人食いナマズ!?世界最大のヨーロッパオオナマズの生態を解説!日本にもいる?

ナマズといえば、バスフィッシングをしている方ならおなじみの魚ですが、今回紹介するのはその名もヨーロッパオオナマズ、世界最大のナマズです。そのヨーロッパオオナマズが日本に生息しているとまことしやかに囁かれています。そんなヨーロッパオオナマズにスポットを当ててみたいと思います。

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ヨーロッパオオナマズってどんな魚?

条鰭綱ナマズ目ナマズ科に属しており、その名の通りヨーロッパに多く生息している魚です。そもそもナマズの仲間は寒い地域やオーストラリア南部を除く世界中に生息していて、ヨーロッパ以外でも中国、東南アジア、アメリカ、アフリカなどでも身近な魚です。

その中でもヨーロッパオオナマズは日本のマナマズやイワトコナマズと同じ仲間のため、見た目はよく似ています。目が小さく扁平な顔つきをしており、上あごにある2本の長いひげと下あごの4本の短いひげが特徴です。

ヨーロッパオオナマズとは

日本に生息するナマズは黒っぽいのに対し、背側が緑褐色、腹側が白から薄黄色をしているのが特徴です。ただし生息環境などによって多少色は変わるようです。夜行性で、昼はよく水底の物陰などに隠れています。聴力がよく、少なくとも30年、飼育下では約60年も生きるそうです。

最長は4メートル以上?

大きさは最大で4m、重さ400kgほどになるといわれていますが、ここまで成長することは非常に珍しいです。ほとんどは体長1.5m前後、重さ20kg程度で、生育環境に恵まれた場合のみ2m超の大型に成長します。これまでで捕獲された最大のものは、伊イタリアのポー川で捕獲された体長約2.8m、重さ約140kgの個体です。

ヨーロッパオオナマズの生息地

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もともとは東・中央ヨーロッパや西アジア等に生息しており、淡水魚ですが、汽水域に入ることもあり、バルト海やカスピ海付近でも見られます。特に大きくてあたたかい湖や流れの遅い川を好みます。

ヨーロッパを中心に世界各地に生息

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現在では食用として養殖されていたものが野生化し、ヨーロッパ各地のほかアルジェリア、チュニジア、シリア、カザフスタン等にも分布しています。特にイタリアやギリシャ、スペインなどでは元々生息していなかったため天敵が少なく、餌も豊富にあるので巨大化しやすいです。2mを超える大きなサイズのものも確認されています。

日本にも生息している?

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元々日本にはいない生物ですが、2005年に滋賀県の公園の池で約70cmの大きさの個体が捕獲されたことがあります。また、埼玉県から東京都を流れる中川で釣った、目撃したという報告もあるようです。

観賞魚としては流通しているため、その大きさや寿命の長さゆえに飼えなくなり放流されたのではないかという説が有力です。現在のところ日本での繁殖は確認されていないようですが、日本生まれの個体が確認されるのも時間の問題かもしれません。

ヨーロッパオオナマズの食性は?

ヨーロッパオオナマズは肉食魚です。しかし歯は小さくヤスリ状であるため、噛みつくというよりは丸飲みして食べます。目があまり発達していない代わりに聴力とひげの感覚器が発達しています。口が非常に大きく、水面や水中で動くものを感じると何でも食べてしまう習性があります。

魚や甲殻類が主食

主食はミミズなどの環形動物、昆虫、甲殻類、魚類です。胸びれを使って水中に渦を作り、獲物の方向感覚を奪って大きな口で飲み込みます。比較的何でも食べますが、釣りの際にはジェリフという魚がよく使われます。大きなものになると、ネズミやカエル等の小動物も食べます。

肉食性で犬や水鳥なども丸飲み

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さらに大型の個体になると、水中の生き物だけでなく水辺にいるハトやアヒル、ひいては犬や猫まで食べてしまいます。例えば、飼い犬の散歩中に水を飲ませたり、水遊びをさせたりするために水辺に近づいたときに丸飲みされてしまったなどという事件が時々起こっています。口に入るサイズであれば何でも丸飲みしてしまうのです。

人食い伝説は本当?

 

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食欲旺盛なこの魚には、犬や鳥だけでなくなんと人を襲って食べたという噂が存在します。ヨーロッパには古くから「殺し屋クノ」という、犬や水遊びしていた子どもを飲み干したという巨大ナマズの伝説があり、これがヨーロッパオオナマズではないかと言われているのです。

腹の中から人骨が出てきた!

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かつてポーランドの漁師が体長4mを超える巨大ナマズを捕獲し、腹を開いたところ、金属製のナチスドイツの鷲章と人骨が出てきました。調査したところ、かつての若い軍人の骨だということがわかったそうです。

人を食うかどうかは疑問

様々な事件や噂はありますが、本当に生きたまま人を食うのかについては疑問が残ります。その理由は、いくら大きいとはいえ2~4mのナマズが人間を丸飲みするのは難しいと推測されるためです。そのため腹の中から出てきたという人骨も、何らかの理由で水の中にあった遺体を食べたという説が有力です。

しかし、ナマズには巣の中に入ってきたものや近くで動くものに食いつく習性があるため、食べられないにしても人が手や足をかまれたという事件は時々起こっています。その際場合によっては水の中に引きずり込まれ溺れさせられる可能性もあるので、ヨーロッパオオナマズがいる川などに入るときには気を付けましょう。

ヨーロッパオオナマズは食べられる?

巨大に成長するヨーロッパオオナマズは実は食べることもできるのです。ヨーロッパでは比較的ポピュラーな魚で、ナマズの英語名である「キャットフィッシュ」としてレストランなどでも提供されています。

小型の個体は食用として重宝されている

身は白身で脂がのっており、一般的に15kgほどまでのサイズのものは特に味が良いといわれ、重宝されています。それ以上のサイズになると、脂肪が多くなり食用には適しません。かつて16世紀ごろには王侯貴族が食べる魚としてナマズがあげられていました。つまり、それだけ味が良い魚なのです。

卵には毒があるので注意

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ヨーロッパオオナマズは一度に約14~47万個ほどの大量の卵を産みますが、その卵には毒があります。人が亡くなったという事例はないようですが、捕獲したとしても食べないようにしましょう。ちなみに日本にいるナマズは卵を食べることができますが、きれいな水で養殖したものでなければかなり泥臭いため食べないほうがいいと思われます。

ヨーロッパオオナマズを使った料理

ナマズって食べられるの?と思うかもしれませんが、ちょっとグロテスクな見た目とは裏腹に、ほどよく脂ののった白身で大変おいしい魚です。東南アジア、アメリカなどでも人気で、日本でもナマズ料理を町おこしに利用している地域もあります。最近食材として注目されているパンガシウスという白身魚もナマズの仲間です。

ナマズ料理①:フィッシュアンドチップス

ヨーロッパのファーストフードとして有名な、白身魚のフライにフライドポテトを添えた料理です。白身魚にはタラなどが使われることが多いですが、ナマズで作られることもあります。サクッとした衣と、ふわっとした身の相性は抜群です。

ナマズ料理②:ムニエル

フランス料理として有名なムニエルですが、ナマズにもよく合う調理法です。身がやや水っぽいことがあるので、塩を振ってしばらくおいて身を締めるとよりおいしく食べられます。その際は出た水分をきちんと拭き取りましょう。くせのない身にバターのコクがしみ込んで非常においしいです。

ナマズ料理③:パプリカ煮込み

ナマズは煮込み料理にしても出汁がよく出ておいしく食べられます。特にハンガリーなどではパプリカパウダーを使った煮込み料理があり、野菜などをたくさん入れてパスタを添えて食べられています。スープは赤いですが、トマトや唐辛子のスープとはまた違う豊かな風味で、とてもおいしい料理です。

ヨーロッパオオナマズは釣りの人気ターゲット!

アマゾンや東南アジア、アメリカでは大きなナマズが釣れることが有名ですが、実はヨーロッパでもナマズ釣りは非常に人気のアクティビティで、専門の釣り雑誌が発売されているほどです。ヨーロッパオオナマズ釣りの特徴は街中に流れる川でも釣れる可能性があることで、危険の少ないアクセスのいい地域で気軽に2m超の大物を狙うことができます。

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