鮎とはどんな魚?
日本では、スーパーの魚売り場などで養殖ものの鮎を見かけることができるようになってきており、天然ものは稀少なのであまり市場に出回ることがないといわれています。まずは鮎という魚について解説していきましょう。
鮎とは川魚
若鮎は灰緑色の体色をしており、背びれの後ろに黄色い斑紋があるキュウリウオ目アユ科の川魚です。鮎の体はきゅうりやスイカのような独特の香りがするので「香魚」、寿命が1年なので「年魚」とも書きます。
鮎はとてもなじみの深い魚
古事記や日本書紀、万葉集、源氏物語にも鮎についての記述が確認されており、古来から日本人には親しまれ続けてきた魚です。平安京の時代には、鮎は宮中の貴族が食べていたそうで、一般の人々は口にすることができなかったといわれています。
鵜(う)飼いは、鵜という鳥を使って鮎を捕獲するという、日本では1300年以上もの歴史がある伝統的な漁法です。岐阜県の長良川などで鵜飼いは行われており、観光として見学できるようになっています。
鮎は食べることができる魚
鮎を使った料理は大変人気があり、獲れた川によっても違った味と香りがあるのだとか。鮎料理で有名なのは塩焼きですが、天然もので新鮮な鮎は腹わたを抜かずに丸ごと焼いて食べると、ほろ苦いわたとほくほくとした白身が混ざり合いなんともいえない味わいを楽しめます。
鮎の生態
日本ではなじみが深くおいしく食べることもできる鮎は、どのようなところに生息していて、餌は何を食べて成長していく魚なのでしょうか。稚魚と成魚との違いについてもわかりやすくご紹介します。
鮎は日本全国の川に生息している
鮎は、泥が混じるような水域を嫌う魚で、北海道西部以南から沖縄までの水質が良い河川に生息しています。獲れたばかりのものは光沢があって美しく、素手で触ると体温で手の跡が付くほどとても繊細な魚です。
鮎は稚魚と成魚で食べるものが変わる
秋に卵からふ化した稚魚は川を下り、翌年の春までは海の沿岸付近で過ごして、小さなエビやプランクトンなどの動物性ものを餌としています。5cmから10cmほどに成長した鮎は、水温が上昇する3月から6月にかけて、群れとなり海から移動して川を遡上します。
川に生活の場所を移したあとは水生昆虫なども食べながら過ごしていますが、やがて川底の石に付着している藻類だけを餌にするようになっていき、体長20cmから25cmほどの立派な鮎に成長します。
鮎の旬な時期を知ろう!|夏
6月から8月頃に獲れる鮎は、1年の中で一番おいしいともいわれています。夏に獲れる鮎はなぜおいしく感じられるのか、夏の川の中で鮎はどんな生活をしているのかについて迫っていきましょう。
鮎の旬は夏
7月から8月かけて獲れる鮎は、餌をたくさん食べて栄養がたっぷりと蓄えられており、脂が乗っているのでとてもおいしいのが特徴です。日本の夏の代表的な味覚のひとつで、皇室にはこの時期に獲れた鮎が厳選されて納められています。
鮎が最も盛んな時期
6月頃からは、良質な藻類がある餌場に「縄張り」を作るようになり、ほかの鮎が近付いてくると体当たりして追い払うなど活発に動くようになります。群れは作らずに単独で行動しながら、盛んに餌を食べてどんどん成長していきます。
夏のアユは骨まで食べられる
初夏に獲れる若鮎は、体長が10cmから15cmと小ぶりですが、骨まで柔らかく身はとても淡白ながら独特の香りが強いので、この時期にしか堪能できないおいしさです。塩焼きのほかにも素揚げや天ぷらでも頭から尻尾まで丸ごと食べられます。
鮎の旬な時期を知ろう!|秋
夏の終わり頃から秋にかけて、群れをつくり産卵場所を求めて川を下っていき、川底の小石や砂に産卵して1年の寿命を終えます。この頃の雄の鮎には、あごから尾にかけてのお腹にオレンジ色の帯が現れてきます。
鮎は秋に落ちアユとして知られている
「落ちアユ」とは、産卵をするために川を下っていく鮎のことを指します。鮎は小さな頃から順に、「シラス」「ノボリアユ」「ワカアユ」「セアユ」「サビアユ」などと、成長に伴って呼び名も変わります。
落ちアユは子持ちでおいしい
落ちアユは、産卵直前なのでお腹に卵をたっぷりと抱えているため、塩焼きや甘露煮にすると卵のプチプチとした食感がたまらないおいしさです。雄の落ちアユも、身に成熟したうま味を感じることができます。
落ちアユの時期は地域によって変わる
東北などの北の地域では8月下旬頃から、近畿は9月から10月にかけて、九州などの南の地域では10月を過ぎてからが落ちアユが獲れる時期になります。秋だけにしか味わうことができない、落ちアユのおいしさをぜひ味わってみてください。
鮎の旬な時期を知ろう!|釣り
鮎の釣り方は、縄張りにおとりの鮎を送り込む「友釣り」がよく知られており、「ドブ釣り」は毛針を使って川の淵(ドブ)に仕掛けを沈めるという方法です。初心者でも気軽に鮎釣りを始められるおすすめの道具もあります。
鮎には漁解禁日がある
日本各地では鮎の資源保護のために禁漁期が設定されており、ほとんどの河川で毎年6月初旬から秋まで鮎釣りを解禁しています。解禁された直後は鮎の数が豊富なので、鮎釣りを楽しむのにはおすすめの時期です。
鮎は琵琶湖が有名
琵琶湖では、餌にシラスを使うサビキ釣りで、2月から6月くらいまで「小鮎」が釣れます。小鮎とは、琵琶湖内にとどまってプランクトンなどを食べて生活をしている特別な鮎で、あまり大きく成長しないのが特徴です。