シマアジについて
シマアジは小型から中型のサイズが多いですが、成熟し大きくなると1メートルを超えてくる大型の肉食魚です。体高があり身幅は薄く、体の真ん中には黄色の縦縞が一本、色鮮やかに流れています。ですが、成熟し老成するにつれて特徴的な縦縞が不鮮明になっていきます。
歯が無く「ガラスの唇」と呼ばれるほど薄い唇のため、大物になるほどバラしやすく、釣り上げるには繊細なテクニックが必要です。特に1メートルを超えるシマアジは関東で「オオカミ」と呼ばれ、釣り人達の憧れのターゲットとして君臨しています。
シマアジは岩手県より南の地域に生息している
暖かい水温を好むシマアジは、日本海側は新潟以南、太平洋側は岩手以南の水深200メートルの沖合から、沿岸の浅場に生息しています。幼魚・若魚期は群れで沿岸の港湾内や荒磯、沖合の岩礁帯や砂地の海底を回遊し、小さな甲殻類やイソメなどを捕食、大きくなると小魚も捕食するようになります。
また、成熟し大型になると、群れで行動せずに単独で回遊する習性があります。このため、生息域は変わりませんが出会う確率がとても低くいので、大型のシマアジは釣り人憧れのターゲットにもなっているのです。
シマアジは高級魚
アジといえば庶民の味方の大衆魚で、食卓にもよく登場しますが、「シマアジ」となると立場が一変します。天然モノは1万円をゆうに超える値が付くモノがあるほどの高級魚なのです。
養殖も行われてスーパーなどに並びますが、それでも大衆魚とは一線を画す存在です。買って食べるより釣って食べる方がよいと考える人が多くなるのは必然でしょう。
シマアジは夏から秋が旬
シマアジは冬の産卵期に備えて、夏から秋にかけてが脂のりがよく、とても美味しい時期になります。大型よりも2~3キロほどの中型の方が食味が良く、天然モノは料亭や鮨店などでしかお目にかかれない、まさにアジの王様です。
刺し身にすれば、しっとりと脂がのった白身は淡いピンク色に染まり、見た目も味も気品にあふれ絶品です。
シマアジ釣りの時期
シマアジは1年を通して釣りを楽しむことができるため、とても人気のあるターゲットです。ベストシーズンは夏から秋にかけての水温が高い時期、この時期はシマアジの旬でもあり、多くの釣り人が海へ繰り出しシマアジを狙います。しかし、水産資源保護のために禁漁期間を設けている場所や地域がありますので、注意が必要です。
シマアジは岸と船で時期が変わる
通年楽しめるシマアジ釣りは、夏から秋にかけての最盛期になると陸からも狙えます。堤防では初心者や家族連れなどレジャー感覚で気軽にシマアジ釣りを楽しめます。船釣りに挑戦する前に、シマアジの釣り方を覚えられるチャンスでもあるのです。
一方で、産卵が終わった冬から春にかけてシマアジは沖での回遊がメインになるので、船から狙うことになります。船釣りでは船長や乗組員の方が釣り方のアドバイスをしてくれたりと、初心者でも安心して楽しむことができます。
シマアジを岸から狙うなら夏から秋
冬の産卵に向けて、この時期はシマアジの活性がとても高くなります。港湾内や沿岸の磯場にはエサとなる小魚も多く、それを狙いに若魚は群れで回遊してきます。100~200、大群になると1000匹にもなるので、1匹釣れたら数を伸ばせるチャンスです。
初心者は堤防からのかご釣りで、上級者になると磯場などでウキフカセ釣りを楽しめます。大物狙いでなければ、ライトタックルで気軽にシマアジ釣りを楽しむことができます。シマアジ釣りのはじめの一歩を踏み出すには、この時期の岸からの釣りがおすすめです。
シマアジを船から狙うなら冬から春
産卵期が終わるとシマアジは活性が低下し接岸しなくなります。主に沖を回遊するようになり、岸から釣るのは難しくなのです。ですので、冬から春にかけてシマアジを狙うのは船からが主流になります。
最盛期より活性が低いとはいえ、もともとが食欲旺盛ですからエサに対する反応はよく、沖で回遊するシマアジの群れに当れば釣果が望めます。
また、数釣りだけではなく、オオカミと呼ばれる1メートルオーバーのシマアジも船から狙えます。大物にターゲットを絞った船釣りもベテランの釣り人達に人気です。
シマアジ釣りの種類
シマアジはいくつか釣り方がありますが、なかでも主流の釣り方を紹介します。釣りの季節や状況、自分のスキルに合わせた釣りでシマアジを楽しみましょう。
シマアジの大型を狙うなら船釣り
大型のシマアジ、特に1メートル越えのオオカミは釣り人の憧れです。竿ごと持って行かれそうになる強烈な引きは、釣り人との熾烈なファイトを約束します。しかも、「ガラスの唇」に針が掛かると、力まかせに引いては口切れを起こしてバレてしまう。大型のシマアジを釣り上げるには力と技と集中力が必要なのです。
そして、なにより大事なのが「運」です。意気揚々と釣りに出かけても、大物に出会えなければ意味がありません。広大なフィールドを単独で回遊する大型のシマアジに出会う運、それをサポートし高めてくれるのが船長の長年培ってきた経験と勘です。
大型のシマアジを狙うのなら、大物の釣りポイントを知り尽くした船長の船に乗ることが重要です。
シマアジはかご釣りが一般的
岸から狙うかご釣りは、シマアジ釣りの定番です。時期は夏から秋にかけてのシマアジ釣りベストシーズン。堤防や磯場から、群れで回遊している小型・中型のシマアジを狙います。コマセを使用するので、準備する道具や仕掛けなど初心者には難しく見えますが、堤防からの小型狙いはタックルはライトなもので対応できます。
堤防からの釣りに慣れたら磯場からの遠投でサイズアップも狙えます。タックルも磯用の遠投仕様で、潮の流れのある磯の岬や岩礁の根回りなどに投げ込みます。かご釣りはシマアジのほかにも色々な種類の魚が釣れるので、とても楽しめる釣り方の一つです。
シマアジに慣れているならウキフカセ釣り
上級者になるとウキフカセ釣りでシマアジとの駆け引きを楽しみます。堤防や磯からコマセを撒き、そこに潮の流れに仕掛けを乗せてサシエを紛れ込ませます。釣り人自身がコマセを撒いてポイントを作り、魚を誘い釣り上げる。狙った獲物は逃がさないというような、とても征服感を味わえる釣り方です。
良型のシマアジはなかなか出会うのが難しいですが、沖磯(渡船が必要な場所)ではまれに、50センチオーバーのシマアジが魚体を輝かせてコマセを捕食するシーンを見ることができます。その姿を目撃しただけでも感動しますが、そこに仕掛けを流し狙って釣り上げたときの達成感は何事にも代えがたいものになるでしょう。
シマアジ釣りの仕掛けをご紹介|船釣り
船釣りのシマアジはビシカゴにウイリー針で狙うのが一般的です。ライトタックルやシマアジ専用のタックルを狙うサイズに合わせて使用します。
シマアジ釣りを冬でもしたい!
冬のシマアジは船からの大物狙いにチャレンジです。暖かい海域への遠征釣行になりますが、海洋資源保護のため冬の産卵期は禁漁する場所や地域がありますので、予定を組む前にしっかりと確認しましょう。
シマアジを船釣りで狙う仕掛け
片テンビンにビシカゴ、ウイリー針を付けたウイリー仕掛けです。ビシカゴのビシとはオモリのことで、オモリのついたコマセカゴを使用します。ウイリー針とは毛糸などの化繊を針に巻き付けて作るいわゆる疑似餌です。
シャクってコマセを撒きコマセの煙幕に突っ込んでくるシマアジを狙います。ハリスを短くするなど、人によって工夫が施されます。