カワムツとは
スーパーなどではあまり流通していないですが、河川の中流から上流域で見かけられる川魚です。釣れた場合は、天ぷらや唐揚げ、甘露煮などにして食べられたり、観賞用として飼育したり見た目でも楽しむことができます。徳島県ではヤマトバイと呼ばれたり、岡山県ではドロムツなどの呼ばれることもあります。
カワムツの生態
コイ目コイ科ダニオ亜科カワムツ属に分類されています。成魚は10〜15cmにもなります。雄が雌より大きく、大型の雄は20cm近くなることもあります。側面は紡錘形をしており、上から見るとオイカワに似ていますが、側扁が弱く鰭が小さいため、体幅が大きいです。大きくなるにつれて胴の太い部分が徐々に長くなり、魚雷型になります。
自然下では3~4年程、飼育での寿命は7年程と言われています。背中は黄褐色、体側には紺色の太い縦帯があり、背びれの前には黄色の斑点が1つ、胸と腹びれの縁は黄色です。底生動物や落下昆虫などを捕食しています。
カワムツの生息域
日本では、能登半島、四国、九州などの西の本州に広く自然分布しています。他には、朝鮮半島(北東部を除く)、中国の四川、ベトナム北部や台湾にも分布しています。最近では、関東地方や宮城県などにも生息していることも確認されています。
川や湖沼などに生息し、水がよりきれいな所を好み水流が緩い所を好みます。植物が覆いかぶさったような所で泳ぎ、人が近づいたりすると、茂みの中へ隠れたり、流れのゆるい川底部分の淵に追いやられることが知られています。
カワムツの時期
繁殖期は5〜8月、この時期のオスは腹部が広い婚姻色となり、顔は赤黒く変色、追星がはっきり現れます。成魚になると、昼間の暑い時間帯に川の浅瀬に群がり砂の中に産卵します。そこにカップリングできなかった若魚が訪れて、卵を食べてしまうこともあるようです。
カワムツの卵は直径が約1.1〜1.6mm程の大きさで、卵黄は赤褐色です。孵化するまでには水温28℃で約3日程かかります。23℃では約5日程かかると言われています。
カワムツとヌマムツの違い
両種は1846年に新種記載されて以降、数十年はともにカワムツとして一緒に扱われて来ました。 1969年に両者の顕著な差異を指摘され、1989年にそれぞれ現在のような新和名が提唱されました。そんなカワムツとヌマムツはどのように見分けられるのでしょうか。ご紹介します。
カワムツはヌマムツと区別しにくい?
婚姻色の出ていない状態では、体側の黒帯の濃さ、顔の形、背鰭や胸鰭の色、背鰭前方の班紋の形等で判別されていますが、初心者には区別しにくく釣れた時にはどちらか判断できない時もあります。
まずは、背鰭の朱色の色付きと背鰭前方の班紋が錘型で黄色であればカワムツで、胸ビレが朱色で班紋が楕円形ならヌマムツと判断したり、カワムツは比較して目が大きく口先が丸い、鱗も大きめで少ないなど、見分け方があります。
カワムツの飼育の準備
泳ぐのが大好きなのでよく動き回り、観賞用としても人気があります。飼育環境下では、6年〜7年程生きることができ、やや寿命も長い魚です。うまく育てれば繫殖させることもでき、長く楽しめます。飼育の準備から稚魚の育て方まで解説します。
カワムツの水槽選び
遊泳力が強い魚のため、水槽内を俊敏に動きまわります。そのため、水槽はできる限り大きいものを選ぶようにしましょう。魚のサイズが15cm程度までであれば、60cmほどの水槽でも飼育可能ですが、最終的に体長が大きくなるため、広い90cmくらいの水槽を用意してあげましょう。水
カワムツの水槽環境
基本的に水のきれいな川に生息している耐え、水をきれいにする「ろ過装置」が必要となります。ろ過装置の中でもろ過能力の高い上部フィルターや外部フィルターなどのフィルターを使用しましょう。川魚は酸欠に弱いこともあるため、エアレーションも十分に行いましょう。特に水槽内の魚が多い場合、夏場は酸欠になりやすいため注意が必要です。
また、槽の中にどんな種類でも良いのでとにかく水草を入れ、住みやすい環境にしてあげる事もポイントとなります。よく水面をジャンプすることがあるため、いつのまにか水槽を飛び出してしまうこともあります。そのため、水槽の水位を下げておき、必ずガラス蓋などを水槽の上にかぶせて、飛び出さないようにしてあげることが大切です。
カワムツの適切な温度は?
夏場、30度を越えるような暑い日が続く時は要注意です。飼育水槽の水温が30度を越えると耐えることができなくなるため、25度を保つようにしておきましょう。また、直射日光があたらない場所に水槽を設置するのはもちろん、暑い日は水槽用のクーラーなども使用しても良いと思います。とにかく、温度が上がり過ぎないように注意して様子を時々見てあげましょう。
カワムツの稚魚からの飼育方法
生まれたばかりの稚魚は、砂利や石の下に隠れます。メダカのように小さく、とっても可愛いです。どのように飼育すれば良いか、ご紹介します。
カワムツの稚魚の特徴
稚魚の頃はオイカワとさらに区別しにくくなりますが、全体的にずんぐりしています。頭も大きく、数cmにも成長すると縦に暗色の帯が現れ、区別できるようになります。水生昆虫や落下昆虫を中心とした雑食性です。稚魚は体長が3cm程と小さいですが、泳ぐのが大好きでよく動き回るので、泳ぎやすいように水量は一匹あたり一リットル程の水を用意するようにしましょう。
カワムツの餌
雑食性であるため基本的に何でもよく食べます。ペットショップなどで市販されている金魚用のエサ、川魚用のエサを準備します。ただし、稚魚は生まれてから1週間ほどは何も口にすることができないので、心配になりますが他の場所から栄養を取っているので大丈夫です。泳ぎだしたら、活ブラインなどを与えてみましょう。
ただし、川からとってきた野生のカワムツは、水槽の環境に慣れずになかなか人工飼料に慣れない場合もあります。その場合は冷凍アカムシなど生き餌を与えてみましょう。意外と臆病な性格をしているため、水槽に入れた時や大きな物音がする環境でも、餌を食べない場合があります。
おすすめの餌①キョーリンキンギョのエサ50g
キンギョのエサ ですが、カワムツでも食べさせることができます。室内でも美しい魚の成長をサポートします。
おすすめの餌②キョーリン冷凍赤虫
あまり餌を食べてくれない時に赤虫がおすすめです。生体そのままの新鮮さを超急速冷凍 紫外線パワーで強力に殺菌、超急速冷凍しそのまま新鮮な生体を残した冷凍の赤虫です。 デリケートな細胞を壊さないように超急速冷凍していますので、栄養分の流出も少なく、水も汚しません。手に触れることなく少量ずつ取り出せるPTP方式の少量パックなので、餌を出し易く、無駄がありません。
おすすめの餌③川魚のエサ 50g
カワムツの他にもオイカワ、ドジョウ、フナ、タナゴ、モツゴ、などの淡水魚が必要とする栄養を含んだ川魚用フードです。ゆっくり沈下し、魚がみつけやすく、水に溶けにくい顆粒状なので、水をあまり汚しません。柔らかい顆粒ですので、口の小さな魚等にも最適です。
カワムツの縄張り
縄張り意識の強い魚なので、同じ種類の魚が水槽内にいると激しく喧嘩してしまう場合があります。また、他の川魚と共存している場合も、それらの魚に噛み付いてしまったり、エサを独り占めにしてしまうといったこともあります。一緒に飼育する場合は、できれば魚のサイズを同等のものにしてあげて、水槽サイズを少し大きめにして隠れ家を作ってあげるなど、対処したほうがよいでしょう。
カワムツが病気にかかってしまった場合
ペットショップなどで購入したものは簡単に発病することは少ないようですが、普通の渓流で採ったものは病気にかかってしまうことがあります。その場合の対策はどうすれば良いかおすすめの方法をご紹介します。
白点病の対処方法
すでに白点病にかかってしまった魚がいる場合は、薬浴させるようにしましょう。特別隔離せず、そのままの水槽で良いです。これで大体の場合は一週間程度で完治しますが、稀に薬が効果を示さない時があります。最終手段としては、病気の個体を手で軽く抑えながら手で軽く表面の白点をとってあげてから、薬浴させる方法もあるようです。
ただ、それでも治らない場合もありますので病気には十分注意しましょう。これらの病気は進行が早く初期のうちに治療することが前提なので、早期発見・早期治療に心がけましょう。