ストックホルム症候群は人質が犯人を庇う心理状態!原因や実際の事件を紹介

乗客解放後は身代わりに山村新治郎という代議士が同乗しましたが、赤軍派グループは山村代議士にも「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪。

それに対し山村代議士は「これで次の選挙も当選間違いなしだ」と冗談を交え返しました。

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失敗すれば全員死が確実なハイジャック。そんな非日常的な連帯感も手伝い、赤軍派側の人間らしさを目撃した乗客側は、ストックホルム症候群に陥ったのです。

乗客は約122名。これだけの人間が同時に発症した例は当時非常に特異なものでした。

また、この事件について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

オーストリア幼女監禁事件

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1998年、オーストリアの首都・ウィーンでもストックホルム症候群が発現するほどの事件が起こりました。

当時10歳だったナターシャは通学中に近所に住む男性ボルフガング・プリクロピルに誘拐され、そこから8年間、狭い地下に閉じ込められてしまいます。

地下室は広さおよそ5平方メートルという狭く、窓もない防音の空間。そこにまず半年間閉じ込められ、その後はプリクロピルが眠る時、外出する時のみ地下に入れられました。

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プリクロピルは、ナターシャに常に自分の1メートル後ろを歩くように命令し、彼女の髪を剃り落としました。また「家族はお前の帰りを待っていない」と話し、洗脳を試みました。

ナターシャは次第に耐え難い孤独感を覚え、プリクロピルに一瞬でも長く一緒にいてくれるよう頼んだと言います。

しかし、ナターシャは非常に賢く、決して諦めない子供でした。彼女は数少ない本やラジオから独学で言葉や技術を覚え、18歳の時、一瞬の隙を突きプリクロピルの家を逃げ出したのです。

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その後ナターシャは無事保護されましたが、それを知ったプリクロピルは列車に飛び込み自殺。ナターシャはその報せを受けると「かわいそうな人だった」と涙を流しました。

10年間に渡る監禁生活で、幼い少女は生き抜くためにストックホルム症候群に陥ったと言えます。

そしてナターシャは自由の身になった2年後、プリクロピルと住んでいた家を購入。折を見てその家を訪れているというから驚きです。

籠の鳥事件

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籠の鳥事件とは、1965年に東京都豊島区起きた女子高生拉致事件です。当時高校3年生だった少女を40代の男・角園九十九が誘拐し、家に連れ帰り手錠と目隠しをした上監禁しました。

角園は少女をその日の内に強姦しようとしましたが、抵抗され中断。翌日からは拘束を解き少女に紳士的に接し、そこから少女も男に対し態度を和らげるようになります。

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角園が少女に「好きだからお前を連れてきた」と話すと、少女は角園に同情し、さらに心を寄せていくようになりました。

角園は少女に雑誌や服、下着やミシンを買い与え、段々と本物の恋人のような関係へ変化していったのです。角園は少女のために貯金をし、2人で温泉旅行にも出かけていました。

アパートの住民も2人を目撃しており、その様子は「年の離れた恋人だと思った」ほどだったと言います。

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少女が発見され逮捕された際、少女は「雨に濡れていたら、おじさんが傘をさしてくれた」と答えています。これは2人が元々打ち合わせをしていたエピソードであり、少女は保護されてもなお、角園を庇っていたのです。

この事件は日本の誘拐監禁事件において、ストックホルム症候群の典型的、代表的な例となりました。

北九州監禁殺人事件

2002年、福岡県北九州市にておぞましい監禁殺人事件が発覚します。当時、マスコミも報道規制を行うほど残虐であったその内容は、子供を含む家族6人が互いに殺し合ったという信じられないものでした。

主犯の男・松永太は、内縁の妻に自らの殺人を手伝わせたのち、妻の実家に住み着き、その家族を拷問等でマインドコントロールし始めます。家族は松永のいいなりとなり、6千万余りの金銭も渡していました。

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松永は、人心掌握、そして弁論に非常に長けていました。そのため、家族それぞれの不満を聞きだし、それを上手く使い家族の心をバラバラにしたのです。

その上で下位の者には拷問を繰り返し、正常な判断を失った家族はいかに松永に気に入られるか、他の者を出し抜けるかを日々競うようになったと言います。

その中で、松永は一切手を下すことなく、彼の指示ひとつで次々と家族内で殺害は決行されました。

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ここでは、被害者が加害者を信じ、崇拝し従うという現象が起こりました。しかしこれはストックホルム症候群のように見えて、実際は松永の非常に巧みな人心掌握によるものでした。

被害者達は偶発的にストックホルム症候群に陥ったのではなく、松永により意図的にそのような心理状態に追いやられたのです。

最終的には10歳の子供にまで殺害を手伝わせた鬼畜の所業としか言えない事件であり、松永にはもちろん極刑が下っています。

ストックホルム症候群は家庭や職場でも現れる

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ストックホルム症候群は、実は日常生活を送る私達にも関係があるのです。家庭や職場など、身近なところにもストックホルム症候群は潜んでいます。

ケース①日常的にDVを受けている

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ストックホルム症候群を提唱した精神科医、フランク・オッシュバーグ氏によると、家庭内DVによっても同じような現象が見られると言います。

恋人や配偶者からDVという酷い仕打ちを受けていても、被害者は「この人はかわいそうな人だからそばにいてあげないと」と考え、必要以上に尽くしたり、別れを渋ったりするのです。

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