魚に痛覚はあるのか!?研究・議論され続ける謎に迫る!日本での魚の扱いも変わるかも?

その中で特に海外の人に理解されがたい日本の食文化として代表的なのが、シラウオやタコなどの「踊り食い」です。まさに「鮮度が命」の日本の食文化ならではの、最も生きがいい状態で魚介類を食するための方法です。

しかしながら、この際にシラウオやタコは適正に〆られることなく、人間の歯ですりつぶされる痛みや胃液に徐々に溶かされていく感覚、さらにはそれらによってもたらされる恐怖を感じているかもしれないのです。

活け造りなどの魚の調理法もひどいと話題に

中国の呼叫魚同様に物議をかもした動画の一つに魚の「骨泳がし」があげられます。どういう動画かというと、職人さんの手によって三枚に下ろされた魚(頭に胴体部分の骨と尾びれがついている状態)を水槽に戻しいれると、何事もなかったかのように泳ぎだすというものです。

これは、職人さんの卓越した包丁技術によって、魚が捌かれたことに気づかずに泳ぎだすということを伝える動画ですが、見る人によっては「かわいそう」という感想を抱いてしまうのもわかります。

活け造りなども魚が生きた状態で捌かれてで供されるため、新鮮さを重視する日本人にとっては好ましいプレゼンテーションです。しかしながら、そうした文化に慣れていない海外の人から見ると、魚を生きたまま解体する非常に「残酷」な行為として映るのでしょう。

実はあまりよく知らない?魚の正しい〆方を知りたい人はこちら

これからの研究次第で魚の扱いが変わるかも!?

これまでご紹介してきた通り、近年の研究で魚の痛覚に関する様々なことが明らかになってきています。現段階では魚の感じている痛みに関する決定的な結果が得られていないため、少なくとも日本では魚の愛護に関する決まり事などはまだ明確に定まっていないものの、海外の一部の国や地域では魚の愛護活動が広まっているところもあります。

今後の研究の進み方次第では、ますますそうした動きが加速していく可能性もあり、私たちの魚に対する姿勢を改める必要も生まれてくるかもしれません。

スポーツフィッシングの廃止!虐待になる可能性

本来釣りとは人間が水中にいる魚を食料にすることを目的として捕獲するためのアプローチの一つです。しかしながら、魚を食する目的ではなくいわば「娯楽」の一種として釣る「スポーツフィッシング」は、アングラーと愛護団体との間での議論が絶えないコンテンツの一つです。

キャッチ&リリースのルールにのっとって、「熱いファイトをありがとう。いつかまたどこかの海で、、、」といって一度釣った魚を再び海に放つということは魚愛護の観点からするとどう映るのでしょうか。一度アングラーにつられた魚は、口の中を釣り針にえぐられ、陸に引き上げられたのちにアングラーの手によって針から外されます。

金魚などの魚類を人間が触ると体温の違いが大きいゆえに魚がやけどをするという話もあります。エラ呼吸のために息苦しい思いをしながら激しい熱に苛まれ、口中に深い傷を負いながら海に放たれる魚は果たしてその後ストレスや不自由なく生活を送ることはできるのでしょうか。アングラーと愛護側、両者の議論はまだしばらくは続きそうです。

魚の調理方法が見直される可能性

今後魚愛護の世論が高まるようになれば、魚の調理方法についても見直す必要性が出てきます。魚ではありませんが、世界的にアニマルウェルフェア(動物福祉)を重視しようとする動きが高まっています。

日本が批准しているOIE(国際獣疫事務局)によって定められている「動物福祉規約7.5条 動物のと殺」には、動物福祉に配慮するために、畜産動物のと殺についてどのような方法をとるべきかということが事細かに書かれています。

魚以外の動物に関してはこうした動物の権利を重視する世論が主流となってきており、魚に対してもこうした動きが見られれば、これまで看過されてきた魚の調理方法などについても様々な制約が課せられる可能性もあります。

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