ヨーロッパ圏でも、煮込まれた肉料理の他に、ソーセージやウィンナーの原料としてヤギ肉は一般的に使われており、地元の味として、お酒に合うことで知られています。旅先の名物料理として、意外と知らずのうちにヤギ肉を楽しんでいるかもしれません。
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実際に見てみたい!ダマスカスヤギはどこに行ったら会える?
これだけブームになると、話題のダマスカスヤギを実際に自分の目で見てみたいと感じる人も増えるかもしれません。インターネットで一世を風靡した話題のダマスカスヤギを見るための方法について紹介します。
動物園にいるの?
その特異性が色濃く発露した、特に異様性を感じさせる個体を除いては、食用または酪農に用いるために一般で繁殖されている他、エジプトやアラビアの国々の動物園で、その姿を見ることができます。有名なところでは、アラブ首長国連邦のアブダビにあるエミレーツパーク動物園で見学することができます。
日本で見ることはできる?
残念ながら、今のところは写真に撮影されたようなダマスカスヤギを日本国内で見られる場所はなさそうです。これだけブームになると、今後は見られるようになるのかもしれませんが、過度な期待は禁物かもしれません。
結論:実際に見たい場合は…
現地に見に行くのが一番のようです。少し距離がありますが、移動手段が発達した現代であれば、飛行機を乗り継いで、およそ22時間くらいの旅路。さすがに日帰り旅行というわけには行きませんが、明確な旅の目的が気持ちを高めてくれることでしょう。
思えば、それまで知られていなかった広い世界があることを私たちが知るようになったのは、15世紀半ばから始まったとされる大航海時代の頃。渡来した船の異国人から、初めて、世界地図と呼ばれる模様の描かれた紙を見せられても、ピンとこなかったに違いありません。
それ以来、好奇心を持って世界を旅するようになってから、世界は少しずつ狭くなっていったのかもしれません。それでも、未だに未知と言われる生き物が暮らしている、この地球の秘めた大きさに、思い切って飛び込んでみるのも面白い話かのかもしれません。
【豆知識】ヤギとヒツジの違いについて
ヤギとヒツジ。昔は似ている部分が多いと考えられていたため、日本の漢字ではヤギを山羊や野羊という字で表記します。どちらも羊が入りますが、実際の生態はかなりの部分で大きく異なっています。そんなヤギとヒツジの違いを比べてみました。
ヒツジはヤギと違って草しか食べられない
日本の寓話や昔馴染みの歌の歌詞では、しばしば、ヤギが手紙を食べる仕草が描かれます。本物のヤギが、現代の製法で作られたコピー用紙を食べられるのかと言うと疑念が残りますが、野生のヤギはヒツジと違って、草以外にも木の芽や葉っぱを食べることができます。
そのため、昔ながらの製法で作られた和紙を使った手紙であれば、本当に食べることができたそうです。ただし、好き好んで食べると言うよりも、他に食べるものがなかった場合に、否応なく食べると言うのが本音のようです。
これに対して、ヒツジは草以外の食べ物を消化できないため、ヒツジに紙を見せても匂いを嗅ぐ程度で、それ以上の反応はありません。ヒツジは牧草や飼い葉を食べて、適度な運動をこなし、毎日を過ごす生活をしています。
ヒツジの鳴き声とヤギの鳴き声は違う
羊の鳴き声と言うと、すぐに思い浮かぶものですが、反面、ヤギの鳴き声を尋ねられても、すぐには思いつきません。それもそのはずで、実はどちらも似たような声で鳴くことができます。言葉で書き表すとすれば、ヒツジが「ヴェー」で、ヤギが「ウェー」と言ったところでしょうか。
鳴いている声を耳すると、確かに音域が違うことから特徴を掴むことができますが、その聞き分けができるようになるのは、成長して大人らしい姿になってからのようです。言い換えると、生まれて間もない頃の幼少期は、ヒツジもヤギも似たような声で鳴くことができます。
鳴き声だけで識別しようとすると、たまに間違えてしまうことがあります。すると、山中にてヒツジの鳴き声だと思って近づいて探していると、突然、ヤギが現れるこがあります。そんな姿から、あの生き物は、山(野)に住む羊だと言うことになり、山羊と書き表すようになったと言う説があります。
ヒツジよりもヤギの方が少し怖い目をしている
おとなしいと表現される機会の多いヒツジに対して、ヤギは攻撃的な生活をしていることも手伝って、怖い生き物という印象を与えがちです。これはヒツジとヤギの瞳や、目の周りの様相が大きく関係しています。
一般にヒツジは羊毛と表記されるほど、その毛に価値があると考えられており、この羊毛を得るために毛を伸ばした飼育がなされています。そのため、ヒトの顔のように髪があるように見えることが多く、ヒツジの目が持つ特異な瞳の特徴を隠す役割が果たされていることが多いようです。
これに対して、ヤギは顔の周辺の毛が少なく、歌舞伎の隈取のような目の周りにある黒い模様も目立ちにくくなってしまうことが多く、どうしても、ヤギ特有の目の特徴が印象的になってしまう傾向にあり、ヒトの姿とは異なる生き物であるという認識が働きやすくなってしまうのでしょう。
また、野生の動物の目を覗き込むことは、その行為が攻撃の意思表示(動物同士であれば威嚇や喧嘩の意味)となってしまうため、まじまじと覗き込むのは危険が伴います。興味からの確認は、少し離れたところから行うように注意しましょう。お子さんがご一緒の場合には、写真に撮影した後に印刷して見比べると、より安心です。
ヤギの持つ目の怖さは世界各地で題材にされている
ヤギの目の怖さは、世界各地で、その片鱗を見つけることができます。有名なところでは、ヤギの頭を象った両性具有の姿で描かれることの多いバフォメット(Baphomet)や、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが描いた神の一柱であるシュブ=ニグラス(Shub-Niggurath)の産む黒山羊など、ヤギの神秘性の現れと言えます。
不思議な魅力たっぷりのダマスカスヤギ
ヒトは、わからない物事や、奇妙に感じる出来事に強い興味を感じる生き物です。そんな知への欲求とも呼ぶべき、好奇心旺盛な気持ちを否応無く昂ぶらせてくれるダマスカスヤギの魅力は尽きません。
どうして、そんな姿をしているのか。そこに理由はあるのか。技術の発達によって、世界は少しずつその表情を変え始めているとは言え、ダマスカスヤギのように驚きを与えてくれる生き物が、まだまだ隠れているのでしょう。
新たな発見を求めて、オープンフィールドに向かって歩き出すのも良いかもしれません。そこで見つけた発見や、驚きが、次の世代へと受け継がれ、新たな好奇心を育む糧となって行くに違いありません。
古代から姿の変わらない生き物も住んでいる
時に、生きている化石と呼ばれる生き物がいます。例えば、動物園で見られるレッサーパンダ(Ailurus fulgens)や、カモノハシ(Ornithorhynchus anatinus)の他、シーラカンス(Coelacanthiformes)や、カブトガニ(Tachypleus tridentatus)も、その一つ。
進化の系譜から忘れられてしまったかのように、昔から変わらぬ姿を留めていると言われる一方で、刻々と変化する環境に負けることなく生き続ける彼らの姿には、私たちが目指さなければならない自然との共生の意味が問われている思いがします。