DNA鑑定もこの当時は科学捜査班による目視による確認であったと言われており人間の目による一致不一致の判断をしていた為ゲイリー・リッジウェイのDNA型は犯人のものとは不一致となりました。
殺人を犯すために息子を利用することもあった
立て続けに狙わているのが売春婦が多いと、売春婦の間でも噂が広まり始め1人で行動する売春婦は減っていたと言われています。そんな中でも1人で行動する売春婦にゲイリー・リッジウェイは声を掛けますが、女性も警戒心を持つため女性側は身分証の提示を求めていたそうです。
ケースに入っている免許証を出す際ゲイリー・リッジウェイは息子の写真を見せるように出したりして家族を大切にしている印象を持たせ相手の警戒心を解いたりするなどして工夫をしていましたが、息子の存在を利用して女性と性交渉をしたり殺害したりしていました。
息子を愛する優しい父親・家族を大切にしている事をアピールしているところが計画的な行動であることが伺えますが、売春婦たちは息子を愛する優しい父親と考えていればそんな男が売春婦と遊ぶかという考えを持つことも必要だったでしょう。
息子を溺愛する一方で、売春婦に声をかけたり殺害する目的として息子を可愛がる優しい父親をアピールし残忍な犯行を繰り返すという2つの顔を持ち合わせていたわけですが、どちらかが演技という訳ではなく優しい父親・家族思い、殺人犯どちらも本当の姿だったのでしょう。
日常生活は通常の人間と変わりのない何気ない生活を送り隣にいるものが凶悪な人を殺しているとは思えないというような行動を取るのがシリアルキラーの1つの特徴でもあります。
Contents
グリーンリバー事件を起こしたゲイリー・リッジウェイの異常な心理
では、猟奇的な殺人事件を犯したきっかけはどこにあったのでしょうか。ゲイリー・リッジウェイの心に見え隠れ残っている厳しい母親とへの感情や闇、女性に求めていた愛情について見ていきます。
女性への母性を求める気持ちがあった?
母親は失読症があり、内気で内向的なゲイリー・リッジウェイに対して過保護だったという説がありますが、その逆で厳しく威圧的だったという説もあります。勉強も得意ではなかったのでいつも叱っている母が怖く逆らえなかったため、委縮していたとも言われています。
母親に厳しい口調で罵られても言い返すこともできず、ただ母親に言われた通り家の手伝いをしたり弟の面倒を見ていたりしていたそうです。このように優しい母親とは程遠い自分の母親に対して怒りと憎しみもあり出会う女性に母親の愛情のようなものを求めてたとされます。
ゲイリー・リッジウェイは失読症の症状もあったと言われています。そして平均的なIQの値が100~120程と言われているのに対し、知能が80ほどしかなかったと言われており勉強などいろいろな事が苦手でした。
勉強が苦手だったり、言いたいことをはっきり言えない内気なゲイリー・リッジウェイに対し母親は厳しく叱りつけており親戚は母親の強すぎる性格によく苦言を呈し喧嘩になったこともあったそうです。
生い立ちを見ていく限りでは、母親が少し厳しい感じであったこと以外に関して虐待を受けていた様子もないため、彼の生い立ちに大きな問題があるようには感じられません。
しかし、厳しく威圧的な母の教育が、母親からの愛情を感じることができず女性に対して優しい母親の母性を求める気持ちがあったのではと言われています。
そして犯罪に関して売春婦や家出人を主なターゲットにしたのは、自分の体をお金に変えるような人間や、居場所がない人間は簡単についてくるし自分はそういう人間が嫌いだと語っていたこともあったそうで売春婦に対する憎悪もあったとされます。
女性に拒絶されて殺人に至ったゲイリー・リッジウェイ
一番最初に犠牲になってしまった女性は、まだ未成年の売春をしていた女性です。ゲイリー・リッジウェイと女性は楽しい時間を過ごし彼の家に共にやってきた売春婦ですがお金で買った関係であるため時間になると売春婦は帰宅の為終わりを告げます。
帰り支度をする少女にゲイリー・リッジウェイは自分を受け入れてくれるかもと考え勇気を出し「まだ一緒にいたい」と話し女ますが、少女は拒否をして家を出ようとしますがこの時「見下された」「自分は女よりも下」という感情がゲイリー・リッジウェイの中に沸き上がり女性の首を絞めて殺害してしまいます。
売春婦の女性はまだ16歳と若く、見下されたと感じたことから彼は凶悪な殺人鬼へと変貌を遂げることになりますが、狙うのは女性自身が後ろめたい行動をしている人物ばかりでした。
家出をしていれば行方不明になってもさほど大きな問題とならず、また売春婦に関しては万が一殺害に失敗しても女性が自分の行動を恥じて警察に届け出ないだろうという考えがあったのではとされています。
実際に、彼から間一髪逃げられた女性がいましたが彼女は売春をしていたことに後ろめたさがあり警察への通報はしていなかったと言われています。IQが低い方でしたがこのような観点では洞察力が優れていたのでしょう。
女性は自分を見下していると感じてしまったことから、いつも怒ってばかりの厳しい母を持ち女性に対して言いたいことを言えない環境だった生い立ちが走馬灯のようによみがえり、女性から拒絶されたというたったこれだけの理由で罪を犯してしまったことは、彼の生い立ちが少し影響しているのでしょう。
ゲイリー・リッジウェイ逮捕までの道のり!テッド・バンディが捜査協力
この事件はFBI等が捜査に乗り出しても約18年間犯人のゲイリー・リッジウェイを突き止めることが出来なかった事件になります。では、最初の事件から18年後になって逮捕されることになった道のりや、捜査に協力した人物について見ていきます。
グリーンリバー事件の特別捜査班が組まれるもなかなか捕まらず
この連続殺人事件に関しては、次々と遺体が見つかったことにより大がかりな組織が設置されることになり1500万ドルを超えたと言われた捜査費用ですが、犯人はなかなか捕まえることが出来ませんでした。
連続殺人犯テッド・バンディが捜査協力することに
同じように何人もの女性を殺めてきた男性が助け舟として名乗りを上げました。同じ思考をしている者として行動や性格が推測できるとして、殺人犯に殺人犯の人物像を創り出してもらうと言う事態になりました。
この男は、連続殺人犯として死刑判決を受けた死刑囚の身のため、スターク刑務所というところに収監されていました。そのため手紙等でやり取りをして警察は情報集をしました。捜査協力したテッドに関する記事についてはこちらをご覧ください。
テッドは、弁護士でもあり自分の裁判の際には弁護人を付けずに自分で自分を弁護するという異例の行動をとりました。そのため、犯罪者の気持ちや行動が理解できると考えたのでしょう。警察もまた捜査が進展していなかったのでテッドの話を捜査の1つとして耳を傾けることにします。
連続殺人犯のアドバイスによるアドバイスとは
犯人の性格やパターンなどの人物像を読み取っていました。「優しく穏やかで用心深い男」「遺体の様子を確認しに現場を見に来る」「事件現場を張り込んでいれば犯人がやってくる」「殺害されかけたが間一髪で逃げれたものがいるはず」と詳しく説明しています。
警察の中には彼が作り出した人物像等当てにならない等の理由から、信用していない者が多く捜査の手法として採用されることはなかったのですが、テッドが見極め実際に推理したゲイリー・リッジウェイの性格などはほぼ一致している状況でした。
テッド・バンディのプロファイリング通り、ゲイリー・リッジウェイは自分の行いを芸術だと思い込んでいる一面があるとされており、自分が殺害した女性たちは芸術の一部だと考えていました。そのため遺体の状況や見つかっていないかなど不安に思っていたそうです。
当然のことながら、殺人は芸術などではありませんし芸術だと考える思考回路自体が通常の人間の思考回路とかけ離れているところではありますが、自分の欲望のためには人の命は軽いと言う考えがあったのでしょう。
そして、推察通り時折遺体の状態を確認しに現場に足を運んでいました。全てではないにしろ、ゲイリー・リッジウェイに対して読み取った行動パータンを採用し事件現場で張り込みをしていたら逮捕までに長い年月がかかることはなかったでしょう。
彼の意見が採用されなかった理由として、何故か自分の事件の資料を見たがったことやプロファイリングも信用性に欠けるとされ自分の死刑執行を遅らせるためだったのではと推測されています。
捜査は進まず迷宮入り事件に?10年間捜査が休止される
捜査は一向に進展の兆しを見せず迷宮入りするのでは?とも言われ始めました。捜査の規模は徐々に縮小されることになり1991年にいったん捜査は打ち切られることになりその後10年間捜査が再開されることはありませんでした。
最初の事件から20年後!新技術を用いて捜査が再開
ゲイリー・リッジウェイは一度容疑者になっているので、警察には彼のデータサンプルが残っていました。2001年最新の技術を使用しての捜査が再開されることになりゲイリー・リッジウェイの逮捕への道筋が出来上がりました。
グリーンリバー事件の犯人ゲイリー・リッジウェイに下された判決
1度は容疑者になりながらも、長年の間逃げ切り普通の生活を続けており犯行を行っている間にまたも結婚をしていましたが、最新の技術が用いられたことによりついに逮捕されることになりました。
では、彼が裁判で下された結果とは?彼が犯人と確定された証拠と彼に下された判決について紹介します。
グリーンリバー事件の犯人逮捕の決定打となったのはDNA判定
10年間休止状態だった捜査は2001年に再開し最新の技術を駆使して犯人逮捕へと向かいました。以前採取されていた犯人のものと思われる毛髪が以前容疑者となったときに提供されていた彼のDNAと一致したため逮捕となりました。
以前の技術では正確性に欠けるところがあり、ゲイリー・リッジウェイのDNAとは不一致で噓発見器なども実施したところ反応がなくシロとされていましたが、技術の進歩を遂げたことからDNA型の一致が確実となりゲイリー・リッジウェイは逮捕さることになりました。
下された判決は「仮釈放なし・490年の禁固刑」
実際には100人近い女性を殺害したと言われているゲイリー・リッジウェイですが、彼が実際に裁判で裁かれたのは49人に対する殺人に関しての罪になります。
未だ発見遺棄されたままの女性たちの遺体捜索に協力することを条件としてゲイリー・リッジウェイには死刑の求刑は辞めるという司法取引が成立しています。
司法取引の結果、ゲイリー・リッジウェイに下された判決は1人あたり10年の実刑となりましたので、48人で480年となり、後に1人見つかったことにより合計490年で仮釈放はなしで、終身刑となりその身が終わるまで監獄の中で過ごすことになりました。
日本には司法取引という制度はありませんがアメリカなどは犯罪者は他の未解決の犯人や警察が把握していない事を知り得ている傾向があります。犯罪を犯す者同士、情報が入りやすいのでしょう。
しかし、犯人も何の見返りもなく情報を提供してくれるわけではありません。そこで、取引により自分の罪の減刑等相手にとっても多少の有利となるような条件を持ち出すようになっています。
日々多くの事件が発生している欧米では、解決に時間を要している事件も多々あります。そのため、情報を引き出す代わりに自分の犯した罪を軽減させることを条件とした司法取引が認められています。
遺族からしてみれば、自分の家族を殺害しておいて刑が減刑されてしまうことは許しがたいと感じる人もいるでしょうが、他の犯罪で犯人が見つからず野放しになっている事を考えたときに、被害者の遺族の心情として事件解決の糸口のためには仕方ないという意見もあります。
ゲイリー・リッジウェイの現在
では、稀に見る猟奇的な連続殺人を犯し長い間逃げ続けたゲイリー・リッジウェイは現在どうしているのでしょうか。490年という禁固刑は生涯外の世界に出ることはかないません。彼の現在の様子などについて紹介していきます。
ゲイリー・リッジウェイはワシントン州刑務所にて服役中
現在(2019年7月)70歳になっていますが、490年という禁固刑がが下された為、彼は今もワシントン州にある刑務所にて服役中になっています。
司法取引により、死刑を免れていますので今後ゲイリー・リッジウェイが殺害したとされる遺体が発見されたとしても懲役刑が10年加算されるのみとなります。
司法取引と1つとなった発見されていない被害者の捜査の協力を現在もしているのかは判明していませんが、ゲイリー・リッジウェイが自分の罪を改め犠牲となった多くの女性の無念がはらされ被害者が発見され家族の元に帰ることができることを願いたいです。
グリーンリバー事件が元となった映画
このグリーンリバー事件が元になった映画が2つあります。長い間犯人が捕まらずまた特質的な犯行の手段であったことから、社会の関心も高く風化させてはいけない事件として映画化されています。
『グリーン・リバー キラー』
- 監督:ウーリー・ロメル
- キャスト:ジョージ・キセレフ, シャノン・リード, ジャクリーン・ホーエル他
- 概要:81年の事件発生から2001年に逮捕されるまでの間に多くの女性を殺害し、全米を震撼させたシリアルキラー、ゲイリー・リッジウェイの凶行を描いたサスペンスホラー映画です。司法取引により死刑を免れ終身刑となり現在も刑務所に収監の身であるゲイリー・リッジウェイの人生を紐解いていく作品になります。
『インタビュー・ウィズ・シリアルキラー』
- 監督:ビル・イーグルス
- キャスト:ケイリー・エルウィズ、ブルース・グリーンウッド、サム・ジェイガー、キャスリーン・クインラン 他
- 概要:実在する連続殺人鬼テッド・バンディが解決が難航している犯罪について協力を申し出る手紙を自分を逮捕した犯罪学者の元に送ることから始まる映画です。リバーマンについて主人公の捜査官と殺人犯の心理がわかると語るテッド・バンディが意見を繰り広げる心理戦に焦点を置いた内容の作品になります。作品中では犯人に対する呼称はリバーマンになっています。
グリーンリバー事件のような連続殺人は世界中で起きている
日本では、あまり馴染みのない事件にはなりますが、ゲイリー・リッジウェイが犯してしまったグリーンリバー事件のような犯罪は世界的にみると数多く発生しています。
現在は科学捜査の進歩により殆どの確立で犯人の逮捕が可能ですが、未だ解明されていない事件も多く犯罪の犠牲となった人や遺族の事を考えると自分の欲望や自分勝手な思い込みから人の命を奪うことは決して許されない悪質な犯罪になります。
彼の生い立ちや母親の感情など家族の状況を見れば少なからず、ゲイリー・リッジウェイの生い立ちなどが影響している可能性もありますが生い立ちなどが原因となることは殺人の理由のごく一部でしかありません。
ゲイリー・リッジウェイも自分の犯した罪をこれから先その身が終わりを告げるまで過ごす監獄の中で悔い改め少しでも反省をし今後罪のない人たちの命が無残にも奪われることが無いことを祈ります。