魚に痛覚はあるのか!?研究・議論され続ける謎に迫る!日本での魚の扱いも変わるかも?

そのため、人間が感じる「痛み=物理的刺激に対する反応および精神・感情的変化」が魚にも同様に適応されうるものであるかというのはいまだ解明されていません。もしも魚が感じている「痛み」が単純な「外部からもたらされた物理的刺激に対する防衛反応からもたらされるもの」であるとするなら、その痛みは人間が感じるそれとは大きく性質の異なるものだといえます。

ここからの文章は、それらの「痛み」というものについてのバックグラウンドを理解したうえでお読みください。

魚の痛覚の有無を報告する研究の成果

これまでも魚の痛覚の有無に関する研究は数多くなされていますが、2003年にBBCNEWSで発表されたエディンバラ大学のそれは、魚の痛覚の存在を肯定する結果として有名なものです。

魚の痛覚の存在を裏付ける研究の成果

エディンバラ大学でのニジマスを被検体として行われた研究の結果は、そうした研究の中でも特に有名です。。研究の方法としては、脳からの電気信号を受け取るマーカーを装着したニジマスに、外部から刺激を与えてニジマスの反応を観察するというものです。

2003年4月30日に発表されたBBC NEWSには以下のような内容が掲載されています。

”~say the `profound behavioural and physiological changes` shown by the trout after exposure to noxious substances are comparable to those seen in higher mammals.”

引用:BBC NEWS

「~有害な物質にさらされた後のニジマスに見られた”行動学的・生理学的に重大な(有意な)変化”は高等哺乳類にみられるそれと同等のものであった」という意味です。この結果が示唆している通り、魚が持つ「痛覚」は、私たち人間がもっているものと遜色ないものであるというのが今日では主流のようです。

実は魚も哺乳類と同じ痛覚がある?

BBCNEWSで発表されたニジマスの研究結果は、魚が人間とおなじように痛覚刺激を受けているという説を裏付けるものとして有名です。では、人間と同様に痛みを感じているという結論に至った理由についても解説していきましょう。

侵害受容器の存在が証明された

スコットランド、エディンバラ大学のニジマスの実験では、被検体の頭部の周辺だけでも、最低58の痛点があると報告されています。また、その中でも「侵害受容器」であるとされるものが22個あるとされています。この侵害受容器とは、身体を脅かすような侵害的脅威に対して特異に反応する末梢神経のことを示しています。

ポリモーダル受容器の発見

同研究によってもたらされた結果の中には「ポリモーダル受容器」という感覚器官の発見もふくまれています。この感覚器官は、侵害受容器の一種で。、人間や鳥類、爬虫類にも備わっている器官です。細胞が破壊された際の刺激を電気的信号に変換して脳に伝える役割を果たします。

まだまだ謎に包まれた魚の痛覚事情

近年でこそ様々な要素が解き明かされてきている魚の痛覚に関する問題。しかしながら、これまでの研究において示されている事実だけでは、「魚が人間と同様の痛み」を感じていることを証明するのは難しいでしょう。

生理学的に、人間と同等の「痛覚」を知覚する構造があることは間違いないのでしょうが、それが人間の感じる「痛み」と同様の性質のものなのかという点に関してはまだまだ研究の余地がありそうです。

今まで痛覚が無い説だったため、日本での魚の扱いが酷いと話題に

魚に人間と同様に「痛覚」を感じる神経が備わっているというという事実は、「魚に対する人間の態度を改めなくてはならないのではないか」という新たな問題をもたらします。魚を釣りあげて新鮮なうちに食するということが文化として根付いている日本には、特にそうしたバイアスが向けられるようです。

魚の生食が古くからおこなわれている日本では、魚は鮮度が命。鮮度の良さを求めて発展した独自の食文化が、現在の世論においては批判の声を浴びることもあります。

NEXT 海外の人がびっくり!魚の踊り食い文化