デジャブとは
ふと懐かしい感覚。胎児だった事を覚えているような、なんだか懐かしく昔に見たと感じるものです。実はフランス語で日本語では既視感という意味になります。しかし、今ではデジャブの方がむしろ使われています。
特徴は知っているという手応えがあるのに、いつどこでそれを知ったのか全く思い出せないことです。どうしてなのか信じられないような印象ですが、実は多くの人がその感覚を経験していることが分かっています。
別名「既視感・予知夢」
日本語は難しいという印象を持ちます。前世のことを覚えているような郷愁を感じながら、それがいつどこでのことなのか分からないという印象。濃霧でよく見えずに手探りで道を探しているような感じ。
まるで超能力のように、これから起きる事を先取りしてみる夢。それは予知夢とよばれています。有名な例では1865年にリンカーンが銃で撃たれる2週間前に、ホワイトハウスで葬式の夢を見たと言っていました。そして、夢の中で誰かが「それはアメリカ大統領だ」と答えたのを聞いたのだとか。
特殊な能力なのか
そもそも夢をみるということ自体が未だにはっきりと分かっていないのですが、みた夢がまるで上映されるかのように見えるのは超能力なのか、何か特殊な能力でも持っているのだろうかと思いますが、在意識が投影されたといわれています。
ベッドに入る前に目にしたことや、読んだ文章、暗譜しなければならない曲の楽譜など。頭に入りやすいものですが、夢は潜在意識が投影されたもの。既視感と正夢は似ているけれどスタンスが違ってきます。
初めてではない感覚
胎児の時のことを覚えているような感覚、郷愁、懐かさ。慣れ親しんだ故郷にある山や川の景色。暖かいぬくもりを覚えているような懐かしい印象は、胎児だった頃からすでに知っているかのようです。
何故だか前から知っているように感じる。見てもいないのに!この矛盾こそが正体なのです。初めてだけれど、前から知っているという手応えがある出来事なのに、その事を立証できない。思い出すことができないという矛盾です。
はっきりとしない記憶
郷愁を感じるような懐かしさだと思っても、その故郷が思い出せないような、あやふやで自信のない感覚。確かに体験したことがあると感覚ははっきりとしているのに、はっきりとした記憶がないので証明することができません。
ふと郷愁を感じるような懐かしい体験は必ずできることではなく、不意に発生するものなので、どのように発生するのかを実証することは極めて困難です。多くの人が経験しているのに、どういうものなのかを説明できないのは、記憶がないからだといわれています。
デジャブはフランス語
今ではよく使うような言葉となりつつあり、聞いた事がある人は多いと思いますが、フランス語で「deja vu」と書きます。フランス語で「deja」(デジャ)は「既に」「以前に」という意味の副詞で、「vu」は「ヴ」で視る、見るなどの動詞。
英語で表現すると「already seem」となり、訳すと「もう知っている」です。郷愁を感じるような懐かしさを再確認するような印象。起きたことや目にしたものが、胎児だった頃からもう知っているような懐かしい感覚です。
意味は「すでに見た」
もう見た、すでに見たはフランス語で「deja」、「vu」は見たという意味。つまり、「deja vu」という言葉全体の意味は「既に見た」という意味になります。フランス語の「デジャブ」が日本語では「既視感」という意味を表すことに繋がってきます。
1917年に心理学者の本に登場
1917年にフランスのE・ブラックという心理学者が執筆した「超心理学の将来」に初登場しました。それから、小説や映画の作品で幅広く題材になり、今ではすっかりポピュラーな言葉となっています。
今では映画などの題材にも
郷愁を感じるけれど、記憶がはっきりとしない何とも不思議な感覚なので、映画やドラマ、小説などの題材にもってこいです。映画を調べると、ハリウッド映画の「デジャブ」、日本映画では「時をかける少女」などがあります。
聴いた事があるような音楽にノスタルジーを感じることもあります。記憶の底にあるような音楽。例えばマーラの交響曲第5番より「アダージェット」を聴くと、ずっと以前から聴いた事がある曲だと感じます。しかし、映画「ベニスに死す」の中で繰り返し流れる中で音楽が記憶の中に刷り込まれてしまったからなのではと錯覚します。
デジャブを体験する人の特徴
「deja vu」が映画になるくらい不思議な現象あることがわかりましたが、体験する人の多くは、年齢が若く豊かな感性を持っている人。就活などのためにストレスにさらされている人。見分を広めたく観光が好きな人などがデジャブを体験しやすい人だといわれています。
若者に多くみられる
体験した人を調査すると、歳を重ねる程に少なく、年齢が若い人に生じやすいことが分かってきました。6歳から10歳頃に初めて体験し、15歳から20代前半の若い人に一番多く起こりやすいということが分かりました。
感受性の豊かな人
多感な思秋期の中にいる人が体験しやすいといわれているのは、まだ人生経験が多くないので、その分、周りの人から影響を受けやすい為といわれています。勿論、大人でも感受性の強い人は居ますが、若者より人生経験が豊かなので、外部からの刺激にも若者ほど敏感でないということです。
ストレスの多い人
体験する人の多くは精神的に強いストレスがある人だということが判明しています。それは脳がストレスによって疲労困憊しているからです。疲れと寝不足から発生しやすくなります。解決方法は、リラックスする事を増やしてストレスを軽減し、よく眠りましょう。
デジャブの原因とは
一体どんな点にあるのでしょう?実は原因となるものは40以上もあるといわれています。その中からピックアップしてみました。どのようにして発生するのか、分かりやすく説明していきましょう。
脳の一時的なエラー説
その仕組みについて未だにはっきりと解明されていませんが、現在の最も考えられる説としては、記憶のエラー説です。脳内で認識される過程で発生すると考えられていますが、記憶がその感覚を覚えて脳の中に存在するから、まるで以前にあったかのように思うのです。
つまり、脳が一時的に間違った信号を神経に送って、郷愁のような感覚を起こさせるということです。現在では、この「脳の一時的エラー説」が脳神経学の研究者の間で最も有効な説ということです。
無意識に記憶している説
オーストラリアの有名な精神医学者フロイトはデジャブについて「昔みた夢のようだ」と著書の中で述べています。フロイトの心理学での考えでは無意識に見たものだから、意識的にはあいまいで思い出すのは困難だということです。
人と会った時に意識的にその人を見たら、後で会った時も覚えていることでしょう。逆に意識せずに、すれ違う程度では再び同じ人と会っても、ほとんど覚えていないものです。人は似た人が3人いるといわれていますから、会ったことがなくても、どこかで会ったように感じることがあります。
視覚の速度の違い説
人の手には「右利き」か「左利き」という「効き手」があるように、目にも「効き目」というものがあります。両目の間にわずかな認識の差が生じ、その視覚の速度の違いが、左右の脳神経へ伝達する時に差を生じると考えられています。