深海生物のテヅルモヅルの謎に迫ってみた!驚きの生態や味が判明!

ヒトデの仲間で深海生物であるテヅルモヅルの特徴といえば無数にのびた腕。なぜあのような特徴をしているのか?どんな生態なのか?とても気になりますよね。そこで、そんな謎の多いテヅルモヅルについて徹底的に調べて解説していきます。

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みなさまに釣りやキャンプの魅力をわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
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テヅルモヅルとは?

深海に棲息しており、今までは生体での情報が少なく、謎に包まれていました。現在は研究者の方々によって、少しずつその生態が解き明かされてきています。気になる、その正体について迫ってみましょう。

どんな生物?

腕が無数にあり、複雑に絡みあっている姿から、植物を髣髴とさせるユニークな外見で驚くでしょう。大きく分けると棘皮動物になります。見た目は似ていませんが、これはナマコやウニと同じ種類なのですよ。星型のシルエットと、炭酸カルシウム性の骨片を持っているのが特徴です。

分類

学術上は棘皮動物門、クモヒトデ綱、ツルクモヒトデ目、テヅルモヅル科にわけられます。これに加え、あまり知られていないが故に、ヒトデの仲間なのかと疑問に思う方も多いのですが、実はこの2つは腕の構造が全く異なる別の分類になるのです。

ヒトデとの違いとは

ヒトデは棘皮動物門、ヒトデ綱に分類されます。学術的な観点で見ても、大きく差があるのです。具体的にはクモヒトデは肛門がなく、海水を取り込む口は口側にありますが、対するヒトデは肛門があり、口があるのは反口側で、見た目もより星型に近い形状をしています。

名前の由来

漢字では「手蔓藻蔓」と書くのです。うまく、漢字を当てていますね。昔から、あの腕が網に引っかかると取ることが大変なため、漁師さんからは嫌われていました。その蔓がもつれるように動く様子が、由来となります。面白いことに近畿地方の方言で「様々な議論があっても結論がでない状態」を意味しています。

英語名と学名は?

それでは英語ではどう書くのでしょうか。英語で書くと、BASKET STARとなります。これはそのままの意味で、「バスケットのようなヒトデ」となります。学名ではGORGONOS CEPHALIDAEとなります。これはギリシャ神話に出てくる魔女ゴルゴンの頭という意味なのです。

なぜテヅルモヅルが注目されているのか?

ではなぜ、ここ最近になってピックアップされているのでしょうか。最近では、ニュースで珍しい生物を初めて捕らえた、新種発見したとテレビやネット等で目にすることがありますよね。2018年3月に昭和天皇がご採集された標本が実は新種だったという発表がされました。この記事が発表されてから、一気に注目を浴びるようになってきたのです。

深海生物は謎が多い

技術が発展した現代においても、深海は未だに謎に満ちていて、未発見の新種も多いと考えられています。それは、調査のために採集するにも、採集場所が深海のため難しいのです。また、研究すること自体が大変なことに加え、元もとの情報の少なさが影響して、研究者の方々も少なく、多くは謎のままで終ってしまっていたのです。

個性的な形状

数多くいる変わった形をした深海に住む生物の中でも、ひときわ目を引くほど独特なフォルム。その複雑に絡まっている、ツタを伸ばした植物にも見える腕が一番のポイントでしょう。このミステリアスでインパクトのある姿も注目を集めている一因となっています。

テヅルモヅルの種類

未だ謎に満ち溢れた、未発見の種類がいる可能性も秘めた摩訶不思議な生物ですが、実は現在知られているものだけでも、多くの種類がいるのです。全てをここでご紹介するのはできませんが、どれだけいるのか気になりますよね。少しだけご紹介していきましょう。

テヅルモヅルは全90種もいる

30属、全部で90種もの種類がいるのです。その中から有名なところを少しご紹介しますと、ニュースにもなった106年ぶりに発見された新種のトゲツルボソテヅルモヅル、トゲオキノテヅルモヅル、アカテヅルモヅル、コブシテヅルモヅル等があります。

種類によって見た目が違う

体中に0.1mm程の棘や小さな顆粒で覆われていたり、体色も淡黄色、サーモンピンクと淡い色のものから暗紫色や黒色のものまで様々です。腕が細く数も膨大でじゃもじゃと絡まったものから、太くあまり絡んでないものまで形状も様々です。

新種とは

ニュースで目にした方も多いかと思いますが、国立科学博物館で保管していた標本を観察したところ、昭和天皇がご採集された標本を含むものから新種が発見されたのです。体の表面が小さな棘で覆われており、今までに知られていた種類と比較した結果、明らかに形態が異なっていたのです。

テヅルモヅルの特徴とは?

もじゃもじゃした植物にも見える、その個性的でインパクトのある姿がポイントです、どうしてこんなに腕が大量にあるのでしょう。また、絡まっているだけにも見えてしまう腕には意味があるのでしょうか。この腕の秘密を探っていきましょう。

無数の腕がある

数え切れないほどあるように見えますが、驚くことによく見ると、実は大元は5本しかありません。このあたりは基本がヒトデに似ていることを感じさせられます。腕1本から2本へと分裂を繰り返し、どんどん枝分かれしていくことで、腕が絡まりあっているような形状になるのです。しかし、この分裂するメカニズムはまだ謎のままです。

腕にはそれぞれ役割が決まっている

どのようにあの腕を動かしているのでしょう。餌を捕える時、短い腕はあまり動かず、体を支える役割をします。そして長い腕を広げて使って餌を捕っているのです。腕の配置もサンゴに絡みやすいように進化したものと考えられています。

1mを超すものもいる

腕が数え切れないほど複雑に絡まっていることから、一瞬見ただけでは大きさがわかりにくいですが、実は腕を広げると1mにも達する大型なものもいます。幼生するのはクモヒトデと同じようにプランクトンからだと考えられています。盤の大きさは数mm~10cmの大きさになります。

テヅルモヅルの生態

見た目が変わっているということはおわかりいただけたと思いますが、普段は一体、どのように過ごし、一生を送っているのでしょうか。実はまだまだ解き明かされていない謎が多いのが現状です。そんな中でも、研究が進んでわかってきたこともあるのです。

深海に住んでいる

ほとんどは深海に住んでいるのですが、実は浅いところに住んでいる種類もあります。具体的にいうと、水深50~1000mくらいの海底に住んでいます。浅いところといっても、かなり深いところになるので普段から簡単にお目にかかることができないのです。

世界中にいる

一般的に活動性が低いといわれていますが、これは普段は岩やサンゴ等に絡み付いて生活しているからです。しかし、局所的ではありますが、生息域は世界中にわたっているのです。どのようにして、生息域が広がったのかは明らかになっていません。

夜行性

驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、ある研究例によると、サメハダテヅルモヅルを観察したところ、夜行性だと判明ました。浅いところに住んでいる種類は夜行性で、昼間は岩の隙間等に潜んでいて、夜になると潮の流れの速い場所に出てきます。

何を食べているかは不明

何を食べているのかは、現状ではまだ全ては解き明かされていません。それでは、水族館等ではどうしてるのか気になるところです。飼育環境下においてはオキアミを食べています。一般的にはプランクトンを食べている可能性が高いと考えられていますが、実際の深海では何を餌にしているかは正確にはわかってはいないのです。

かわいい仲間

テヅルモヅルに隠れて住んでいるのがテヅルモヅルエビです。体長はとても小さく約1cm程で、体色は赤く、白のストライプ模様になっており、とても見た目のかわいいのです。ナイトダイビングをする方は時折、目撃していると報告に上がっています。

まだ謎が多い

少しずつその生態が明らかになってきていますが、まだ謎に包まれていることが多いのが現状です。繁殖や腕の分裂のメカニズム、寿命、子供はどうやって成長していくのか、深海での過ごし方、天敵はいるのか。謎は挙げたらキリがありませんが、今後、研究が進むのを期待しましょう。

 

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