るに耐えない事件後の法廷の様子はどうだったのでしょうか。1984年(昭和59年)1月には論告求刑が行われ、今まで綴ってきた日記が読み上げられました。

「自分のやったことだが、この苦しみは永遠に続くだろう」「戦前戦後の苦しい時期を生き抜いて、やっとマイホームを手に入れたが、子供に殺されてしまうのは悲惨すぎる」と言い、更に「自分はどうしようもない人間」と語られています。まさに本心そのものの言葉だったに違いありません。

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