エソとはどんな魚?
釣りをすれば必ず出会う身近な魚です。よく釣れるマエソの他にワニエソ、アカエソなど、日本近海で多く生息しています。エソは、釣りの仕掛けにとにかくよく喰いつきます。しかし、その奇抜な見た目から敢えて釣って持ち帰るアングラーは少数派のようです。
ヘビのような顔を持つ魚
パクッと開く大きな口、鋭い歯、グリーンを帯びた光る目、頭は小さく細長い筒状の体、ヒレがついていなければほぼ間違いなくヘビのようです。また、このグロテスクな見た目の魚がかかると残念に思う人が多いほどマイナーでどちらかというと嫌われがちです。
釣りでは歓迎されない外道
体長50cmを超えるものもいるため、ヒットすると強い引きがあり、鋭い歯でルアーに噛み付き暴れます。この歯で噛み付かれるとライン切れしやすく、ルアーが海の中に消えてしまったりと思わぬトラブルを招くこともあり厄介です。
また、ショアジギングで強い引きを感じると、大物がヒットしたかのような期待をしてしまうのですが、ただのマエソでがっかりというこが多いのです。見た目の奇抜さからも、厄介者扱いされ手放してしまいたくなるのもわかります。
エソの扱いには注意が必要
この魚を扱う上で注意したいのは、大きく開く頑丈なあごに無数の鋭い歯が生えていることです。素手で触ろうとすると、噛みつかれて思わぬ怪我をしてしまうことがあるため、必ずタオルの上から包むなどして注意しながら扱うことが不可欠です。
実は高級魚
醜悪なルックスに付け加え、歯も鋭いため、釣れて嬉しくないこの魚は、鮮魚店で見かけることはまずないです。しかし、実は甘く、脂ののった白身が絶品で、蒲鉾の材料などに加工されることが多く、主に関西ではこの極上白身を使った蒲鉾は昔から一級品として扱われています。
エソの基礎知識を紹介
リリースされてしまうことの多いこの魚には、たいへん興味深いギャップがあるということがわかってきました。では、どこに棲んでいてどんな特徴があるのでしょうか。ここで基礎知識についてお話してゆきます。
エソの生態
ヒメ目エソ科に分類される海水魚です。釣りでよく見かけるのはマエソで普通30cm前後ですが、成長すると全長50cm以上になることがあります。肉食で、エビやカニなどの甲殻類や小魚など、幅広く何でも好みます。また、春から夏にかけてが産卵時期です。
エソの生息地と分布
おもにインド洋や西太平洋などの熱帯・亜熱帯の暖かい海に広く分布していますが、温暖な気候の海ならば、全世界のどこでもお目にかかれます。日本近海ではマエソの他にも22種確認されていて、おもに西日本以南の特に太平洋側など、海水温が高いほうの海域に多く棲んでいます。
エソの生息環境と習性
浅瀬から少し沖に出た水深100~200mほどの海、また、海底に砂地のある海を好みます。夜行性で、昼間は海底に潜んでいて、砂の中に隠れることもあり、夜になると獲物を狙いに海の表層近くに現れます。
エソの豆知識を紹介
釣りに縁のない人にとっても、蒲鉾の材料などにされる身近な食材です。また、あまり知られていないながらもよい意味でも悪い意味でもちゃんと存在感があることがわかってきました。さらに調べます。
エソの名前の由来
名前の由来は、大和朝廷の時代にさかのぼります。朝廷と敵対していた部族が差別的な意味を込めて「エソ」と呼ばれ忌み嫌われていました。それゆえ、醜い顔をしたどう猛なこの魚が、悪い意味も含めて、「エソ」と呼ばれるようになったのです。
食いしん坊な肉食魚
喉を通る大きさの生物であれば何でも捕食します。大きな口と鋭い歯で獲物を捕らえるため、比較的大きなカワハギをも口に入れてしまうぐらい、どう猛で捕食能力に優れています。何でも喰らい付くので釣りの仕掛けにかかりやすいのです。
エソは日本人と長い付き合い
この魚のすり身を焼いたものは、室町時代から祝い事の席で振る舞う習慣がありました。現在、蒲鉾の主原料はスケトウダラのようですが、今でもこの極上すり身を原料とした蒲鉾は逸品とされ、日本人に古くから親しまれています。
エソは高級食材
この極上白身を使用した蒲鉾は高級食材として、日本で親しまれています。しかし、あまりこの魚についてよく知っているどころか見たこともない、ということが多いのも事実のようです。その理由について考えてみたいと思います。
お店でエソを見かけない訳
この魚が鮮魚店に並ばない理由は、見た目の奇抜さからだけではないようです。その理由は、身が弱くさばきにくいため家庭で料理することに向いていないからです。また骨は小骨が硬く入り組んでいるため、すり身として加工する食べ方が主流です。
また、鮮度が長持ちしないので鮮魚店で他の魚と一緒にディスプレイするには限界があります。その理由として、胃の中に捕食した生き物が残っていることが多く、これが腐敗して身自体に臭みが出やすいのです。
実は食べてるかも
すり身として加工されることが多いこの魚は、実はおなじみの食品の材料として普及しています。おもに西日本では、蒲鉾の原料として、また竹輪や薩摩揚げの材料としても使われています。また、水産加工食品が広く流通している現在では、どこに住んでいても、知らず知らずのうちに美味しくいただいているようです。
エソは練り物の王様
この魚は練り物の中でも、極上品です。クセがなく甘みも感じる白身の味は最高で、蒲鉾は歯ごたえよく仕上がります。また、市場では、こぞって買い占める業者もいるぐらい人気のある高級魚です。
マエソが一番おいしい
日本近海でよく見かける中でも、マエソが一番美味しいとされています。2年ほどで成熟し、特に産卵期には太って食べごろになります。また、オスよりメスのほうが大きく、愛媛県などエソの魚卵を食する地域もあるように、卵まで美味しくいただけます。産卵期のメスのマエソを狙えば確実です。
エソの食べ方を解説
釣れてもあまり嬉しくない魚のようですが、実は絶品の白身で、持ち帰って一度はさばいてみる価値ありなのです。では、具体的には向いている調理方法は何でしょうか。実は、揚げても、すっても、生でもいけるようです!
エソの絶品刺身
刺身で食すことは、せっかく釣って持って帰ってきた醍醐味です!しかし、小骨が硬く入り組んでいるので、身全体を刺身にすることは根気が必要ですが、無理せず食べやすい部分をさばいて食べるのがコツです。
エソの蒲鉾
すり身にする最もポピュラーな加工法です。この魚で作った蒲鉾は弾力があり極上品で、お値段も少しお高めです。蒲鉾は水産加工品として販売されることが一般的ですが、自宅でも簡単に作れます。せっかく持ち帰ったのなら、無添加のかまぼこを味わってみるのもいいです!
エソの天ぷら
上品な白身魚の味わいとサクサクの衣がたまらない一品です!天ぷらにするには、はものような骨切りをすると小骨の問題を解決できます。てんぷらとして食すなら、釣ってきたらすぐに調理しなくてはいけません。冷凍するならすり身にすることです。
エソ料理を作ってみよう
この極上白身は、普通の魚のように何にでも料理できます。しかし、家庭で食べるには、手間を惜しまずに入念な下ごしらえが必要です。ここでは、家庭で料理するときのコツについて詳しく解説します。
エソのさばき方を解説
うろこが邪魔になるため取ってからさばきましょう。小骨が太くて硬いため一気に包丁を入れようとせず、少しずつさばいてゆくのがコツです。頭を落とし、腹を包丁で開き内臓を取り出し血をきれいに水で洗い流します。その後、普通に魚をさばく要領で3枚におろして、皮を剥ぎます。
その後、身(中骨を除く2枚)の腹側の小骨が多い部分を包丁で削いで目立つ小骨を除去します。残りの小骨は毛抜きを使用し根気よく取り除きます。刺身にする場合は特に入念に行います。刺身は、尾びれ側のなるべく4分の1を使えば、小骨も気にならず食べやすいため、なるべく大きなもので調理するのがオススメです。
エソのすり身を作ってみよう
うろこを剥がし、頭を落とし、内臓を取り除き、3枚におろすところまでは刺身と同じです。目立つ小骨も包丁をスライドさせて取り除いておきましょう。皮から身をこそげ取るには、スプーンを使うとスムーズです。すり身は、完璧に小骨を取る必要はありません。フードプロセッサーで骨を粉砕するから小骨があっても大丈夫なのです。