こまいってどんな魚?
こまいという魚を知らない方はたくさんいると思います。日本では北海道など、ある特定の寒い地域でしかとれず、その地域以外ではあまり知名度も高くありません。ここではこまいはどのような特徴を持った魚なのか、生息地域や生態、名前の由来などを詳しく紹介していきたいと思います。
こまいは北海道で釣れる魚
こまいはスケトウダラやマダラと同じくタラ科の仲間です。生息している場所は、日本海、オホーツク海、ベーリング海、黄海などの北太平洋となります。日本ではほとんどが北海道で獲られます。道南を除くほぼ全てのエリアで釣ることができます。逆に寒くない地域ではこまいは生息していません。
こまいの生態
成長するにつれて呼び名が変わる出世魚で、15cm程の全長では「ゴタッペ」、25cm程は「こまい」、25cm以上は「オオマイ」と呼ばれます。下顎よりも上顎のほうが前に出ており、短いひげがあります。産卵の時期は1月〜3月で、氷点下近い温度で産卵します。水深200mよりも浅い海に生息し、夜行性で集団で行動します。
こまいの釣れる時期
旬は12月の終わり頃から2月下旬までの2ヶ月程ですが、夏でも釣る事が可能です。堤防からのサビキ釣りやチョイ投げ、砂浜からの投げ釣りでも狙えます。湖や河川が充分に凍っていれば穴釣りも楽しめます。夏は20cm前後の小型のこまいが釣れることが多く冬は25cm以上のサイズの「オオマイ」が釣れます。産卵前は夏に比べ美味しいです。
こまいの名前の由来と漢字
同じタラ科であるマダイに似ているが、マダイに比べてこまい(小さい)ため、そう呼ばれています。漢字では「氷下魚」と書きます。これは、冬の時期に氷を割り、氷下待網漁という方法でこまいをとるため、このような名前がついたと言われています。氷下待網漁は北海道では冬の風物詩と言われています。
こまいの仲間について
こまいはタラ目タラ科です。タラ目は9科75種の種類があります。日本近海にいるタラ科はスケトウダラ、マダラ、こまいの3種です。タラ科の魚の身は脂肪分が少なく、鍋物や揚げ物に利用されます。また、魚肉ソーセージやかまぼこといった練製品の原料としても利用されており、私達のよく口にする食べ物に使われています。
マダラ
同じ種類のマダラは、こまいよりも大きく全長1m程まで成長します。北太平洋に広く生息しており、釣りや網漁で獲られます。マダラの精巣は「白子」と呼ばれ、鍋物などに使用されます。濃厚な味がとても人気です。卵巣は「マダラ子」といい、たらこよりも大きく煮付けや焼き物として利用されています。
スケトウダラ
同じ仲間のスケトウダラも全長1m程まで成長しますが、一般的にマダラよりも小さい魚です。スケトウダラもすり身として利用され練製品にはよく使用されています。スケトウダラの白子は、高級品のマダラの白子よりも安価で手に入ります。逆に卵巣であるたらこはマダラのそれと比較して高価であり、明太子の原料としても使用されています。
こまいは一夜干しが珍味
獲れたこまいを1晩ほど乾燥させて作ります。こまいの一夜干しは、そのまま食べてもとても美味ですが、お好みでマヨネーズなどにつけて食べます。お酒のおつまみにもとても合う料理です。通販でも売られていますので、北海道にいない人でも簡単にお取り寄せもでき、食べることができます。
こまいのカロリーと栄養成分は?
食べるにあたって、カロリーや栄養成分は気になるところだと思います。実は小腹が空いた時に食べている人もいるこまい。身体に必要な栄養成分も含まれていますので、食べて損はなく、逆に進んで食べましょう。ここからはこまいのカロリーはどれくらいか、栄養成分などを紹介していきます。
こまいのカロリーと栄養成分
こまいの干物(可食部)100gで約175kcalです。100gはこまい3匹〜4匹分です。こまいの干物は口の中で噛んでいるうちに膨らんでいきますので、低カロリーですがお腹も満たされる食べ物です。カルシウム、カリウムなどのミネラルを多く含んでいます。また、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンBも豊富に含んでいます。
効果効能
食べることにより、IPA(EPA)、DHA、イノシン酸、グルタチオンなども摂取することができ、ガンや高血圧、動脈硬化なども予防できると言われています。さらには、DHAにより記憶力の向上、コレステロール値の低下、アレルギー症状の緩和が期待されます。ビタミン類も多く含んでおり、老化防止などの抗酸化作用もあります。
こまいの干し物の美味しい焼き方
こまいの干物は焼かずにほぐせば食べられますがとても固く、時には怪我をしてしまうこともあります。そのためハンマーでほぐすか、焼くことをお勧めします。干物を美味しく頂けるよう、いくつかの上手な焼き方とちょっとしたポイントを紹介していきます。こまいの干物が手に入りましたら、是非参考にされてください。
フライパンで焼く方法
後片付けが簡単なフライパンで焼く方法を紹介します。干物は「冷凍」で保存するようにしましょう。そして冷凍のままじっくりと焼いていきます。さて、フライパンで焼く方法ですが、温めたフライパンにクッキングシートをのせ、中火で干物の片面を焼いていきます。程よく焼き色がついたらひっくり返し、もう片面にも焼き色がついたら完成です。
グリルで焼く方法
フライパンで焼く時と同じく、解凍はせずに干物をグリルでも焼いていきます。まず網にサラダ油または酢を塗り、グリルをよく温めておきます。中火以上で片面を焼き、程よく焼き色がついたらひっくり返します。もう片面は弱火もしくは中火で焼き、焼き色がついたら完成です。ひっくり返してもう片面は焼くときは焦げないように注意しましょう。
こまいの捌き方
マグロなど大型の魚ではないため、捌くことはそんなに大変なことではありません。小型の魚なので力もいらず手軽に捌けます。ウロコも小さく柔らかいので初めて捌く方でも簡単に捌けます。ここからは捌く工程を詳しく紹介していきますのでこまいが釣れて捌く時にぜひ参考にされてください。
捌き方手順
小さい魚ですので力もいらず難しくありません。まずはウロコを取っていきます。小さいウロコですので包丁を左右に動かしながらウロコを取り除きます。次に胴体とエラの境目に包丁を入れ、頭を取り除きます。お腹に包丁を入れ(ハサミで切った方が簡単な場合もあります)腹わたを取り除き水で洗います。
捌き方動画
次に捌き方をわかりやすく動画で見ていきましょう。動画を見てもわかる通り、こまい1匹を捌くのは簡単で時間もそんなにかかりません。冬はお腹に卵をもっている場合もあります。卵も美味しく料理できますので捨てるのではなく取っておきましょう。是非、動画を参考にされてこまいを上手に捌きましょう。
こまいの一夜干しの作り方
こまいがたくさん釣れたときは、保存の効く一夜干しにして食べることをお勧めします。味もとても人気が高く、お酒のつまみにも最適です。一夜干しはどうやって作るのか、作るためには何が必要なのか、作るうえでのちょっとしたコツを紹介していきます。こまいが釣れたら是非自分で一夜干しを作ってみてください。とても美味しいです。
一夜干しの作り方手順
生のこまいを捌き、そのまま腹開きにします。骨は取らなくても問題ありません。水1カップに対して塩を小さじ1.5入れます。塩水はこまいの数量によって作る量を多くしてください。腹引きしたこまいを塩水に1時間漬けます。1時間後、キッチンペーパーで水気をよく拭き取り干し網に並べて一晩か1日天日干しにし、乾燥できたら完成です。