リジー・ボーデンとは?生い立ちや事件の真相とマザーグースの歌詞も紹介

ところが頭部を叩き割るほどの犯行に使用したのであれば、当然付着している筈の血痕は無く、さらに事件の後に検視の専門家は、犯行後の刹那に手斧の血痕を拭き取る時間は無いと判断します。事件の捜査の中で警察は返り血を浴びたはずの服または凶器の手斧に付いた血を拭き取ったはずの布を全く発見できません。

リジーは疑われたが裁判で無罪になった

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全米が注目する中裁判では最高裁の判事を勤めたムーディ検事が検察側に選ばれ、州の司法長官を勤めた経験を持つロビンソン弁護士はリジー・ボーデンの弁護人に、当時考えうる限り最高の人選での裁判が行われました。検察側は相続に纏わる確執や、アビーとの確執、リジーが服を処分した事実に対して犯行を動機付けます。

検察側の主張に対しロビンソン弁護士は、動機について相続のいざこざは金銭で決着した事。ドレスの処分については、わざわざ警護の警官の目の前で証拠隠滅の危険を犯す筈が無い事。250人の警官を動員しても血の付いた服は無かった事を挙げリジーの無罪を主張し、陪審員は1時間の休廷後無罪と判決しました。

ボーテン家は名家であり様々な思惑が働いた

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フォールリバーは織物業が盛んな街であり地元の新聞社や宗教団体も含む業界、強いてはフォールリバーの街全体が父アンドリューの息のかかった支配下でした。検察側の主張は状況証拠であり物証が不十分と見なされリジーを犯人と断定するには不利な状況に追い込まれます。

何より陪審員が全員男性であり地元の名士の娘であるリジー・ボーデンを殺人事件の犯人にする発想など全く無かった事。処分した服に血痕は無しと証言もあり。検視証言全体が裁判から排除されました。

当時同じ地域で別の斧での殺人事件が起きていた

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裁判直前リジーが勾留中にフォールリバーの同地区で別件の殺人事件が発生し凶器には斧が使用されていました。全てがリジーにとって有利に動き、審議の最後にロビンソン弁護士は「陪審員のみなさんには、あの女性がこのような恐ろしい犯行を行う悪魔に見えるのですか?」と訴え、リジー・ボーデンの判決は「無罪」でした。

リジー・ボーデンはなぜ疑われたの?

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無罪となったリジー・ボーデンは父の莫大な遺産を正当に相続し、姉と共にフォールリバーに豪邸を構えましたが、その暮らしぶりを見た町の人々は次第にリジー・ボーデンが親殺しの犯人じゃないのかと疑うようになります。

リジー・ボーデンの疑惑①遺産目当ての犯行説が出た

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リジー・ボーデンは法律上の正当な遺産相続人として認められ、姉妹で併せて当時の50万ドルにもなる莫大な遺産を相続し、フォールリバーに新たに豪邸を建築し姉と暮らし始めました。正当な理由があっても急に金持ちになった人間に対しての反応は今も昔も変わらず、財産目当ての親殺しとリジーを疑う住民が増えていきました。

事件の日は牧場の名義が変わった日だった

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事件の当日は、リジー・ボーデン姉妹愛用の農場の名義を姉妹に内緒でアンドリューからアビーの名義に変更する予定でした。アンドリューは手続きの場にアビーが一向に現れないので様子を見に一旦自宅へ戻り、カウチで横になった所を殺されたと推測されます。

リジー・ボーデンの疑惑②事件前に青酸購入を試みる

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リジー・ボーデンはアザラシの毛皮のコートについた虫を駆除する理由でシアン化カリウム・青酸カリを購入しようと事件前日に三件の薬局を訪れいずれの店でも断られます。さらに同日友人であるアリス・ラッセルに「ウチの食事には毒が入れられている」と伏線を貼っています。

リジー・ボーデンの疑惑③事件後にドレスを処分

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事件の3日後、様子を見に捜査のため警官がウロウロするボーデン家を尋ねたアリスが、ストーブで青いドレスを燃やすリジー・ボーデンを見かけ不審に思い尋ねると、ペンキ塗りたての場所にこすって汚したから処分しているとリジー・ボーデンは答えましたが、ドレスに血痕はなかったとアリスは証言しています。

リジー・ボーデンの疑惑④女優との恋が動機?

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リジーがボストンで1904年頃出会い恋に堕ちたのが、知名度の低い女優ナンス・オニールです。ナンスは浪費家でいつも困窮しており、リジー・ボーデンは裕福だったので対極にある二人は仲睦まじく、証拠は無いもののナンスを知る周囲の者には、彼女が同性愛者なのは周知の事実でした。

事件時の周囲の様子とアリバイ

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130年近く経過した今となっても真相不明の犯罪史上に残る事件です。事件当日のボーデン家の周囲や家の中にいて犯行可能と思われる人物の不審な行動やアリバイなどに注目し真相に近づいて行きましょう。

ジョン・モースは外出していた

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アンドリューの最初の妻サラ・アンソニー・ボーデンの兄ジョン・V・モースはアンドリューと仲が良く、事件前夜からボーデン家に宿泊していました。事件当日は朝から親戚を尋ねるために外出しており、事件の直後に庭を通って戻ってきました。

屋敷の中で大騒ぎしているのに気づかなかったのか、呑気に庭で果物を拾っているところを近隣の住民が見かけ、家に戻った時点での妙に落ち着いた動向も不審でしたが、家の外にいたアリバイが確定し犯行は不可能です。しかし農場の相続手続きに管理をしていたジョンがその時間に親戚を尋ねていたと言うのも辻褄が合いません。

ブリジェット・サリバンは窓ふきを行っていた

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前夜に食中毒騒ぎがあり、ブリジットも体調不良にも関わらず40度近い猛暑の中、家中の窓を拭いておりアンドリューが殺されリジーがそれを発見した時間には3階の自室で横になっていたと証言し確固たるアリバイはありませんが、雇い主であるボーデン夫妻を殺す動機が全く見当たりませんでした。

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