釣り糸にはどんな種類があるの?
世界には様々な種類の魚がいます。とりわけ、日本という島国では山も海もあることから、淡水魚から海水魚までたくさんの魚をいろいろな釣り方で狙うことができます。魚を釣るためには、第一に釣り針、次に釣り糸(ライン)がなければ釣り上げることができません。そのラインにも種類がたくさんあるので、紹介したいと思います。
ナイロンライン
釣り糸の一番基本となる素材です。昔は絹糸や蚕から作られていたテグスが使われていました。この素材の登場により、釣り用の糸がこのラインに代わりました。どんな釣り方にも使えて、種類も多く価格も安い物から高価なものまで、様々なラインが発売されています。
フロロカーボンライン
ポリフッ化ビニリデンという素材が主成分で、炭素を軸にフッ素と水素のペアが何対もついた構造になっています。ナイロンラインよりも硬さがあります。主にエサ釣りのハリスやルアーフィッシングのショックリーダーに使用されますが、バスフィッシングのメインラインとしても使用されます。
エステルライン
ここ数年に登場した、新しいジャンルのラインです。主に小物釣りに使用され、アジをルアーで狙うアジングや、メバルのルアーフィッシングに使用されます。細くて伸びが少なく、重みのあるのが特徴です。
PEライン
ナイロン、フロロカーボンに次ぐ、第3のラインという形で登場したラインです。このラインは他のラインと違い、編みこまれたものになります。細くて強度があります。基本的には素材を編みこんだものが主流になります。技術の発達により、8本や12本で編みこんだものも登場しています。
現在、海釣りに使用する釣り糸として用いられることが多いラインです。細くて伸びが少ないため、釣り人から狙う魚が遠い位置にいる海釣りではルアーを使った釣りや船釣り、投げ釣りなど感度や強度を優先して使用されます。
各ラインにはどんな特徴があるの?
素材が違うため、それぞれのラインには伸び率が違ったり、硬さが違ったりと特徴があります。そのため、狙う魚や釣り方によって使い分けも必要になってきます。それぞれの特徴を知っておきましょう。
ナイロンライン
初心者から上級者まで一番基本のラインですが、なぜ基本とされているのかというと、扱いやすいといった点が挙げられます。適度な柔らかさとしなやかさがあり、癖がつきにくくトラブルが起きにくいラインです。柔らかいので、他の種類と比べて伸びやすいです。比重は1.14で水より少し重たいので沈むタイプのラインになります。
フロロカーボンライン
ナイロンラインと比べて、硬くコシがあり伸び率が少ないのが特徴です。感触としてピンピンとしている感じなので、餌仕掛けのハリスによく使用されます。単一の素材で作られているラインですが、ささくれてくると縦に裂けやすいので、ラインチェックが重要です。
エステルライン
ナイロン、フロロ、PEに次ぐラインと言われて登場しました。伸び率が非常に少ないので、感度が高いという特徴を持っています。比重も重たいため、細くて伸びが少ないという点で軽いルアーを使った海の釣りに向いています。すべりがいいのでリーダーを使用しなければなりません。
PEライン
編みこみされたラインなので、細くて強度が高いです。比重が0.97と水に浮くため、トップウォーターの釣りにも使われます。伸びが少なく、強度があるので、初めは海の船釣りに使われていました。摩擦熱に弱く、結び目の強度が低くなってしまうために、結び目を作らない特殊な結束方法を使用することがあります。
各ラインはどんな釣法が向いていてどんな魚を狙えるの?
それぞれ特徴があるので向いている釣り方向いていない釣り方があります。ラインによって狙う魚も変わってきます。昔と違いいろいろな種類のラインが発売されているので、特徴をしっかり把握して釣りにいきましょう。
ナイロンライン
しなやかなため、のエサ釣りからルアーフィッシングまでオールラウンドに使えます。主に道糸(メインライン)として使用され、淡水魚から海水魚までいろいろな魚を狙うことができます。温度変化にも強いので、暖かい地域でも寒い地域でも問題なく使用することができます。
フロロカーボンライン
硬さがあり伸びが少なく、ピンピンしているので、エサ釣りのハリスに向いています。また、バスフィッシングでは道糸にに使用されることもあります。ワームを使った釣りやラバージグなど、底を取るような釣りに向いています。また、シーバスのジギングのような水深の浅い場所でフォールでアタリを取るような釣りにも向いています。
エステルライン
主にアジをルアーで釣るアジングや、小さい魚を釣るときに使用されます。伸びが少ないので感度がよく、小さいアタリを逃さず取るような釣りに向いています。また、1g以下の軽いリグを使用する際にも使い勝手がいいです。
PEライン
ソルトルアーフィッシングではかなり使用率が高いです。強度を増しても太くならないので、飛距離も出やすく、風や水の流れに対しても影響が少ないので、ルアーコントロールがしやすいといった点が向いています。小さい物ではメバルやアジから、シーバス、大きい物になるとマグロやセイルフィッシュなど、海の魚全てに使用できます。
また、淡水魚でも特にルアーフィッシングに使います。水に浮くのでトップウォーターに向いていて、フロッグを使った釣りによく使われます。引っ張り強度が高いことから、雷魚やブラックバスで浮草があるようなところで使用されます。
そもそもどうして使い分けが必要なの?
ラインには素材によって様々な特徴があり、強いところと弱いところ、向き不向きがあり、使い分けることで今まで釣り上げることが難しかった魚も釣り上げることができるようになります。シュチュエーションによって素材の違いが活きてきます。
使い分けることのメリット①強度
ラインの強度によって使い分けることで釣果に結びつきます。種類によって擦れに対する強度や引っ張り強度、結び目の強度が違ってきます。擦れに対しても、硬いものなのか柔らかいものなのかによって向いているラインが違うので、障害物によってラインを選ぶことで、魚に近づくことができます。
使い分けることのメリット②飛距離
遠浅だったりして魚との距離が遠いため、ルアーや仕掛けの飛距離を出したいといった場面でラインの素材を替えることでキャストのしやすさや飛距離が変わってきます。ラインの硬さや太さによって空気抵抗やキャスト時におけるラインのバタつきが変わってくるので、ラインを使いわけていきます。
使い分けることのメリット③感度
伸び率がそれぞれ違うため、ラインの感度も違います。どういった釣り方をするのか、例えばウキを使った釣りなのか、ルアーを巻いてくる釣りなのか、それともフォーリング中にアタリを取るのが多い釣りなのか、また、水の流れなどそういったものを感じる感度も必要な場合もあるので、それによって使いわけた方がより情報が伝わってきます。
各ラインにはそれぞれどんなメリットがあるの?
狙う魚や使うポイント、釣り方によってラインを使いわけるというのは重要ですが、それぞれのメリットを理解しておかなければ適性のある選び方がわかりません。ラインを使ううえでのメリットを紹介していきましょう。
ナイロンラインのメリット
誰にでも扱いやすく、それでいてどんな釣りにも高次元で対応してくれます。適度に伸びがあり、バレにくいので色々な釣りに使われます。擦れに対してもどんな障害物にも万能的に対応できます。擦れてザラザラになってもぎりぎりのところで持ってくれたりもします。
しなやかなために、結び目の強度も高くできます。また、柔らかさがあるために癖がつきにくく、ライントラブルが少ないのも利点になります。キャストのしやすさでは他のラインと比べて優れています。
フロロカーボンラインのメリット
コシがあり伸びが少ないため、ダイレクト感があります。ルアーフィッシングでは道糸にも使われますが、近距離でのワームを使った釣りや、キャストせずに落とし込んでいく釣りに使うのがフォーリング時のアタリも取りやすく、アワセも効くので向いています。
水草などの柔らかい物に対しての強度がナイロンより優れています。コシがあるために、柔らかい物に食い込まずにビシッと切ってこれるのでウィードエリアなど、そういった場所で使うのに優れています。
エステルラインのメリット
細く比重が高いので、軽量なルアーを使う際に風や流れが強い場合で深場を攻めやすくなります。非常に伸びが少ないのでフロロラインのような使い方ができつつ、ラインの径を太くすることなく使用できます。
PEラインのメリット
編みこんで作るために、細いままで強度を保つことができます。そのため、流れや風の影響を受けにくく、ルアーのコントロールがしやすいです。キャストする際でも細いラインのように空気抵抗が少なく、ライン自体に抵抗が少ないので飛距離が伸びます。また、伸びが非常に少ないので、糸を張っているときの感度はどのラインよりも優れています。
各ラインにはどんなデメリットがあるの?
100%切れない糸と折れない竿があればどんな魚も釣り上げられると思いますが、それでは面白みがありません。どんな物にもいいところと悪いところがあります。デメリットを理解したうえでラインを選びましょう。
ナイロンラインのデメリット
吸水率が高く、伸びやすいため、何回も釣行を重ねる際には新しいラインと巻き替えなければなりません。また、強度を求めると太さも比例して太くなってしまうため、扱いづらくなってしまいます。50ポンドを超えるようなものは道糸には向きません。
フロロカーボンラインのデメリット
擦れに強いと言われていますが、岩や木などの硬い材質のものには全く向きません。擦れてささくれてしまえば、縦に繊維が裂けてきます。ガイドに付着した海水の塩でも削れてしまい、半日くらいで白くなってしまいます。また、製法によって、同じ強度のものでもナイロンラインよりも太くなってしまうので、その分扱いづらくなってしまいます。
コシがあるためにリールのスプールへの馴染みが悪く、特に低温期はライン自体が冷えて硬くなってしまうので、スプールにしっかり巻かれず、頻繁にライントラブルが起きてしまいます。初心者の方には使いにくいので注意が必要です。
エステルラインのデメリット
瞬間的な衝撃にはものすごく弱いラインです。そのためドラグをゆるゆるにしなければなりません。スピニングリールでドラグを出すとラインが撚れますので、その分ラインの寿命も短くなりライントラブルも起きやすくなります。スプールの馴染みも悪くて結び目の強度も低く、使用用途がものすごく制限されるラインのため、使う人はあまりいません。