一体「バチ抜け」って何?
シーバス釣りの絶好の機会を提供してくれるのが「バチ抜け」です。さて、その「バチ抜け」ですが、「バチ」も「バチ抜け」も釣り人の間で流通している「釣り用語」です。
それも、かなり通向けの釣り用語のです。スマホの釣り用語辞典の類には出ていませんからね。そこで、この「バチ抜け」という言葉について丁寧に解説しようと思います。
バチとはゴカイやイソメの総称
釣り人が「バチ」と呼んでいるのはゴカイやイソメなどのにょろにょろした虫餌の総称で、環形動物門の多毛こうに入る動物の仲間です。細長い身体の前方に目や口があり、身体の側面には肉質で出来た足がたくさん突き出しています。
また表面から触糸や剛毛が出ていて、これらを使って水底を這って移動したり、水中を遊泳することができます。
バチ抜けとはゴカイやイソメの産卵
バチ抜けとはゴカイやイソメなど多毛類の虫たちが卵を産むことです。この産卵の時にはゴカイたちは普段は身を潜めている川底や海底から水面近くに浮上してきて泳ぎまわります。
このゴカイたちを狙って水面の上からはカモメなどの鳥たちが集まってきて「鳥山」ができることもあります。また水中からは魚たちが絶好の餌漁りにうようよ集まります。
イソメについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
バチ抜けする時期
バチ抜けとは先にお話した通りゴカイやイソメなど多毛類の餌虫たちが産卵のために水底の泥の中から水中に抜け出てくることです。なぜ水中に出て来るかというと、水中で相手と出会って生殖するためです。
バチはこの時期に表層ばかりでなく水底から水面までの全範囲にいる可能性があります。とにかくこの産卵の時期をよく見極めることが大切です。
この時期のバチの出方はたいへんな数になります。たいへんな数のバチたちが水中にうようよ、うようよと漂って生殖の機会を求めているのです。ちょうどこの時期、自身も産卵後で動きが鈍くなっているシーバスにとってはより取り見取りの絶好の餌になってくれます。
時期は1月から6月の間
さて、そのバチ抜けの時期ですが、おおまかに言えば冬から春まで、場所によってもかなりの違いがありますが、1月から6月までの間と言ってよいでしょう。そして、同じ場所の同じ時期でも大潮、中潮、小潮の潮回りによってもバチの出方が違ってきます。特に出やすいのは中潮です。潮の動きが大きいのでバチが生殖を行う範囲が広くなるからです。
ところで、そのバチの出やすい潮回りの1日の中でもバチの出る量とシーバスの釣れ方に時間帯によるちがいがあります。バチ抜けの初期の冬には特にその違いが甚だしくなります。後期の5月~6月になるとよく釣れる時間帯も長くなります。
地域によって時期に差がある
バチ抜けの時期は1月~6月の間と言っても、地域によってその時期には差があります。たとえば東京湾の場合について言うなら、12月の下旬から始まり1月から5月にかけてだんだんバチ抜けが多くなります。
ただし同じ東京湾でもポイントによる違いがあります。また、バチの種類によっても時期に違いがあります。大阪湾の場合なら1月~6月と言われますが、本格的にバチ抜けが起こるのは4月~6月と言ってよいでしょう。
バチ抜けはなぜ釣れやすいの?
バチ抜けはシーバス釣りの絶好のチャンスで、釣り人はこの機会をワクワクしながら待っています。この機会なら初心者でも、大漁が期待できます。タイミングと場所さえ適当なところを狙えば面白いほどたくさんのシーバスが掛かってくるのです。それでは一体どうしてバチ抜けの時期にはこんなに良く釣れるのか、以下に3つの理由を挙げてご説明しす。
魚にとって餌が豊富だから
バチ抜けの時には大量のバチが生殖の機会を求めて普段住んでいる水底の泥や砂の中から一斉に抜け出して来ます。そして、中には水底を這いまわるもの、水中を浮遊するもの、水面に浮き上る物など多種多様のバチたちがそれこそいたるところにうようよとうごめいています。この時こそシーバスにとっては豊富な餌にありつける絶好の機会となりす。
タイミングが決まっているから
バチ抜けの時期は地域ごとに大体いつ頃と押さえられています。冬から春の終り頃、例えば東京湾なら1月~5月、それも終りに近い頃の方が大量のバチが抜けます。しかもそのうち大潮から中潮に変わる頃で、その1日の中でもどの時間帯が多いかもポイントに行けば把握できます。魚の方もこれをちゃんと知っていますから、そこを狙えば良いわけす。
バチは捕食しやすい
バチはミミズと同様の直線形の餌虫で、小魚のような尾ひれもなく、蛇のような背骨もないので素早く泳ぐことはできません。身体の側面に肉質でできた足のようなものがあり、また表面から剛毛が生えていて、これらを使って水底を這ったり水中に浮遊するだけで、言わば水の流れに身を任せて漂っています。バスはただ口を開けていれば良いわけす。
バチ抜け時のシーバス攻略法
さて、バチ抜けの時期を押さえて、更に時間帯も押さえて、ポイントも押さえた上で、シーバス釣りに出かけたとして、一体どのあたりを狙ってルアーを下せばよいのでしょうか?水面直下でしょうか?それとも水面から水底までの中ほどでしょうか?あるいは水底を狙うのがよいのでしょうか?初心者ならこういった疑問に戸惑ってしまいますよね。
水面直下を狙う
水面直下は何と言っても基本的な狙い目と言えます。河や河口など波が立っていない比較的静かな水面ならそこにバチが抜けて群がっているのを実際に目でみて確かめることができます。
また波が立っている海面でもカモメなどの海鳥が群がっているところはバチが抜け出ているところだとわかります。こういうところなら水面直下を狙うのが良いのです。
底を狙う
水面近くを狙っても掛りが悪いという場合には、水底を狙いましょう。水底の泥や砂から抜け出してきたばかりのバチはまだ動きが鈍く、水底をウロウロと這い回っています。その動きの鈍いバチを狙ってくるシーバスも結構います。
そこで釣る方も、このシーバスを狙って、水底のバチの動きに似せたルアーでそれらしいアクションをやればよいのです。
バチ抜け時の基本的な釣り方
バチ抜け時こそシーバスを大量に釣り上げるのに最適のチャンスです。そのチャンスを生かすには、先ずそのバチ抜けが起こる時期を把握しなければなりません。バチ抜けは1年中起こるわけではなく、限られた時期に起こり、しかも地域によって、更に同じ地域でもポイントごとに微妙な違いが出てきます。
時期を押さえるだけではなく、バチ抜けがよく起こる場所も押さえる必要があります。時期と場所を押さえた上で、もう一つ必要なことは、このバチ抜けという独特な時には、それに見合った釣り方があるので、それを身に付けてこそ、この絶好のチャンスが生かせるというものです。
上流側から入れる
先ずバチとはどんな生き物なのか、どんな動きをするものなのかを見ておきましょう。バチは環形動物門の多毛綱に属する虫でミミズのような直線形の身体をもつにょろにょろした生き物です。魚のような尾ひれもなく蛇のような背骨もなく、身体の側面に突き出した肉質の足と表面に生えた剛毛を使って動きます。
従って魚や蛇のように素早く泳ぐ能力は持っていません。河や海の潮の流れに身を任せて移動するというバチ特有の行動の仕方です。従って、このバチの動きに似せて、流れの上流側にルアーを入れ、流れに沿って上流から下流に向かってルアーを動かすのが基本的なやり方になります。
流れよりも少し早く巻く
バチは流れに身を任せて動いてくると言いましたが、たいへんな数のバチが流れてくる中で、ルアーをそのバチの群れとまったく同じ速さで流したらどうでしょうか?それではルアーはバチの群れに紛れてしまってお目当てのシーバスの関心を惹きつけることはできません。シーバスの関心を惹い口に入れさせるには流れよりも少し早く巻くとよいです。