東住吉事件とは?性的虐待の真相は?再審で無罪判決!疑惑の事件の闇に迫る

東住吉事件再審の概要

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青木惠子と朴龍晧は、無罪・潔白であると主張してきました。しかし2006年11月07日、最高裁にて青木惠子と朴龍晧の無期懲役の有罪判決が確定してしまうのでした。

朴龍晧は証拠となった自白による証拠書類には虚偽りがあり、警察によって捏造されたものであるとして、2009年07月に審議の再審査を請求します。青木惠子も同様に訴えかけ、同年08月に審議の再審査を請求するのでした。

東住吉事件の有罪判決の最大の決め手となっていた自白によって作成された証拠書類ですが、警察による問題行為が浮き彫りになり、それらは作成される経緯で虚偽りがあり、捏造されたものであると認められ再審が行われることになります。

東住吉事件①朴龍晧と青木恵子は再審請求へ

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朴龍晧が2009年07月に事件の見直しを訴え再審の開始を請求し、それに続き同年08月に青木惠子も異議を申したて、事件の見直しを訴え再審の開始を請求しました。

東住吉事件の裁判の審判がくだる際、朴龍晧の自白によって作られたとする証拠書類が無期懲役という有罪判決がくだされる最大の根拠となっていました。その犯行の内容は『住宅の車庫内(事件当時シャッターを閉めきった密閉空間状態)で、停めていた自動車のガソリンタンクから手動式のポンプを使い約7リットルのガソリンを吸い出し車庫内のコンクリート床面に撒布し、ライターで火を放ち火災を発生させます。

それから一度は部屋に戻り青木惠子と会話をした後、火災に初めて気付き車庫内を通り外に出た。』というものでした。この時、外に避難した朴龍晧はパンツだけをはいただけの格好だったのにもかかわらず、髪が少し焦げる程度で大きな火傷はしていませんでした。

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弁護団は、2人の自白を参考にして火災発生の現場となった車庫を忠実に再現し、独自に実験を行います。すると結果は、自白していた犯行の約7リットルものガソリンをすべて撒布し終える前に、風呂釜(据え風呂などの焚口の部分)の種火が気化したガソリンに引火し瞬く間に激しく燃え上がり、現場全体が炎に包まれ火の海となりました。朴龍晧が大きな火傷を負うこともなく避難できていることを考えると、自白の内容通りに犯行を実行できた可能性は低いとしました。

これらのことから、大阪地裁は青木惠子と朴龍晧の自白によって作られた証拠書類には、事実とは異なり不自然な点が多くみられるとして、再審請求を認めるのでした。よって、2012年03月07日に再審の開始が決定しました。

東住吉事件②刑の執行停止で2人は釈放へ

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大阪地裁の再審開始の決定に対し検察側は、弁護団による現場を再現した実験に対抗して独自の実験を行うのでした。床の傾斜などの条件を変えたりと現場実験を行うが、結果はいずれも自白の犯行通りにガソリンを散布し終える前に、激しい燃焼が起こってしまいます。対抗して行ったはずの実験が結果的には弁護団の現場実験を補強する形となるのでした。

これらの現場実験の結果からみても東住吉事件での朴龍晧の自白はあまりにも不自然・不合理で信用性に欠けるという判断となりました。この再審開始の決定に伴い、2012年03月12日に大阪地検は大阪高裁に即時抗告します。同年03月29日に大阪地裁は職権で刑の執行停止を認めるのだが、検察側は大阪高裁に抗告します。

大阪高裁は執行を停止しなければ、正義に反するというような状況ではない。として執行停止を取り消します。弁護側は最高裁に対して特別抗告するのですが、同年09月18日に最高裁は特別抗告を棄却し、執行停止を取り消した大阪高裁の決定が確定します。この時点では2人は釈放されませんでした。

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しかし、新たな弁護団側の鑑定結果により東住吉事件の火災は車庫に止めていた車の給油口からガソリンが漏れ気化したものが風呂釜の種火より引火し火災となったというもので、自然発火であった可能性があることも分かりました。

大阪高裁はを大阪地裁の再審の開始決定を支持して2015年10月23日に検察側の即時抗告を棄却しました。また、拘束が20年という長きに及ぶことを鑑みると、刑の執行を今後も続けるということは正義に反する。として同年10月26日午後02時で青木惠子と朴龍晧の刑の執行を停止すると決めます。

しかし検察側は刑の執行を停止する決定に対し、大阪高裁に異議の申し立てを行います。大阪高裁はこの申し立てを棄却し同年10月26日に東住吉事件で容疑者となった2人は20年ぶりに釈放されました。

東住吉事件③判決は一転し無罪確定へ

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朴龍晧の再審公判は2016年04月28日に行われました。そこでは検察側は有罪主張はせず『裁判官において、然るべく判断していただきたい。』とし、公判は即日結審します。続く青木惠子の再審公判は同年05月02日に行われ、そこでも検察側は同様の対応をし即日結審しました。

2016年08月10日、この日に東住吉事件によって殺人の罪などで無期懲役の有罪判決が確定していた青木恵子と朴龍晧に対し無罪判決を言い渡されるのです。検察側が控訴しないことを申し立てる上訴権を即日放棄したことで、ようやく2人の無罪が確定します。再審の判決では、有罪判決の決め手になっていた朴龍晧と青木恵子の自白による証拠書類が作成される経緯を詳細に検討し、その任意性が判断されました。

これで東住吉事件は無罪が確定し冤罪事件でした。と言いたいところですが、ここから東住吉事件の真相を考察していきます。

世界中で起きたさまざまな未解決のまま解決されずに残っている未解決な事件も興味ある方はぜひご覧ください。

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