その仕組みについて未だにはっきりと解明されていませんが、現在の最も考えられる説としては、記憶のエラー説です。脳内で認識される過程で発生すると考えられていますが、記憶がその感覚を覚えて脳の中に存在するから、まるで以前にあったかのように思うのです。
つまり、脳が一時的に間違った信号を神経に送って、郷愁のような感覚を起こさせるということです。現在では、この「脳の一時的エラー説」が脳神経学の研究者の間で最も有効な説ということです。
無意識に記憶している説
オーストラリアの有名な精神医学者フロイトはデジャブについて「昔みた夢のようだ」と著書の中で述べています。フロイトの心理学での考えでは無意識に見たものだから、意識的にはあいまいで思い出すのは困難だということです。
人と会った時に意識的にその人を見たら、後で会った時も覚えていることでしょう。逆に意識せずに、すれ違う程度では再び同じ人と会っても、ほとんど覚えていないものです。人は似た人が3人いるといわれていますから、会ったことがなくても、どこかで会ったように感じることがあります。
視覚の速度の違い説
人の手には「右利き」か「左利き」という「効き手」があるように、目にも「効き目」というものがあります。両目の間にわずかな認識の差が生じ、その視覚の速度の違いが、左右の脳神経へ伝達する時に差を生じると考えられています。
物事を認識する、このわずかな速度の差が懐かしく郷愁のような感じにさせているということです。つまり、効き目の方がわずかに速く物事を捉えて記憶していると考えられています。そのことで以前にも経験したことがある、見たことがあると脳は認識するからです。
予知能力説
「予知能力」というと、未来を見通せる特殊な能力のことですが、実は人間は無意識のうちに見た映像や風景をまだ行ったことがないのに、まるでそこへ行ったかのように場所をイメージして記憶してしまうことがあります。興味のあることなら尚更です。
頭の中にイメージがいっぱいに広がって、海であれば波の音を聞くと映像や風景を予知してイメージ化し、懐かしい感じにさせるのではないかとう考えです。つまり、「予知能力」という特殊な能力ではなく、無意識のうちに刷り込まれた記憶が発生させるという説です。
自分に似た人が3人いる
知り合いから「先日、知床五湖で会ったよね?」と言われて、そんな遠くに行っていないし驚いたことがあります。知り合いは、てっきり私だと思って、私と似た人に手を振ったそうです。だから別の人だと分かって、むしろ驚いていました。そして、「世の中には似ている人がいるものだと」感心したように言ったのです。
よく自分に似た人が世界に3人いるという話を聞いたことがありませんか?顔の特徴を決めるには遺伝子の数が限られているからだそうですが、同じ日本人ならもっとそっくりさんがいるのかもしれません。知り合いが少し離れた場所から私と特徴が似ていた人に手を振ったのも頷けます。