イシガキダイって?
中部以南の暖かい海域に多く分布しており、流通量は少ないですが、高知や九州などでは高級魚として昔から親しまれている魚です。日本沿岸の岩礁やサンゴ礁に生息しており、相模ではササラダイと呼ばれたり、沖縄地方ではガラサーミーバイと呼ばれることもあります。
磯の王者とも呼ばれる魚
鋭い歯でサザエやウニ等を砕いて食べており、その荒々し性質から磯の王者と呼ばれています。また人間にとっても高級食材を食べていることから、肉食の美食家としても知られています。体は左右から押しつぶしたように平く、くちばし状の強靭な歯があります。成魚は50㎝前後ですが、80㎝以上の大物が釣れたという記録もあります。
イシダイとそっくりな見た目
イシガキダイは、スズキ目イシダイ科に属しており、体形や習性はイシダイにそっくりです。とても間違えやすいのですが、模様で見分けましょう。イシダイは縦縞模様なのに対し、イシガキダイは全身が灰白色に黒の斑点模様という特徴的な見た目です。その模様は石垣に似ており、名前の由来ともなっています。
値段が高いことで有名
一般小売価格は、少なくとも1キロ3,000円以上で取引されます。1尾の平均的な重量は1.5キロなので、これに当てはめると1尾4,500円〜になります。また、稀に東京でイシガキダイのお刺身を提供するところもありますが、1人前600円〜はするようです。
毒があるって本当?シガテラとは?
シガテラをご存知でしょうか?実は身近で、温暖な海域の魚を食べる場合にはシガテラ毒に注意する必要があります。日本での発生は、沖縄県がほとんどでしたが近年は本州でも発生が報告されています。もともとはごく小さなプランクトンから始まり、食物連鎖を経て、人間が摂取すると様々な症状を引き起こします。
シガテラは体内に蓄積される毒
熱帯や亜熱帯の海域のプランクトンからシガテラ毒は生成されます。それが魚介類の体内に蓄積されていき、これを人間が食べると大変な中毒症状が発生してしまうのです。症状は様々で、吐き気・下痢などから、感覚異常、神経の異常障害などの重い症状まで報告されています。1週間程度で回復することもありますが、数年かかる例もあります。
イシガキダイのシガテラ毒の実例
1999年、高級料亭でイシガキダイの料理数点を食べた客数名がシガテラ毒の食中毒症状を起こし、料亭は裁判所から1200万円の支払いを命じられるという事件が発生しています。この一件から、イシガキダイを扱う料亭が激減してしまったのです。被害者は今でも後遺症に悩まされているそうです。
大きな個体には注意が必要
先述の通り、イシガキダイにはシガテラ毒の危険性がありますが、安全に気を付ければとても美味しく、人気の高級魚です。食べる際は、個体の大きさに気を付けましょう。大きい個体ほど、シガテラ毒を体内に多く蓄積している可能性が高くなります。特に、重さ2.7キロ以上、全長45センチ以上は危険とするガイドラインもあります。
イシガキダイは一体どんな味?
捌いて切り身にしてみると、白身で透明感があり、見た目は通常の鯛そっくりです。いったいどのような味がするのでしょうか。流通量も少ないため、なかなかお目にかかれないイシガキダイの味わいや旬の時期をご紹介します。
季節によって味が違う
イシガキダイは通年通して漁獲されますが、磯釣りでは、春の乗っ込みと呼ばれる産卵期に浅場へ近寄ってくる時期が釣りやすく旬とされています。しかし味の旬は、身に脂がのる秋から冬にかけてが美味しいと言われています。また、30cm〜40cmほどの個体が美味しく食べられ、あまり大きくなると身が硬く、臭みも出てしまいます。
独特な磯の香り
イシガキダイは脂の乗りが良く、白身の身のしっかりとした魚です。食感がコリコリとしており、程よい旨みと後味に甘みを感じる味わいです。磯の香りがするのが最大の特徴で、鮮度がいいものは香りも良い風味となりますが、鮮度が落ちると、磯臭く嫌な臭いに感じられることもあります。
おいしいイシガキダイの選び方
イシガキダイは比較的鮮度落ちしにくい魚ですが、刺身など生で食べるのであれば生きているものか、活け締めされて時間が経っていないものが好ましいです。血抜きがしっかり行われていると鮮度が長持ちし、身質もより良くなります。鮮度の見極め方や、チェックしたほうが良いポイントをご紹介します。
目に透明感があるもの
まずは、目をよく観察することで鮮度を判断しましょう。目がみずみずしく潤っていて、透明感のあるものが鮮度が良い証です。逆に鮮度が落ちてくると、目が白濁したり、乾燥してくぼんできます。
ヌメリがあるもの
イシガキダイは本来体にヌメリがある魚なので、このヌメリがしっかり残っていることも鮮度の良い証です。また、ヌメリは新鮮な魚ほど透明度が増します。さらに、腹を触った時の固さでも鮮度をはかることができ、固いものの方が新鮮です。
エラの赤みが強いもの
イシガキダイは体が硬く、エラ蓋も開けにくいのですが、出来ればチェックした方が良いポイントです。鮮やかな紅い色が鮮度の良い証です。鮮度が落ちると、赤みが抜けて茶色やクリーム色に近くなります。
イシガキダイを釣る際のポイント
磯の王者とも呼ばれ、なんとなく釣るのは難しいというイメージを抱いている方が多いのではないでしょうか。憧れのイシガキダイの釣果を上げるためには、釣れる時期に釣れる場所へ行くことから始まります!また、しっかりポイントを抑えることが出来れば十分ねらうことが可能です。
シーズンは春から秋がおすすめ
イシガキダイは水温が高いと活性が上がり、逆に低水温になると極端に活動量が落ちます。そのため、温暖な春〜秋が狙いやすいです。しかし、イシガキダイは回遊性の魚では無いので、生息するポイントであれば季節に関係なく年中狙うことも可能です。
パワーのあるタックルで狙おう
イシガキダイの引きは腰が浮くほど強く、対応するには頑丈な仕掛けでなければなりません。イシダイを釣るためのタックルを利用するのが良いです。道具製造会社が競って新商品を開発しており、技術も高く使い勝手の良い道具が多くあります。一式そろえると、ピンキリではありますが8万~15万程度になります。
イシガキダイが釣れる場所
イシガキダイは成魚になると活動範囲は狭くなり、一定のポイントで生息するようになります。また、回遊性の魚ではないので分布や生息域を確認できれば、通年でねらっての釣りを楽しむことができます。
分布
太平洋側では千葉県房総半島、日本海側は山口県沿岸までと、比較的南西の地域に分布しており、温暖な海域を好みます。さらに、海底にある岩の陰や洞窟などを好み、地域の水深3~135mの岩礁やサンゴ礁に生息してます。稚魚の時は、流れ藻について表層を漂っており、全長が3~4㎝くらいになると海底生活に移行していきます。